実はこのマップが作られたのは、現在のデザインセンターがFDL(富士通デザイン株式会社)という会社組織だったころです。当時は、イノベーションという言葉が、今のDXのように盛んに叫ばれ、企業はイノベーションを求めていました。ただ、前例がないことをするのは、いつの時代も大変で、企業のイノベーション創出を任された人たちの多くは、何をしたらよいのか悩み、その手がかり足がかりを見つけられずにました。
そんな悩みを抱えた複数のお客様と接点のあった営業担当者がデザイナーに相談し、その相談を受けたデザイナーの企画・開発によってできたのがこのマップです。A3サイズで誰もが気軽にプリンターで出力し、折りたたんで持ち運びできるようになっており、コロナ禍前のビジネスシーンにおいては、会議卓に載せてお客様と営業担当者が一緒に会話を弾ませながら、全体を俯瞰したり、詳細について話し合ったりして使っていました。
冒頭に述べたように自分たちの現在地を知り、これからのビジョンや打ち手を考えるきっかけや手がかりとなり、進む方向を探るための地図となるようにデザインされています。
「0 イノベーションプロジェクトを立ち上げる」から「5 ビジネスプランを判定する」までの6段階が循環するように示されており、よく見ると障害となる落とし穴や行く手を阻む川、一気にゴールに近づける飛び道具や地道な登り道など、誰もがビジネスを進める上で体験したことがあるような状況を、ときにユーモラスにクスリと笑える表現を交えながら描いています。タイトルに(仮)とついているのは、イノベーションのプロセスに唯一の正解はないという制作者の想いからです。