らくらくスマートフォン
me F-01L

掲載日 2019年3月7日



シニアのお客様のくらしをもっと豊かに

らくらくの歩み

ユニバーサルデザインを特徴としたシニア向けの携帯電話端末シリーズ「らくらくホン」の初号機は2001年に誕生しました。それから約19年間、バータイプから2つ折りタイプ、さらにはスマートフォンへと新たなニーズやテクノロジーを捉えながら常に進化を続けると同時に、押しやすさを求めたボタン配列や持ちやすく落としにくい形状、大きく見やすい表示やシンプルなメニュー構成など、使い勝手への一貫した配慮を行ってきました。そのような積み重ねの結果、いま現在もらくらくホンシリーズは富士通を代表するプロダクトの一つとなっています。

F671i らくらくホンⅡ(上) / らくらくホンシリーズ年表(下)

お客様の“今”と“これから”を知る

らくらくホンシリーズを使い続けていただくためには、最新テクノロジーを製品に取り入れるだけでなく、お客様の“今”と“これから”を知ることが重要です。そのためにデザインメンバーが取り組んだ活動の一つが、60代以上の男女116名を対象としたモックアップ評価です。形状の異なる複数のモックアップを実際に手に取り、持ち比べていただくことで、お客様がスマートフォンに対して特に重視するポイントと、形状やバランスの目指すべき方向性を導き出すことができました。次に、様々な地方のシニアのお宅を訪問し、現場観察とヒアリングで得られた気づきから日々の生活の中で大切にしている思いや価値観を明らかにし、今後スマートフォンが真に生み出すべきユーザー体験や活用シーンを描きました。デザイナー自らがユーザーと直接コミュニケーションをとることで、機能にとどまらない、お客様に寄り添った製品価値の向上に繋げています。

らくらくスマートフォンの握り心地の検証の様子(上) / ユーザー訪問調査後のインサイト発掘ワークショップ(下)

さらに2017年からは、製品の企画、販売、サポートを行う社内外の関係者向けに「らくらくデザイン展」を開催しました。ここでは歴代らくらくホンシリーズの実機やモックアップといったハードに加え、UI(ユーザーインターフェース)やカラーなどについての説明パネル、調査活動や先行プロトタイプなどの成果を展示。普段は伝えきれないデザイン活動の広さやこだわりの深さを担当デザイナーが直に説明することで、たくさんの貴重な声を伺うことができました。「長年積み重ねられたノウハウにとどまらず、常に新しい解決方法を探っていることに感銘を受けた」、「センスだけではなく、客観的なデータや評価にもとづいてデザインされていることが良くわかった」、「デザイナーがここまで利用者のことを細かく調査しているとは知らなかった」など、提案そのものだけではなく私たちデザインチーム全体の取り組み姿勢に対する理解と納得、共感を得ることができ、様々な現場で一体感を持った製品開発やお客様提案を進める良い機会となりました。

らくらくデザイン展2017 & 2018 / 関係者とディスカッションする各分野の担当デザイナー

me F-01L 開発のこだわり

このような取り組みを経て生まれたのが、らくらくスマートフォンme F-01Lです。そのデザインに対するこだわりは、デザイナーの個人的な思いではなく、ユーザー評価や調査の結果を踏まえた、いわばユーザーのこだわりとも言えます。

UIについては、4.5インチから4.7インチへの大画面化とあわせ、ユーザーの実態に則した視認性や操作性の向上を目指しました。さらに、ホーム画面のボタンの立体感を抑え、アイコンを見やすくした新デザインに進化させました。これは、タッチする場所が分かりやすいように色分けやボタン形状を強調した立体的な表現の初代らくらくスマートフォンのホーム画面に対し、「最近はアイコンの形で機能を覚えられているユーザーの方が増えている」という現場の声を多くお聞きしたためです。

ハードにおいては、一般的に画面が大きくなると製品の幅も広がり、幅を抑えようとすると角が立ちやすいなどの影響が見られますが、私たちは、らくらくユーザーが最も重視している「持ちやすさ」や「手へのなじみやすさ」に徹底的にこだわりました。デザインコンセプトは「360°の“究極の丸み”」です。特に今回の機種では、従来の側面から背面にかけての曲面に加え、側面とディスプレイを継ぎ目ないひとつながりの形にするために設計者と議論を繰り返しました。その結果、縁が丸まったフロントガラスと本体との段差を極限まで小さくし、持った時に手になじむだけでなく、より薄く高級に見せる理想のラウンドフォルムに近づけることができました。また、正面から見たときの四隅の大きなコーナーラウンドは使い勝手を向上させるだけでなく、他社にはないアイデンティティ“安心を象徴するかたち”を表現しています。

カラーについては、質感が高くて明瞭、深く鮮やかな色合いを用いていますが、これには「シニア向けだから派手ではない落ち着いた色に」と過剰に配慮するのではなく、製品を手にした人によりスマートに、よりアクティブになって欲しいという思いが込められています。

らくらくスマートフォンme F-01L 2.5D ガラスを採用したラウンドフォルム。UI / ハードともにシームレスなデザインが特徴

“使いやすさ”と“美しさ”

“使いやすさ”と“美しさ”の両立。これはらくらくホンシリーズをデザインする上での重要なテーマです。ICT を用いてシニアのお客様のくらしをもっと豊かにしたい。その一貫した思いを大切にし、今後もお客様とともにより良い製品づくりを行っていきたいと考えています。

サービス&プラットフォーム・デザイングループ佐竹 芳文
 鎌田 正一
 金 娜廷
 小池 峻
 益山 宜治

(注)部署名・肩書は取材当時のものになります。

(左より)佐竹、鎌田、金、小池、益山
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