——— デザインセンターが取り組んでいる「デザイン思考」の浸透。みなさんにとっての「デザイン思考」とは?
寺西: 個人的には、手段と目的を混同しないようにするのが大事だと思います。富士通はデジタルトランスフォーメーション(DX)企業への変革を目的としていて、その手段としてデザイン思考の全社への浸透を考えています。それによって、全社の提案力やサービスが向上したり、クライアントとの関係性が変わったりする。重要なのは「デザイン思考」という手法ではなく、あるべき姿への変革を起こしていくカルチャーを作ることかなと思いますね。
岩井: 「デザイン思考」とは、ただ依頼された内容に沿ってアウトプットするのではなく、本当にユーザーにとって価値があるものは何なのかをとことん考えることだと思います。ユーザーの価値を多角的に捉えて、アウトプットを出し、そこからまた修正して、作ってというのを繰り返していくこと。かつ、どうやって人を幸せに豊かにしていくかを考えることでもあると私は思います。
佐藤: ユーザーのことを考えて作るという点は、どのデザイナーにも共通している根幹部分なのではないかという思いがあります。また、クライアントワークの場合は、ユーザーのニーズを突き詰めて考えたとき、「クライアントに言われたことは果たして正解なのか?」とデザイナーは一度考えると思うんです。それを見極めるためにも物の本質を考えるのが大事だと感じています。
棈木: デザイナーって、デザインを考えるときに「デザイン思考をしよう」と思っているわけではないですよね。アウトプットを出すときに踏む過程を言語化したとき、それがデザイン思考と呼ばれている。
佐藤: 確かに、デザイナーはただ「いいものを作りたい」と考えています。
棈木: 「デザイン思考とは何か」と考えるより、「デザインをするときにデザイナーが考えていること」に着目すると良いかもしれません。それが、先ほどみなさんが言っていた「ユーザーにとっての価値を考える」だったり、「物の本質を見抜く」といったことなのかなと思いますね。