富士通株式会社(以下、富士通)のデザインセンターは、富士通グループが提供するサービスやプロダクトのデザインを担い、また全社にデザイン思考浸透を推進するインハウスデザイン組織です。デザインセンターには現在約180名が在籍していますが、その1割以上はマーケター、コンサルタント、エンジニアなどのノンデザイナーです。
今回は富士通デザインセンターで働くエンジニアが、所属していたチームから期間限定で別のチームに異動した経験を「留学記インタビュー」としてまとめたものをご紹介します(全3回)。エンジニアの気づきや成長をぜひお楽しみください。
エンジニア@デザインセンター デザイン×アジャイルを学ぶ(第3回)~スクラム開発を学ぶ
エンジニア@デザインセンター
デザイン×アジャイルを学ぶ(第3回)
~スクラム開発を学ぶ

掲載日 2023年2月9日
Appチーム、PdM(プロダクトマネージャー)の吉川です。 スクラム体験のお話をされるとのことで、今回は私がインタビュアーです。 よろしくお願いします! スクラムを実際に体験してみて、いかがでしたか?
ヨシカワ
はい。スクラムについては知っているつもりでしたが、本質的なことは全く理解できていませんでした。「理解していなかったっていうことを知った」という感じですかね、いろいろとに勉強なりました。 例えば、これはAppチーム特有かもしれませんが、デザインと開発とで別の2つのスプリントが存在してまわっているということに、なるほど!と思いました。
サカモト
Appチームが採用しているスプリントサイクル、2つのスプリントが平行してはしっている
Appチームのスプリングフロー(一例)
バックログ管理として使っているAsana(タスク管理ツール)を見ると、それはそれはたくさんの作業タスクが作成されているんですよね。
これは大急ぎでたくさん実装しなきゃ!って思ったんです。 それで、スプリント内でもっとできますよ、このチケット簡単そうだからこれもできますよ!すこし残業すればこれだって!と・・・笑 だから最初はものすごく見積があまくって、結構焦って作業するはめに・・・たくさんチケットを残した反省が多い初回スプリントでした。
吉川PdM(プロダクトマネージャー)がこんなことをおっしゃっていました。
坂本さん、アジャイルではタイムボックスという考え方があって、例えばもともと週40時間の枠があり、そこに作業を当てはめていくわけですね。
人間は疲れるし、休まないと効率も悪くなりミスもするので、オーバーワークは長期的にNGです。プロダクト開発はマラソンなので。
ヨシカワ
サカモト
すごくびっくりしました。そんな優しい言葉・・・いいんですか?と笑
これまで無理することがずっと普通の感覚だったんです。週40時間あるとしたらあと残業として10時間はバッファあるよねとか。でも疲弊しまくって生産性が悪くなって、チームもギスギスする経験はたくさんしてきました。
無理しなくていいんだ。休むことの重要さを理解してくれるところなんだ、と感動しました。笑
サカモト
IT業界は納期が近いと泊まり込みで作業する文化もありましたからね。さすがに今は時代が違うとは思いますが、それだけ残業が多い業界で、エンジニアへの負荷が高いというか。
ヨシカワ
そうなんですよね。残業たくさんしてる人が誇らしげにしてたり、昔の劣悪な環境を自慢したり。笑
懐かしむ分にはいいですけどね。さすがに今は撲滅傾向にありますね。よいことです。
無理して詰め込むなんて時代遅れなのだ
サカモト
先ほどの1スプリントのスケジュール会議体は開発チームだけのものをあげていますが、 この他にも、デザイナーチームによるUIレビュー会や、戦略企画メンバーによる営業リサーチの会があり、そこにエンジニアが参加できたりもします。開発スプリントに入る前の、検証スプリントの作業を見学できるんですよ。
その後に、開発のバックログにタスクが登場したときの、理解のしやすさがぜんぜん違いますよね。
吉川PdMが過去に作られた資料の中でまたいいこと言っているんですよ。
チームとはビジョンを共有し、共体験を蓄積し、ときには衝突しながら、徐々に出来上がるものです。『全員で一人の人間』と思って頑張りましょう。
ヨシカワ
サカモト
あと吉川PdMがおっしゃったことでもう一つはっとした言葉があります。
システムの開発だけを開発というのではなく、デザインも戦略も含めて「開発」なんですよね。 我々がやっているのはシステム開発ではなくプロダクト開発なので
ヨシカワ
サカモト
なるほど!と。私にとってマインドチェンジポイントでした。
エンジニアは「開発屋さん」て言われたりすることも多くて、エンジニア=開発という概念なんですよね。でも、検証もリサーチもデザインも、システムを作り上げ広めていくために全員が開発メンバーなんだよ、と。 このプロダクトを作り上げることは開発メンバーだけではできないんだよなあ、と視野がひろがりましたね。
サカモト
なんだか照れますね・・・
ヨシカワ
そんな風に色々なことを教えてくれた完璧に見える吉川PdMも、迷い悩む時もあって・・・ でもそんなときはマネージャーがスマートにフォローしたり、別視点からなめらかに導いてくれるんですよね。
誰かが困ったり躓いたりしたとしてもそれを発信しやすく、全員で改善を考えたり補い合う、すばらしいチームだなあと思いました。
サカモト
スプリントのお疲れ様会、よかったことや、よくなかったことを共有する
スプリントレビューのあとに、今スプリントの振り返りをする打ち上げの音楽を流しながらmiroで「よかったこと / 共有したいこと / よくなかったこと」を付箋で貼りあって、全員で共有しあいます。
このチーム用にカスタマイズしたレトロスタイルのようで、プライベートな内容の共有もOKということで、みなさんこの時間になると楽しそうですよね。笑
ついつい私もはしゃいでたくさん付箋貼ってたんですけど、吉川さんが以前作成されたアジャイルチームビルディングの資料の中で、苦労したことの章に「レトロが振り返りとカイゼンの場なのに、みんな楽しい話をしちゃう」と書かれているのを見て、あ・・・と。笑
それからは控えるようにはしましたけど・・・できてなかったかも。笑
サカモト
時間内に共有終えられないから、付箋をたくさん貼れない様にボードを小さくしたんだけど、 みんな付箋を小さくするのか結局たくさん貼られちゃうんですよね・・・
ヨシカワ
っていうのを吉川さんがある日のレトロの最後に言ったときは大笑いしてしまいました。
そっとボードを小さくしておくという、みんなを傷つけないようにして改善をはかってたんだと。でも、そんなこととは露知らず楽しい付箋をはりつづけるメンバー。難しいですね。笑
3人3つまでの付箋にしましょうというルールにしてなんとか改善できましたかね
サカモト
留学終了とまとめ
みんなレトロを楽しんでいるのは良いのですが。笑 チーム留学記はこれで終了ですね。坂本さん、わがチームはいかがでしたか?
ヨシカワ
最初はAppチームの開発を手伝ってという話から始まったこのスクラム留学ですが、自分でも想像できないくらい、それはそれはいろいろなことを体験させてもらいました。
デザイナーやプロモーターと密に連携しながら開発を進める楽しさを知りました。
スクラム手法を学んで最初は混乱しましたが、今となってはスクラム開発サイコウだな!という気持ちです。
ウォーターフォールとか、もう無理かもしれない・・・笑
個で仕事してたときは不安感によくつぶれそうになったけど、
スクラムはチームワーク。
ひとりぼっちにならないってこんなにも楽なんだなあ。
サカモト