——— 入社後、デザインセンターへ異動されるまでの経緯を教えてください。
田中: 2017年に富士通新卒で入社してからは、地方自治体や公立図書館といった公共領域のお客様を担当し、職員の業務効率化や住民サービスの向上等を目的としたシステム導入を提案するビジネスプロデューサーとして活動しました。その後、入社5年目を迎えるタイミングでデザインセンターへの配属を希望。2021年4月、正式に異動しました。
——— 異動を希望された理由はどんなものでしたか?
田中: もっとも大きな理由としては、現場のデザイナーとして手を動かしたいという思いが強くなっていったからです。それまでの職種だったビジネスプロデューサーは、お客様の課題解決のためのシステムやサービスを提案する営業職で、主にエンジニアのメンバーと連携し、プロジェクトを動かすような仕事でした。
やりがいを持って働いていましたが、次第に感じるようになったことがあったんです。当時の主流なビジネス手法は、パッケージ化された富士通の製品をお客様の課題に合わせて提案することでした。しかし、行政においてもDXの重要性が増し、お客様が抱える課題の抽象度が高まるにつれて、これまでのパッケージを売るやり方では課題解決につながらないのでは……という感覚が強くなっていきました。より本質的な解決をもたらすためには、お客様が実現したいことは何なのか、一緒にテーブルを囲んでじっくりお話を聞き、ニーズや課題を明らかにした上でサービスを設計する必要があるのではないか…と。
同じころ、組織も働き方やお客様や地域との向き合い方を再考する変革期でした。そうした、私自身も組織も何か動こうとしている時期に、「私はこの社会と組織の変革期にどんな立場でどう向き合いたいか?」を考え始めていました。
そんな思いを抱いているとき、担当案件でデザインセンターの方と協働する機会がありました。デザインセンターの方は、ユーザーのニーズを理解するためにデザイン思考を活用した場づくりや伴走を行い、本当に解きたい課題に顧客と向き合う仕事を行っていて、まさに私がやりたい仕事だと思ったんです。
プロジェクトを自ら動かしていくビジネスプロデューサーもやりがいの大きな仕事です。ただ、私はお客様と並走して、手と頭を使いながら課題を明らかにしていく仕事により大きな興味を持ったため、デザインセンターへの異動を希望しました。