セミナーレポート
小中高Webセミナー 2024年2月6日開催
GIGAスクール構想による教育現場でのICT活用が進む中、日々の教育活動において児童生徒、教員がいかにICTを日常使いしながら教育効果を上げていくかが注目されています。 2024年2月6日に開催されたWebセミナー「ICTの日常使いから進む教育DX~デジタル特性を活かした教育実践のご紹介~」では、兵庫県播磨町立蓮池小学校の先生方をお招きし、蓮池小学校の実践事例の紹介、対談が行われました。日常的にどのようにICT活用を進めておられるのか紹介します。
インプット:活用サービス(デジタル教材)の概要紹介
サービスの概要について簡単にご紹介しました。
≪主な特長≫
・従来より慣れ親しんできた漢字ドリルや計算ドリルといった紙の教科書準拠の教材をタブレット上でもタッチペンを使って書き込みながら学習できます。
・その場で自動採点し自学自習はもちろん授業や宿題などさまざまなシーンで活用いただけます。
・児童生徒の学習状況を可視化し、指導支援に活用いただけます。
本サービスは、学校の先生方が紙の教材を購入するのと同様に、児童生徒に使わせたい教材を先生方で選んで購入いただけます。
なお、2024年4月より、教育委員会様で一括導入することも可能になります。
実践報告:ICTの日常使いから進む教育DX 兵庫県播磨町立蓮池小学校 坪内 亮 氏
日常文具としてデジタル機器を活用することは進んできていましたが、家庭学習での活用に課題がありました。そこで計算ドリルをデジタル化し活用できないかと考えて導入しました。
特長として、「自動採点」「繰り返し学習できる」「実施状況の確認が簡単」「個に応じたフィードバックができる」という4点があげられます。
1.自動採点
その場ですぐに結果がわかるので子どもは解きなおしがすぐにできる。家庭で解きなおしも含めてできることで、家庭学習がより主体的にできるのではと考えています。自動採点も性能がすごく高いと感じています。
2.繰り返し学習できる
紙でもできるがデジタルではより手軽に何度でも学習できるので、児童は苦手な学習に対しては何度も頑張る姿が見られました。
3.実施状況の確認が簡単
誰がやっているか、どれくらいの正答率か一目瞭然でわかります。全体の学習状況を把握することに従来よりも時間短縮できるようになりました。また、それぞれの児童が実際に解いた画面が見られ、いつだれがどんな風に学習したのかわかるので、家庭学習の詳しい状況がより一層わかるようになりました。児童が解いた画面を動画再生できるため学びの思考過程まで確認することができるので、気になった児童への支援に活用しています。
4.個に応じたフィードバックができる
個々の個票を見ながら子どもの得意な部分や苦手な部分を把握し、個に応じたフィードバックが可能になっています。
サービスを活用して業務の効率化が図れたことも大きいと感じています。教員がひたすら作業としてまるつけをしていたことから解放され、その分教材研究などの時間が捻出できました。また個別の学びの最適化という意味でも家庭学習でも授業でも効果的に活用することができたと感じています。
QA
應田
家庭学習での活用における子どもの反応はいかがでしょうか?
坪内
子どもは自動採点がすぐできることは良さとして感じています。操作に慣れるまでは励ましが必要ではありますが。
應田
業務の効率化を通して、教材研究に時間を捻出できるようになったとのことですが、授業準備する時間がなかなか取れないという課題が全国的にもあります。そういった意味でも、ちょっとした準備の時間にあてがえるようになったということでしょうか。
坪内
朝の時間にまるつけしていたが余裕出来た分、学年打合せをしたり教材の準備をしたりすることができるようになりました。余裕ができたことは大きいと感じています。
対談:学校組織で取り組む教育DX
日常使いの浸透
應田
日常使いの浸透における具体的なノウハウについて教えていただけますか?
坪内氏
黎明期では、デジタルでできることはデジタルでやろう!と校内で声がけしてきました。
應田
デジタルでメリットを実感した取組は何かありますか?
水原氏
連絡帳をデジタル上で教員が作成し児童に共有しています。日々のコメントを工夫することで毎日子どもはタブレットを確認しているので、日常使いという意味で子どもは慣れてきました。
應田
日々準備するのに先生の作業負荷は大きくはないですか?
水原氏
慣れれば数分で作成できるし、急遽の内容変更にも対応しやすいです。
應田
授業での参考事例はなにかありますか?
福田氏
社会科や国語科では教科書の資料や本文をデジタルで共有し、デジタルの付箋紙等に気づきを学級のみんなで記載する取り組みをやっています。思考の共有に役立っています。また国語科では、あらすじを文章だけでなく、表や図など子どもが方法を自分で選んで表現し、それらを共有し合うことで、表現手法を学び合うことも行っています。
應田
思考の共有という言葉がありましたが、デジタルの特性という観点で感じていることはどんなことでしょうか?
坪内氏
子どもの思考過程が共有できるし、時間をおいて丁寧に見とれることがデジタルとしてよいと感じています。
應田
子どもにデータが紐づいているからこそ、子どもが学びの中で得られている効果としてどのようなことを感じていますか?
福田氏
普段なかなか発表できていない子がデジタル上で自分の意見を表現できるし、いろんな子どもの意見ももらえるのはデジタルの良さだと感じています。
應田
先生方は多様なツールを使いこなしておられるが、教員間同士で学び合っているのでしょうか?
坪内氏
本稿ではオープン研といって、教員が自由に提案できる研修があります。デジタルだと自分の実践を共有しやすい特性もあり若手教員も自分から提案してくれています。
学校管理職によりリーダーシップ
應田
先生方が自由に学び合っている実態の背景にあるのは学校管理職のマネジメントがあると思いますが、そのあたり学校長として考えておられることはありますか?
井上校長
やってみたいことはどんどんチャレンジしてほしいと思い応援しています。若手教員がチャレンジしている姿を見るのも私としても楽しいです。
水原氏
自由にやらせていただいているのは感じています。教材研究の観点でも学習の足跡を残せるといったデジタル特性を活かした取り組みを実践しています。
教員の意識変革
水原氏
トライ&エラーが大事。子どももICT活用については知っていることも多いです。子どもから学ぶことも多いので、教員も子どもも一緒に学び合っています。
坪内氏
マネジメントしていく中で、みんなで目的を共有することが大事だと思っています。本来、GIGAが始まり、個別最適な学びと協働的な学びの一体化を進めていく流れがあり、そこにICTを使いながら促進していこうという教育の変革があります。従来のチョーク&トークでは対応できないです。この変革をボトムアップで広げていくのも草の根的にも広げていくのもいいと思います。播磨町は教育委員会もとても協力的だし、学校管理職も協力的。教員も意識して取り組んでくれています。関係者みんなの歯車がかみ合っていると感じています。
福田氏
使える人からちょっとずつ広げていく。隣の先生から。味方をどんどん広げていく。本校では情報委員会があって、子どもたち自身もレベルアップしています。
これからの展望
井上校長
本校は主体性や創造性を伸ばす教育を大事にしています。先生方からも、デジタル特性を活かして創意工夫されていることを伺い、ますます本校の教育が発展していけると嬉しく感じています。今後もデジタルをより積極的に活用していってほしいです。
関連ソリューション
Fujitsu 初等中等教育向けデジタル教材提供サービス
登壇者Profile
兵庫県播磨町立蓮池小学校
▶学校ホームページ
(左から)坪内 亮 氏、学校長 井上 英義 氏、福田 圭佑 氏、水原 公輝 氏
本校は、児童数750人ほどの比較的大規模な学校です。子どもの教育に関して熱心な家庭が多い地域で、保護者・地域とも学校に大変協力的です。
本校では、子どもの主体性や創造性を伸ばすことを目標としており、タブレットの活用もこれを実現するための大切なツールと考え、様々な活用方法にチャレンジしているところです。
~個別最適な学びの実現に向けた教員による効果的な支援を目指して~
應田 博司 氏
富士通Japan株式会社 教育ソリューションビジネス部
元教員・指導主事。2019年4月より富士通へ転職。
ICT CONNECT 21交流会サブ部会長。
[2024年2月 掲載]
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