三井ホーム株式会社 様
SAP ERPを筆頭に全システムをAzureに移行し、
総合住宅ビジネスの成長に貢献する
システムの柔軟性を実現
三井不動産グループの中核企業として、高級注文住宅や賃貸住宅事業を展開する三井ホーム株式会社様。経営戦略として「持たざる経営」を掲げる同社は、社内で運用する全システムのクラウド化を決断し、その基盤としてMicrosoft Azureを採用。SAP ERPの移行に際しては、富士通の「アセスメントサービス」でパフォーマンスや可用性などを検証。移行のタイミングでアプリケーションのバージョンアップやサーバOSの最新化を実行し、DR環境の構築とともに、データセンターやハードウェアなどITインフラコストの大幅な削減を実現している。
会社概要 | |
---|---|
会社名 | 三井ホーム株式会社(Mitsui Home Co.,Ltd.) |
業種 | 流通業 |
導入製品名 | 富士通のSAPソリューション |
三井ホーム株式会社 様 課題と効果
- 課題IT機器や設備を自社で保有しない「持たざる経営」を実現したい
- 効果SAP ERPを含め自社環境をすべてAzureに移行し柔軟性や俊敏性を向上
- 課題個別最適化している業務部門のシステムをクラウド基盤に集約してガバナンスを強化したい
- 効果DR環境の構築や周辺システムも考慮しながらシステムの全体最適を実現
- 課題データセンター設備の維持管理、サーバの調達/運用、電源などのコストを削減したい
- 効果10年単位でトータルコストを削減し、インフラ運用負荷も大幅に軽減
導入の背景
「木造イノベーション2017」に向けたシステムグランドデザインを作成
“暮らし継がれる よろこびを未来へ”をミッションステートメントに掲げ、末永く愛される住まいと暮らしを提供する三井ホーム様。木造建築技術「ツーバイフォー工法」を用いた注文住宅事業で成長を遂げて来た同社は、近年これまでの実績をもとに、リフォーム事業の強化に取り組んでいる。さらに、老人介護施設などの医療・福祉施設、幼稚園や保育園などの文教施設、店舗など、人が集まる空間に木のやさしさを提供する大規模木造事業を積極的に手がけている。
情報システムは近年、経営戦略と密接な関連性を持つようになってきている。そこで同社は、中長期経営計画「木造イノベーション 2017」において新たなシステムグランドデザインを作成し、インフラの再構築、積極的なIT投資、ITマネジメントの確立を目標に掲げた。執行役員 情報システム部長の長野正人氏は次のように語る。
「インフラの再構築は、『持たざる経営』の推進が最大の目的です。従来は、自社で建物から構築したデータセンターで社内の全システムを運用していましたが、IT機器や設備を資産として持ち続けていては、市場の変化に俊敏に対応できません。そこでクラウド環境に移行することで、柔軟性や俊敏性を高めたいと考えました。また、事業部門やグループ企業ごとに個別最適化されていた各種システムを統合して全体最適を図り、ITガバナンスとセキュリティも強化することを決めました」
同社の基幹システムは、メインフレームから切り替える形で2007年にSAP R/3を導入し、プロジェクト管理から販売管理、在庫管理、会計までの業務を統合。2014年頃に上記のシステムグランドデザインの方針が固まり、さらに各種設備の更新時期が迫ってきたこともあり、クラウドへの移行に着手した。
導入の経緯
アセスメントサービスを活用し、想定通りの性能と冗長性を確保
三井ホームはクラウド移行にあたり、ビジネス用途での使い勝手に優れていることと、既存のWindowsサーバ環境との相性を考慮してAzureを採用した。SAPシステムの移行にあたっては富士通をパートナーに選定し、導入前の「アセスメントサービス」で詳細を検証した。情報システム部 システムグループ マネジャーの小原哲夫氏は、採用の経緯について次のように説明する。
「富士通にはiPadを使った住宅メンテナンスシステムの構築を依頼した実績があり、SAPシステムの導入/移行に関する体制や人材も整っていると聞いていました。Azureに関しても導入支援サービスを手がけている実績があり、技術面でも安心して任せられると判断しました」
アセスメントサービスでは、移行検証や性能検証を実施し、DR環境の構築や周辺システムも考慮しながらシステム基盤の全体最適を検討した。「まずは現在のSAP環境がAzure上できちんと動くか確かめました。さらに、当社独自の冗長化構成やバックアップの実現方法も富士通のSEと共に検討しました。今回のクラウド化は、これまでコストの関係で実現できなかったDR環境を作ることも目的の1つでしたので、Azureの機能を使ってどのようにDRサイトまでデータをコピーするかといったことを検証しました」(小原氏)
三井ホームは約3カ月にわたってアセスメントを実施し、想定通りの性能向上とSQLServerのAlwaysOnおよびSIOS社のDatakeeperを使用することによる冗長性の確保が実現できることを確認した後、2016年9月から移行プロジェクトを開始した。既存のSAP R/3を最新のSAP ERP(ECC6.0)EhP 7.0までアップグレードし、サーバ環境もWindows Server 2008からWindows Server 2012 R2、SQL Server 2005からSQL Server 2014までアップグレードする大がかりなものだった。
「将来を見据えて、アプリケーションもインフラもすべて最新化することにしました。とはいえ、アドオンは400本近くあり、さらに今回はSAPシステムと連携している顧客情報基盤やデータ連携フレームワークも合わせてAzure上に移行するため、アプリケーションのテストや周辺システムとの連携テストには時間をかけました」(小原氏)
アプリケーションやインターフェースの改修後、複数回の移行リハーサルを経て2017年8月の夏期休暇を利用してAzure上の環境に移行し、運用を開始。DR環境はAzureの西日本リージョンに設置し、必要な時に電源を入れて立ち上げるコールドスタンバイで運用する方針とした。情報システム部 システムグループ 主任の菊元公彦氏は、富士通の移行支援について次のように語る。
「アセスメントを通じて課題の抽出とともにアップグレード手順を確認できたことは、クラウド化を進めるうえで非常に有効でした。システムのアップグレードから移行までスケジュールがしっかり管理され、計画通りに進めることができました。富士通には豊富な構築経験があったため、問い合わせの回答も迅速で、当社独自の冗長化構成の実現に関しても安心してお任せできました」
移行後の効果
10年単位のトータルコストを従来の3分の2まで圧縮
SAP ERPの最新バージョンへのアップグレードとAzureへの移行により、システム全体のパフォーマンスは向上し、通常のトランザクション処理やバッチ処理で2倍から5倍の時間短縮が実現した。10倍から20倍の高速化が実現しているものもあるという。
コスト面では、長期スパンで見たデータセンターの運用やハードウェアも含めて、大幅な削減が見込めると情報システム部 システムグループ長の野本晴由氏は述べている。
「従来のデータセンターで運用を続けた場合、各種設備の維持管理、サーバ機器の調達・運用、電源まで膨大な費用が発生します。さらにDR環境を自前で構築しようとすると、建物や設備も含めて現在の2倍のコストは覚悟しなければなりません。これらを含めた10年単位のトータルコストを考えると、従来の3分の2まで圧縮できると考えています」
また、インフラの運用負荷も軽減される見込みだ。「データセンターでは毎日のようにハードウェア故障が発生するため、運用要員が毎日早朝に稼動チェックを行っていました。クラウド化によってこうした不安要素がなくなり、バックアップ環境も即座に用意できます」(野本氏)
今後の展開
全システムをクラウド化し、既存データセンターを廃止
三井ホームでは、SAPシステムのクラウド化に続き、データセンターで運用しているその他の業務系システムや情報系システムを順次Azure上に移行している。2018年1月までにはすべてのシステムをクラウド化して、データセンターを廃止する予定だ。
「個別最適化している業務部門のシステムの全体最適を実現し、ITガバナンスやセキュリティの強化を進めていきます。また、それまでシステムの運用やサポートに従事していたデータセンター要員の業務もクラウド化で軽減されるため、優秀な人的リソースをビジネスの成長や売上の拡大に向けたフロントエンドの業務システムの開発に投入し、積極的なIT投資を続けていきます。そのためにも富士通には引き続き、業務効率の向上につながる提案を期待しています」(長野氏)
クラウド基盤は「暮らし継がれる家」を提供する三井ホームの経営を支え、今後も同社のさまざまなイノベーションに貢献していく。
(左から)野本氏、長野氏、小原氏、菊元氏
三井ホーム株式会社 様
本社所在地 | 〒163-0453 東京都新宿区西新宿二丁目1番1号 新宿三井ビル53階 |
---|---|
代表者 | 代表取締役社長 市川俊英氏 |
設立 | 1974年10月 |
資本金 | 139億70万円 |
従業員数 | 2,179名(2016年4月1日現在) |
事業内容 | 注文住宅事業・賃貸住宅事業・医院建築事業・大規模木造事業・商業デザイン事業・商品販売事業・海外事業・リフォーム事業ほか |
ホームページ | http://www.mitsuihome.co.jp/ |
[2017年12月掲載]
- SAP、SAPロゴ、記載されているすべてのSAP製品およびサービス名はドイツにあるSAP SEやその他世界各国における登録商標または商標です。またその他の商標情報および通知については、https://www.sap.com/copyright をご覧ください。
- 本資料に記載されているシステム名、製品名等には、必ずしも商標表示((R)、TM)を付記していません。
本事例に関するお問い合わせ
-
入力フォームへ
当社はセキュリティ保護の観点からSSL技術を使用しております。
-
富士通コンタクトライン (総合窓口)0120-933-200(通話無料)
受付時間:平日9時~17時30分(土曜・日曜・祝日・当社指定の休業日を除く)