PGConf.dev 2025参加レポート - PostgreSQLの学習型インデックス:技術者Blog
PostgreSQLインサイド

Gary Evans

Fujitsu Australia Limited
Senior Offerings and Center of Excellence Manager

Nishchay Kothari

Fujitsu Australia Limited
Technical Consultant, Fujitsu Enterprise Postgres Center of Excellence

本記事は、Gary Evans氏による「Exploring learned indexes in PostgreSQL: Insights from our session at PGConf.dev 2025」を翻訳したものです。より正確な情報や詳細については、原文をご参照ください。

はじめに

PGConf.devとは、PostgreSQL開発者とコミュニティ運営者が一堂に会して講演・議論を行う国際カンファレンスです。一般的な技術イベントとは異なり、企業の宣伝ではなく開発者間の交流に主眼を置いているという特徴があります。

PGConf.dev 2025で、富士通の同僚であるNishchay Kothari氏と共に、PostgreSQLの学習型インデックスに関するセッションに登壇できたことは、非常にエキサイティングな経験でした。ご参加いただけなかった方のために、私たちのプレゼンテーションの内容を共有したいと思います。このブログ記事は、Nishchay Kothari氏との共同執筆です。
最新のデータベース研究で急速に関心を集めているトピックについて、PostgreSQLコミュニティーの皆様と議論できたことを大変嬉しく思います。学習型インデックスとは、B-Treeやハッシュインデックスといった従来のデータ構造に頼るのではなく、機械学習モデル(主に、軽量な回帰木やニューラルネットワーク)を活用してデータ項目の位置を予測する、新しいインデックス技術です。
この最先端のアプローチは、機械学習モデルを活用してデータベースのインデックス作成を最適化し、特定のワークロードでパフォーマンスとストレージの改善につながる可能性があります。

講演内容

私たちの講演では、学習型インデックスの理論的基礎と、学習型インデックスをPostgreSQLの拡張可能なインデックスフレームワークに統合する際の実際的な課題と考慮事項の両方を詳しく解説しました。
B-Treeのような従来のインデックス作成方法の代替案を検討する動機を掘り下げ、学習型インデックスの理論的基礎を概説し、ALEXやCARMIのような実際の研究と実装を検討し、学習型インデックスのPostgreSQLへの統合を探求しました。
さらに、データ量の増大や高度なパフォーマンス要求といった課題に対し、これらのモデルをPostgreSQLに統合する際のアーキテクチャ上の課題も強調しました。総じて、PostgreSQL環境における学習型インデックスの現状の実現可能性と将来性について、率直な評価をお伝えできたと考えています。

YouTubeで講演動画を見る
※こちらは英語の動画です。日本語の字幕でご覧になる場合はYouTubeの自動翻訳をご利用ください。

講演資料(表紙、アジェンダ)

結論

モントリオールで開催されたPGConf.dev 2025で、Nishchay Kothari氏と共にプレゼンテーションをできたことは光栄でした。活気に満ちた、知的で豊かなPostgreSQL愛好家のコミュニティの一員であることは、身の引き締まる思いと同時に大きな刺激となりました。このイベントには、データベース業界で最も優れた人材が集まり、PostgreSQLの可能性の限界を押し広げることに情熱を注ぐ他の人々と交流できたことは刺激的でした。私たちの研究と洞察を共有し、オープンソースデータベース技術におけるイノベーションをめぐる継続的な議論に貢献する機会を得られたことを大変光栄に思います。
データ量が増加し、ワークロードがますます複雑化するにつれて、PostgreSQLにおける学習型インデックスの重要性はますます高まっていくでしょう。従来のインデックス手法は依然として堅牢で信頼性が高いものの、機械学習ベースのアプローチは、特に読み取り負荷の高い分析環境において、パフォーマンス最適化の有望な手段となります。私たちの研究は、学習型インデックスをPostgreSQLのアーキテクチャに統合する可能性と課題の両方を強調しており、継続的な研究とコミュニティの協力により、これらの技術は実験段階から不可欠なものへと進化していくと確信しています。この旅はまだ始まったばかりですが、PostgreSQLエコシステムがこのインテリジェントなインデックス作成をどのように活用していくのか非常に楽しみです。

関連リンク

PGConf.dev 2025での講演内容については、以下をご覧ください。

2025年7月22日公開

富士通のソフトウェア公式チャンネル(YouTube)

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