富士通PostgreSQLチームのシニアディレクター Amit KapilaがPostgreSQL 13とその後について語る:技術者Blog
PostgreSQLインサイド


Amit Kapila
FUJITSU Limited
Software Products Business Unit Data Management Division
Senior Director
はじめに
PostgreSQLはここ数年、年に数回のマイナーリリースに加えて、新機能を含む新しいメジャーバージョンを毎年リリースしてきました。コミュニティーメンバーによる活発な議論と開発作業が絶え間なく継続的に行われており、大きく発展していくなかで、より大規模で重要なシステムでの利用を拡げています。
PostgreSQL 13
Amit
私が個人的に有用だと思う2つの機能は、B-Treeインデックスの重複排除と並列バキュームであると、以前のブログで述べました。また、PostgreSQLを強化するために、問い合わせの性能や統計情報の改善など、多くの機能も追加されました。
リリースごとに、多くの企業の人々がさまざまな段階で貢献し、高いレベルのイノベーションと品質を確保しています。これが健全なコミュニティーの仕組みです。毎年、多くの新しいメンバーがコミュニティーに参加し、イノベーションをさらに高めています。
PostgreSQLコミュニティーは特定のロードマップを定義したり持ったりしていませんが、最近の貢献を振り返ると、人々は垂直スケールと水平スケール、バックアップ技術、高可用性、並列処理、ロジカルレプリケーションなどの分野に興味を持っています。これらは最近注目されている主要分野の一部です。PostgreSQL 13では、これらの分野のほとんどで進歩が見られました。そして、今後のリリースでは、これらの各分野でさらに進歩することを期待しています。
PostgreSQL 13で実装できなかった機能
Amit
当然ながら、すべてのリリースで、そのバージョンに含まれなかった開発中の機能があります。そのうち、個人的には2つの機能が気に入っています。
その1つが、PostgreSQL 14で実装が予定されている、実行中のトランザクションとプリペアド状態のトランザクションについてのロジカルレプリケーションへの対応です。これにより、現在よりも多くのユースケースでロジカルレプリケーションを使用できるようになります。(まあ、もしそうならなくても、少なくともロジカルレプリケーションについての人々の注文は減るでしょう。)
もう1つの機能は、スケーラビリティーの改善です。これにより、パフォーマンスのスケーラビリティーが向上することで、PostgreSQLを大規模なコアマシンで使用できるようなります。
現在、PostgreSQLは大規模なデータベースシステムで使用され始めています。より多くの金融機関や政府機関がそれを採用しています。私はこれが将来の方向性だと信じます。証券取引所や大手銀行などの金融機関は、PostgreSQLをミッションクリティカルなデータベースシステムとして検討し始めるべきです。これはPostgreSQLがさらに発展していく上で重要な領域です。実行中のトランザクションとプリペアド状態のトランザクションのロジカルレプリケーション、およびスケーラビリティーの改善は、この方向性に沿っています。
どちらも現時点ではPostgreSQL 14でのコミットが予定されていますので、おそらくPostgreSQL 14でこれらの機能が使用できるようになるでしょう。
これらの機能が最近のリリースに含まれていない主な理由は、議論がリリースサイクルのずっと早い段階で始まったにもかかわらず、多くのコミュニティーメンバーが、コミットする品質に至っていないと感じているからです。しかし、現在までに、この機能の一部はPostgreSQL 14に既にコミットされており、他は活発に開発が継続されています。これは、イノベーションだけでなく、品質に対しても私たちが注力している証拠です。
PostgreSQL 13とFUJITSU Software Enterprise Postgres
Amit
富士通ではPostgreSQLの開発以外にも、FUJITSU Software Enterprise Postgresをコンテナとして動作可能とすることや、そのコンテナがOpenShiftで動作することをRed Hatに認定してもらう、などの取り組みが進行中です。これらの取り組みは、PostgreSQLを様々なワークロードや様々なユースケースで利用可能にする上で非常に価値があります。将来的には、他の興味深い機能にも取り組んでいくつもりです。
今後への期待
Amit
先に述べたように、PostgreSQLコミュニティーは特定の組織によって運営されているわけではありません。しかし、私の観点からは、今後5年間で、高可用性の向上、水平スケールまたはシャーディングによる書き込みスケールアウト、並列処理、ロジカルレプリケーションの改善を期待しています。
また、プラガブルストレージの分野では、新しいストレージエンジンが登場することを待ち望んでいます。
それに加えて、マルチコア、マルチCPUシステムでPostgreSQLによるパフォーマンスのさらなる改善と、スケーラビリティーの改善にも興味があります。
このトピックに関する私の見解については、次回のブログでさらに詳しく述べたいと思います。
2020年10月30日公開
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