既存システムを活かしたクラウドシフトのポイント 第1回
~業務ごとのデータ管理はどうしたら良いのか?~
クラウドネイティブNow

梅田 直樹

富士通株式会社
ソフトウェアプロダクト事業本部 データマネジメント事業部 マネージャー

はじめに

マーケットのニーズに迅速に対応していくために、クラウドネイティブ技術を使い、既存システムを活かしてアジリティーやスケーラビリティーを向上する「クラウドシフト」に取り組むお客様が増えています。
本特集では、アプリケーションやデータ、運用といった切り口でクラウドシフトに使える技術の活用ポイントを最新動向を交えて全3回に渡って紹介します。

クラウドシフトに潜むデータ管理の悩み

DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するためにはシステムのアジリティー(機敏性)を高める必要があります。このため、既存アプリケーションを業務ごとの小さなサービスに分割してクラウドシフトしたうえでAPIによって連携させるマイクロサービス化を進めるシステムが増えています。
マイクロサービス化されたシステムにおけるデータ管理では、業務ごとにデータベースを持たせてアジリティーを高めることが重要です。しかし、マイクロサービス化された複数の環境に対してデータベースの構築・運用が必要になるため、管理者の作業が煩雑になるのがネックです。また、セキュリティ対策やDX推進のカギとなるデータの信頼性を確保するためには高い可用性を保たねばならず、マイクロサービスごとのデータ管理を実現するのは大変だと感じる方も多いのではないでしょうか。

クラウドシフトに潜むデータ管理の悩み

これを解決するための有効な手段が、コンテナ技術を活用したデータベースを利用することです。
コンテナとは、アプリケーションとアプリケーションの動作に必要な実行環境であるミドルウェア、ランタイム、エンジン、ライブラリーなどを1つのパッケージにする技術です。可搬性が高くオンプレミスからクラウドまで、どこでも迅速に持ち運んで動作させることができます。このコンテナを利用して従来データベース管理者が行う要件定義や設計、インストールやセットアップを組み込んで型決めしたデータベースが「コンテナ型データベース」です。

コンテナの利用

さらに、この可搬性が高いコンテナの運用を手助けする管理基盤として「Kubernetes(クバネティス)」というオープンソースのコンテナオーケストレーションシステムがあります。Kubernetesでコンテナの生成や消滅といったライフサイクルを管理することでアプリケーションの運用を自動化したり、業務負荷に応じてシステムをスケールアウトして負荷分散を行うといった運用を自動化できます。

Kubernetesでライフサイクルを管理

これらのコンテナ型データベースと運用管理の自動化機能を組み合わせることで、マイクロサービスごとのデータ管理にまつわる課題を解決できます。

データベースを複数環境で構築・運用することが煩雑という課題

さきほど「業務ごとにデータベースを持たせるとなると、複数の環境におけるデータベースの構築・運用が必要となり管理者の作業が煩雑になる」と説明しましたが、これを解決する手段としてコンテナ運用上の複雑さを軽減する「オペレーター」と呼ばれる機能を利用します。オペレーターはRed Hat OpenShiftなどのコンテナプラットフォームを構成する部分の管理から、マネージドサービスとして提供されるアプリケーションまでを自動化できます。この機能を利用してデータベースの導入やセットアップから運用管理までを自動化するのです。

オペレーターの利用

これにより、データベース管理者(DBA)はGUI画面からの簡単な操作でデータベースコンテナの配備・運用が自動で行えるので、高可用な環境にバックアップ運用もついているデータベースシステムを、わずか数分で配備できるようになります。また、オペレーターではパッチの適用も簡単に行えるので、データベース環境の保全も効率化できます。

データの信頼性を確保するために高い可用性を保つ必要があるという課題

もう一つの「DXのカギとなるデータの信頼性を確保するために高い可用性を保つ必要がある」という課題に対してもオペレーターの機能を活用することで解決できます。
可用性を高めるにはオンプレミスでもクラウドでも必要なことに変わりはありません。複数のコンテナを組み合わせてデータベースを冗長化したり、フェイルオーバーやバックアップ / リカバリーによる迅速な復旧、ロードバランシングによる負荷分散などです。これらを実現するために必要な設定であるコンテナの切り替えやデータベースのバックアップやリカバリー、想定外のアクセス増加に対応するスケールアウトなどをオペレーターのポリシーとして登録しておきます。
あとは、追加の指示は不要でオペレーターがシステムの状況を判断して自動的に運用・保守を実行しますので、高い可用性を自動的に維持してくれます。

オペレーターによる運用

ビジネスユースで安心して利用できるコンテナ対応のPostgreSQL

富士通が提供するデータベース「FUJITSU Software Enterprise Postgres」は、当社の技術でセキュリティ・信頼性・性能を強化したビジネスユースで安心して利用できるPostgreSQLです
コンテナに対応しており、コンテナの導入・運用を自動化するオペレーター機能である「FEPオペレーター」を提供しています。
このFEPオペレーターは、Red Hat OpenShift Operator Certifiedを取得しており、オペレーター成熟度モデル(注1)で最高位となる「Level5(Auto Pilot)」の認定を取得しています。さらに、富士通による24時間365日のワンストップサポートによりオペレーター機能をお客様に安心して利用いただくことができます。

FUJITSU Enterprise Postgres

関連情報

当社が提供するデジタルビジネスを支えるデータベース「FUJITSU Software Enterprise Postgres」の詳細は下記ページをご覧ください。

当社が提供するPostgreSQLにエンタープライズ向け機能を追加したフルマネージドのDBサービスの詳細は下記ページをご覧ください。

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