ローカル5Gによって大量データをエッジからクラウドへ集約し
現場DXを実現
- 富士通の知見を集約したエッジ&クラウドビジネスサポート -
DX推進のため、事業の現場から取得したデータをクラウドに集約・活用したいニーズが高まっている。しかし、集めるデータ量が膨大になり、リアルタイム性やリモートメンテナンスも求められるなか、伝送能力やストレージの確保に課題が生じている。そこで、エッジコンピューティングとクラウドの組み合わせによる解決が期待されており、富士通ではこれまでの知見を活かした「エッジ&クラウドビジネスサポート」の提供を開始した。IoTやローカル5GなどのITインフラの検討や課題解決に向けたコンサルティング、設計・構築、運用支援サービスが顧客にもたらすベネフィットを富士通担当者に聞いた。
デジタル化社会に向け、現場向けシステムの
アーキテクチャに求められること
データに基づく意思決定によって、事業の効率化や変革を行うDX。工場や物流、建設現場、設備管理などさまざまな現場でDXを推進するにあたり、カメラやセンサーなどのIoT機器を導入し、クラウドにデータを集約して活用したいというニーズがある。しかし、IoT機器の増加に伴いデータ量が増え、アプリケーションも高度化すると、クラウド側への伝送能力やデータストレージの容量確保が必要となる。
そこで、注目されているのがIoT機器から取得したデータを現場に近いエッジ領域で処理をしてクラウドと連携するアーキテクチャだ。それに加えて、自動運転やロボット、ドローンなどよりリアルタイムに高解像度の映像や制御が必要になるシーンでは、ローカル5Gをはじめとする高速ネットワークを組み合わせることも重要だ。さらに、現場への移動を伴わずに施設の点検などを行うリモートメンテナンスの需要も増えており、ここでもエッジを加えたクラウドシステムの需要が高まっている。
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エッジコンピューティングの導入によって現場データ分析・活用のリアルタイム化を実現。
こうした状況から、富士通では、IoTを活用した現場業務の効率化や新たな事業創造に必要なITインフラの検討や課題解決に向けたコンサルティング、設計・構築、運用を支援する、「FUJITSU ネットワークサービス エッジ&クラウドビジネスサポート」(以下、エッジ&クラウドビジネスサポート)の提供を開始した。
富士通株式会社 ネットワーク&セキュリティサービス事業本部 サービスビジネス事業部 インテグレーション部 マネージャー 赤木竜三は「我々の部隊では、もともとIoTビジネスを展開していました。これまでは主に産業装置のリモートメンテナンスなどのためのM2M(Machine to Machine)やネットワーク、データ収集などを行っていましたが、現在これにエッジコンピューティングを組み合わせ、プライベート通信についてはローカル5Gも含めたソリューションの提供が可能になりました。そうして生まれたのがエッジ&クラウドビジネスサポートです」と語る。
エッジ&クラウドビジネスサポートの活用領域は、機器設備制御・運用やセンシング情報のデジタル化だ。従来のIoTとクラウドだけでなく、AIを駆使したエッジコンピューティングやローカル5Gなどの高速通信を加えることで、現場のデータ収集から上位のアプリケーション連携までサポートしていくことがコンセプトとなっている。エッジとクラウド双方でデータを持つことで、データの保全性を高める効果も期待できる。
富士通株式会社 ネットワーク&セキュリティサービス事業本部 サービスビジネス事業部 インテグレーション部 大井俊史は「今多くの企業で、ITを担う人材が不足しているという調査結果もあります。DX推進に向けてインフラ革新を検討する皆様をサポートするべく立ち上げたサービスとも言えます」と背景を語った。
現場データと上位アプリケーション間の
ネットワークインフラの構築・運用をサポート
エッジ&クラウドビジネスサポートは、インフラ要件を整理して、具体的な提案までを行うコンサルティングと、要件をもとに設計・構築するサービス、構築後の運用サービスの3つを用意している。設計・構築と運用においては、顧客の要望を一からヒアリングしてフルスクラッチで行う方法と、富士通であらかじめ精査したベストプラクティスから選定する方法の2パターンを用意している。
「現場にあるIoTデバイスと、お客様がやりたい分析や可視化などのアプリケーションとの間に、クラウドだけでなくエッジコンピューティングを配置して、現場の情報をどんどん吸い上げて上位アプリケーションとのシームレスな連携を実現することができます」(大井)
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エッジ&クラウドによって現場のデータをいち早く分析・活用できる環境を構築。
最近の顧客の傾向としては、産業系であればすでに各種デバイスを持っているため、ある程度「これからやりたいこと」のイメージを持っている方が多いという。ゼロベースでの相談よりも、顧客の目指すビジョン実現に向けたエッジ&クラウド設計・構築のヒアリングから始まるケースも多くなっているのだ。
「近年になり、お客様も大きく変化しています。富士通がIoTの事業を立ち上げた当時と違って、お客様自身が、具体的な課題をお持ちになって相談に来られます。DXが現場に確実に浸透してきているのを感じます」(赤木)
富士通が培ってきたノウハウを活かし、
ベストプラクティスをモデル化
顧客からの具体的な相談にスピーディかつ適正なコストで対応するためにも、富士通では過去の実績や経験からパターン化した提供モデルに磨きをかけている。エッジ&クラウドビジネスサポートにてニーズの多い機能セットに「データコレクションモデル」「リモートアクセスモデル」「エッジ動画分析モデル」の3つがある(下図参照)。
これらはどれも現場のDX推進に欠かせないものであり、富士通のノウハウが集約された実践的なモデルを組み合わせて、エッジ&クラウド環境をスピーディかつ確実に構築できるのが顧客にとって最大のメリットだ。
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ニーズの多いエッジ&クラウドシステムを標準化して提供。
いずれのモデルも現場データの収集においてはローカル5Gの活用が有効だ。例えばエッジ動画分析では、ローカル5G経由で取得した複数のカメラの高精細映像をエッジ処理にてAI分析し、その分析結果をクラウドとシームレスに連携する。AI分析によって人やモノの位置座標を正確に測位することも可能であり、特定エリアにおける人やモノの滞在時間の分析や、複数の無人搬送ロボットを高精度に移動制御することにも活用ができる。
このほか、多様な需要に応えるべく、レガシー機器からのデータ収集を実現する機器選定や、データ収集のソフトウェア、AIによる建物の錆やひび割れなどの判定、現場の360°カメラ映像の共有など、関連商材との組み合わせもサポートする。各モデルとも、IoTデバイスやネットワーク、ハードウェア、インフラだけでなく、さまざまなニーズに対応するための設定項目や値の知識、学習済みのAIモデルもトータルで提供できることが強みとなっている。
エッジ&クラウドの適用シーンが広がっている
エッジ&クラウドビジネスサポートは2022年度から提供開始されたものだが、すでにいくつもの導入事例がある。
グローバルに展開する製造機器メーカーは、データコレクションを使って、機器の状態をリアルタイムに確認できるようにした。製造機器で生じる突発的な故障を早期に検知し、外部CRMとも連携し、作業員の負担軽減や海外展開のためのPaaS機能の提供に役立てている。
食品流通倉庫を運営する流通事業者では、倉庫内装置のデータ規格が違うためデータ収集が困難で稼働状況が把握できないという課題を抱えていた。データコレクションのエッジサーバで複数のシステムのデータを統合、外部サービスとも連携することで稼働状況の可視化や異常発生の通知を実現し、必要な情報を現場担当者に伝達できるようになった。
またある自治体では、防災システムの監視に大きな負担がかかっていた。学校や公園、役場などに設定した各種センサーや独自仕様の制御装置からのデータをデータコレクションのエッジサーバで統合し、クラウド連携するモニタリングシステムを構築し、監視や個別システム開発のコストを低減した。
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機器監視や遠隔メンテナンス、自動制御などに活用。ローカル5G環境なら素早いフィードバックをセキュアに実現。
現場DXにますます重要となるローカル5G
エッジ&クラウドビジネスサポートを活用する際のローカル5Gの役割は、安定した通信環境下で現場における膨大な情報をリアルタイムに集め、セキュアにクラウドへつないでいくことだ。赤木は「現場の自動化などによって効率化を図るためにIoTデバイスを増やして制御するには、従来のネットワーク帯域だけでは足りません。また、人や機械の動きを映像から分析するならローカル5Gが最適です。エッジ側で分析するデータをどんどん増やしていけますので、5Gネットワークとのシナジーは非常に高いです」と説明する。
エッジ&クラウドビジネスサポートについて、富士通としてはこれから適用領域を拡充していく予定だ。今後、より導入を容易にするためにクラウドも含めたend-to-endのサービス型のインテグレーションモデルも提供していく。大井は「トータルサービスとしてご提供することで、投資コストを標準化しつつ、エッジ&クラウド環境をスピーディに構築したいというお客様のニーズに応えられるようアップデートしていきます」と述べた。
今後の展望について赤木は「ローカル5Gなどのネットワークやインフラを含め、現場のDX推進に適用していきたいです。特に動画分析はデジタルツインなどを展開するうえで確実に必要な技術です。現場と上位アプリケーションの連携をより容易に、よりしっかりとつながるようにして、お客様のDXに貢献していきます」と語った。
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