システムアーキテクチャ仕様策定
モバイルテクノでは、アナログの世代より多種多様な無線通信システム開発に携わってまいりました。これらの経験から学んだ技術、品質などの創り込み精度は、開発の最上流工程に位置づけられる、システムアーキテクチャの仕様策定時の取り組みに大きく依存するものです。モバイルテクノでは開発上流工程のプロセスに独自に会得したノウハウを加え、開発メンバー全員で共有することにより、高品質のシステム、アーキテクチャ仕様をご提供しております。
システムアーキテクチャ仕様策定プロセスでは無線通信システムで実現したい仕様から、FPGA/LSI/ロジック等のハードおよびCPU/GPU/DSP(マルチコア含む)等のソフトへの機能の割り付け、ハード/ソフト間インタフェースの決定、処理のコア割当やタイミング検討など、最適なアーキテクチャをご提案致します。
モバイルテクノは、ISO9001認証を取得しており、富士通プロダクト開発で培った高品質な成果物を提供致します。
システム要件の定義
システムに要求されている機能(機能要求)、および、その機能をどのように実現するか(性能や品質レベルを含む非機能要求)を定量化できるものは数値で、できないものは最大限具体的な表現を用い明確化します。
論理構成要素の定義
システム要件定義で明確化したシステム要件を実現するために必要な機能を抽出し、システムアーキテクチャの構成要素として定義します。
論理アーキテクチャの策定
論理構成要素の定義で抽出した構成要素間の論理的な関係を定義し、構成要素間のインタフェースを策定します。
物理アーキテクチャの策定
論理構成要素に対する物理要素を定義します。処理性能や時間的制約を満たすよう、ハード/ソフトへの割付、機能分割を行い最終的にシステム要件を満足する物理アーキテクチャとなっていること確認します。
無線通信システム開発の課題と対応
高速大容量無線通信システム開発において、安定的な通信を常に確保するためには、広帯域の無線アナログ信号伝送処理部と大容量のパケット送受信部の間のデジタル信号処理部に対し、レイテンシ(通信遅延)補償、リアルタイム性、アシンクロナス性を保証し、通常時はもちろん異常発生時においても確実に動作し続ける信号処理システムでなければなりません。
モバイルテクノでは、このようなシステム開発における課題に対応するため、以下のようなプロセスと手法を用いています。
要求分析と検証
無線通信システム仕様策定時に要求条件として方式(数式)や規格で提示されるものが多数あります。モバイルテクノでは過去の製品開発によって培った知見に加えて、方式モデルによるシミュレーションをもとに、実現のために必要な技術的課題を漏れなく抽出します。課題抽出観点について一例を示します。
- 前提とする電波伝搬環境下での無線信号の強度、位相、歪、雑音
- 無線通信周波数帯、周波数帯域、通信容量
- 信号処理時間、処理時間の揺らぎ、処理遅延、応答時間
抽出された課題を解決するための方式を創出、モデル化し、そのモデルを使用したMBSE(注)にもとづき効果を定量的に検証して要求仕様との整合性の確認を行います。本プロセスのアウトプットは、MBSEにより確認された各要求の基準であり、次の「機能分析と検証」へのインプットとなります。
- (注)MBSE:Model-Based Systems Engineering
機能分析と検証
このプロセスでは、要求分析の結果から、無線通信システムに求められている要求を実現するための機能を検討いたします。システム全体をプロセスにより定義された機能サブセット分割ルールに従い、機能単位に詳細に定義していきます。機能分割のための確認観点の一例を以下に示します。
- 複数の機能や構造が密接に関連している
- 単一コンポーネントにて実現できる
- 開発済のコンポーネントが再利用できる
- システム内の複数箇所で利用される
- 特定の設計ルールに対応する必要がある
分割された複数の機能サブセットをモデル化し、そのモデルを使用したMBSEに基づいて、妥当性、完全性、無矛盾性、明確性、追跡可能性、重要度などを検証して要求機能との整合性の確認を行います。本プロセスのアウトプットは、MBSEにより確認された論理的な機能アーキテクチャであり、次の「総合分析と検証」へのインプットとなります。
総合分析と検証
繰り返し試験(ハンドオーバー繰り返し)やストレス試験(長時間連続接続試験)など、シナリオを用いた自動試験で実現し、装置の品質向上を行います。
フィールド試験
このプロセスでは、機能分析の結果から、無線通信システムで実装すべき機能を実現するための物理的なアーキテクチャを検討します。分割された機能サブセットはプロセスにより定義された物理アーキテクチャ適用ルールに従い、アナログ/デジタル、あるいはハード/ソフトのデバイスに割り付けます。物理アーキテクチャ判定要件の一例を以下に示します。
- 使用するデバイスの性能や特性
- 機能分割した処理の負荷、許容差、スループット、オーバーヘッド
- 機能内/機能間インタフェースのバス負荷やタイミング制約
物理的に割り付けた機能について、テストプログラムや簡易コーディングなどを通して検証し、物理アーキテクチャを確定します。