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金融機関のデジタル革新を加速するデジタルバンキング


2019年7月号 (Vol. 70, No. 3)

雑誌FUJITSU 2019-7

デジタル化が加速し,社会のニーズも高度化して異業種の参入が激化する昨今,金融業務のデジタル革新への期待はかつてなく高まっています。Fintechの分野においてビジネスを成功させるためには,金融機関と,ICTを提供する富士通が未来を共創し,社会のニーズに応える金融サービスのオープンイノベーションを加速させることが最も重要です。
本特集号では,金融機関のデジタル変革の実現に向けて,富士通の金融ソリューション体系「Finplex」が提供する製品群,および最新のテクノロジーをご紹介します。

目次 関連情報

目次

巻頭言

金融機関のデジタル革新を加速するデジタルバンキング特集に寄せて (514 KB)
社会インフラビジネスグループ長 執行役員常務 林 恒雄, p.1

総括

金融機関のビジネスモデルの変革を実現するデジタルバンキングソリューション (769 KB) 関連情報
町田 憲亮, p.2-8
金融機関においては,技術革新をきっかけとしたデジタル化に伴い,ビジネスモデルが多様化している。一方で,従来の金融ICTは,勘定系システムを中核とする硬直的なアプリケーションで構成されており,外部環境やビジネスモデルの変化に柔軟かつ迅速に対応することが難しい。富士通は,日本を代表する金融ICTベンダーとして最先端のテクノロジーを投入することで,金融機関の経営に貢献するデジタルバンキングソリューションの提供を進めている。このソリューションでは,従来の硬直的な金融ICTにマイクロサービスアーキテクチャーを適用することによって,DevOpsやエンタープライズアジャイルの手法を用いた開発を実現する。これによって,金融機関が変化の速いビジネス要件に迅速かつ継続的に対応できる価値の提供を目指している。
本稿では,金融機関の外部環境とビジネスモデルの変化を踏まえ,富士通が提供を進めるデジタルバンキングソリューションによって実現を目指している金融ICTの将来像について述べる。更に,その先鞭(せんべん)として提供が開始されている金融ソリューション体系「Finplex」が提供する製品群,および最先端のテクノロジーについて説明する。

デジタル革新がもたらす新たなバンキングサービスFBaaS

最先端のデジタルテクノロジーを活用した次世代バンキングソリューションFBaaS (755 KB) 関連情報
高野 幸司, 前野 和弘, 高橋 晋吾, p.9-14
デジタル変革の流れは,全産業にわたって破壊的な影響を及ぼし得る潮流である。その中でも,金融業界は他業種と比較して,デジタル化の影響を最も受けやすいと思われる。富士通が提供する次世代バンキングソリューションFinplex「FBaaS」(FUJITSU Banking as a Service)は,金融機関の基幹系に必要とされる要件を実現しながら,クラウドネイティブ,MSA(Micro Service Architecture),API(Application Programming Interface)化,DevOps,デジタルマーケティングといった最新鋭のテクノロジーを採用した,次世代のバンキングソリューションである。このソリューションによって富士通は,基幹系システムの課題解決と,デジタル化が進む社会に必要とされる新しい金融機関の基幹系システム創出にチャレンジしていく。
本稿では,Finplex「FBaaS」が採用する要素技術について述べる。
ブロックチェーン技術を活用した新たな銀行間決済の実現 (718 KB) 関連情報
谷内 圭, 久保 竹清, p.15-20
これまで,国内における商品などの決済は現金が主流であった。しかし近年,スマートフォンや電子マネーの普及に伴い,キャッシュレス化の機運が政府や産業界を中心に急激に高まっている。このような情勢の中,富士通は送金に着目し,2017年度にメガバンク3行と個人間送金の実証実験を行った結果,銀行間決済・資金清算を担う新たな仕組みが必要であるとの課題を認識した。今回,その解決に向けて,一般社団法人全国銀行資金決済ネットワークと共同でブロックチェーン技術を活用した仕組みを構築した。更に,銀行間決済専用のデジタル通貨を創出し,リアルタイムで銀行決済を行う仕掛けが有効ではないかと仮説を立て,各種検証に取り組んだ結果,一定の有効性を確認できた。
本稿では,ブロックチェーン技術を活用した新たな銀行間決済の実現に対して,前述した課題解決に向けた仮説検証の結果について述べる。

金融機関のビジネス変革を支えるサービス統合基盤FrontSHIP

デジタルバンキングに向けたAPIおよび認証・認可サービスの提供 (786 KB) 関連情報
附木 孝二, 安原 正晃, p.21-27
金融業界では,FinanceとTechnologyを組み合わせたFintech(フィンテック)と呼ばれる,ICTベンチャー企業を中心としたデジタル化の波が押し寄せている。銀行もこれをチャンスとして捉え,保有する機能やデータを基に自身で魅力的なサービスを作り出して顧客に直接提供するだけでなく,Fintech事業者や異業種企業のサービスとの連携を進めている。富士通では,Finplex サービス統合基盤FrontSHIP,およびそのオプションであるバンキングAPI(Application Programming Interface)認証・認可サービスを提供している。これによって,既存のインターネットバンキングの代替ではなく,ネットチャネルを全顧客・全取引レベルに開放する基盤として活用していただくことが可能となる。更に,軽量化,デジタル化が求められる伝統的な銀行の次世代店舗を支える基盤として,お客様のビジネス発展と内部効率化に寄与することを目指している。
本稿では,Fintechの黎明期からAPIが広まっていく流れ,それに対する富士通の取り組み,および今後のデジタルバンキングでますます重要となる認証・認可の対応について述べる。
銀行のビジネスモデル転換を支えるデジタルバンキングエコシステム (793 KB)
王 シン, 高畑 志帆 金 奎植, p.28-34
デジタル時代に突入した今日では,銀行サービスの提供価値やサービス提供に至るまでの周囲環境(エコシステム)も大きな変革を余儀なくされている。このような状況を受けて富士通は,従来の銀行業界と大きく異なるビジネスモデルを創出した海外の先行事例を参考にして,新たなビジネスモデルである「デジタルバンキングエコシステムモデル」を提唱する。このモデルでは,新たなプレイヤーを巻き込み,銀行が保有する経営資源および異業種企業が保有するチャネルを,富士通のインテグレーション力によって融合し,「Banks co-create with X-Techs integrated by Fujitsu」を実現する。
本稿では,富士通の金融ソリューション体系「Finplex」が提唱するデジタルバンキングエコシステムモデルについて述べる。
データ利活用による金融機関の営業スタイル改革 (724 KB) 関連情報
奥田 琢馬, 朱 偉, p.35-40
働き方改革関連推進法が成立し,残業時間の上限が規定されたため,あらゆる業種においていかに労働生産性を向上させるかが課題となっている。金融機関の営業職員は,営業成績を上げるために質と量を両立させる必要がある。そのためには,営業活動の効率化により有限の時間内でいかにお客様への対応時間を増やすかが重要となる。また,商談の成約率を向上させる必要もある。これらを達成するために,多くの企業でCRM(Customer Relationship Management)システムを導入している。このシステムには,訪問したばかりのお客様の情報はあるものの,新規開拓の対象となるお客様や訪問前の既存お客様が興味を持っているトピックスに関する情報はない。これらの問題に対して,富士通はスマート営業API(Application Programming Interface)サービス群Finplex FrontSHIP neXessary(以下,neXessary)を提供している。neXessaryでは,CRMシステムに存在する顧客情報,自社情報や有償データだけでなく,外部データも取り込み,総合的に情報を分析・提供する。このサービスを通じて,お客様とのコミュニケーション強化や作業効率化,営業スキルの底上げといった現場の課題を解決し,現場営業の営業スタイル変革を実現する。
本稿では,neXessaryを活用した営業スタイル変革について述べる。
トランザクションデータを活用したAIスコアリングモデル運用のライフサイクル (719 KB) 関連情報
谷 聡史, p.41-46
レンディングビジネスでは,中小企業(SME:Small- and Medium-sized Enterprise)の資金調達需要に対して,スピーディーで適切な審査能力が求められている。これを実現するために,各行各社でトランザクションデータとAI(人工知能)を活用したスコアリングモデルによって審査を行う,融資サービスが提供され始めている。従来は,過去の財務諸表と取引履歴を評価していたが,近年は様々なデータを組み合わせたモデルの検証が進められている。特に,日々の事業活動で蓄積されるトランザクションデータの活用検討が進んでいる。しかし,AIスコアリングモデルのメンテナンスを短期間の頻度で実施しなければ精度が低下しやすいという課題がある。これに対して富士通では,サービス上にAIスコアリングモデルを配備し,自動的に対象となるデータを集計し,再学習するサービスであるAIスコアリングモデルプラットフォームFinplex EnsemBizを開発した。本サービスを活用することで,AIスコアリングモデルの品質を維持・向上し,かつメンテナンスのコストを大幅に抑えることが期待できる。
本稿では,自動的にAIスコアリングモデルを再学習する本サービスの特長について述べる。
お客様との接点を個客とつながるコンタクトポイントへ変革 (845 KB)
青木 理恭, 岡村 さぎり, p.47-53
金融機関は,共働き世代の増加やスマートフォンの普及といった,お客様の生活スタイルなどの環境変化に対応するために,顧客接点の非対面化を推し進めている。しかし,非対面の顧客接点は金融機関にとっては効率的であるが,金融機関がお客様と接する機会や時間を減少させるため,お客様とのリレーションの希薄化が懸念されている。富士通は,非対面の顧客接点をお客様一人ひとり(個客)とつながるコンタクトポイントへと変革することで,これらの問題を解決する。これによって,お客様と金融機関の接触機会が営業店やATMからお客様の生活圏全体へと拡大する。更に,顧客満足度を向上させるとともに,顧客接点における業務の効率化も期待できる。
本稿では,個客とつながる革新的なコンタクトポイントに対する富士通の金融ソリューション体系「Finplex」の取り組みについて述べる。
デジタルバンキング時代に向けた認証サービス基盤 (932 KB) 関連情報
鶴蒔 聡, 鴻田 昌利, 宍戸 隆一, p.54-61
金融機関と利用者をつなぐ接点は,従来の営業店やATMから,スマートフォンを中心としたデジタルチャネルへと広がっている。また,デジタル化によるライフスタイルの変化を背景に,利用者の金融サービスに対するニーズは多様化しており,個々の利用者に合わせたきめ細やかなサービスの提供が求められている。こうした中で,金融機関があらゆる利用者接点において,安心・安全かつ簡単・便利な金融サービスを提供していくためには,デジタル時代に適した本人確認・本人認証手段が重要な役割を担う。富士通は,高度な金融サービスの実現に向け,従来型の本人確認手段に代わる豊富なデジタル認証技術を開発している。また,お客様の多様なニーズ応えるために,金融向けフロントサービス基盤「FUJITSU 金融ソリューション Finplex サービス統合基盤 FrontSHIP」のサブセットとして,豊富な本人確認・認証手段を提供するクラウド型の認証サービス基盤を提供している。
本稿では,富士通が考えるデジタルバンキング時代に適した金融機関向けの認証サービス基盤について述べる。

営業店チャネルのデジタル革新を支えるDigital Branch

Digital Branchによる金融機関のデジタル革新 (742 KB)
根岸 誠, p.62-68
金融機関では,加速するデジタル化社会に追随した改革が急がれている。一方で,その営業店(店舗),および印鑑,通帳,伝票など日本固有の現物を中心とした既存事務のデジタル化が大きな課題となっている。金融機関の顔である営業店は,多様なサービスを提供するために,多くの設備と専用デバイスが豊富に整備されてきた。しかし近年,来店する顧客は大幅に減少し,営業店に求められるニーズも激変している。富士通は長きにわたり,基幹系とともに営業店システムやATMをはじめとして,多様なソリューションを金融機関に提供してきた。今を支えるテクノロジーやノウハウとともに,未来を描く最新鋭のテクノロジーも併せ持つ富士通は,こうした金融機関の課題を解決するためにデジタルチャネルサービスFinplex「Digital Branch」という新たな体系を発信した。既に,多くの金融機関でその適用が開始され,レガシーとの融合からデジタル化につなげるシナリオの有効性を確認している。
本稿では,金融機関のデジタル改革を支えるFinplex「Digital Branch」を俯瞰的に述べる。
営業店のデジタル改革を加速する行内API基盤 (888 KB)
小倉 康二朗, p.69-76
少子高齢化や人口減少に伴い,金融業界においても営業店自体の在り方が変化しつつある。一方で,メインフレームを中心としたレガシーシステムに対していかにしてデジタル化していくかも大きな課題である。デジタル化の進展に伴ってお客様との接点が多様化しているため,既存システムの活用による新たな顧客サービスの創出が求められている。この課題を解決する技術が,API(Application Programming Interface)である。しかし,勘定系システムを含むレガシーな既存システムの改修は,膨大なコストとリスクを伴う。富士通では,このレガシーシステムに対する影響を極小化し,いかにして疎結合で接続するかという課題に対して,既存営業店システムのインターフェースを活用した行内API基盤を提供することで解決した。既存営業店システムを活用する場合,営業店システムのルールにのっとり,端末や利用者を管理しなくてはならないという新たな課題に直面したが,この課題は代行端末プールという仕組みで解決した。
本稿では,勘定系システムのデータ利活用を目的として,行内API基盤の仕組みや特徴を述べた上で,行内API基盤の導入効果および活用シーンについて述べる。
金融機関におけるRPA活用 (881 KB) 関連情報
栗原 亮太, 長谷川 将平, p.77-83
現在日本は,労働生産性の低さ,少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少,育児や介護との両立をはじめとした働く人のニーズの多様化など,様々な問題に直面している。近年,金融業界は人口減少に伴うマーケットの縮小や異業種からの金融業界への参入,Fintech企業などの新しいプレイヤーの登場によって,更なる競争激化の様相を呈している。そのため,昨今のマイナス金利とあいまって,金融機関の収益力の低下が懸念されている。そのような環境の中,業務の生産性向上が急務であり,それを実現する手段としてRPA(Robotic Process Automation)が注目されている。富士通は,RPAを活用して金融機関における多様な業務の効率化を支援してきた。また,更なる効率化に向けて,RPA単体ではなく,AI(人工知能)やOCR(Optical Character Recognition)といった技術も併せて活用した取り組みにも着手している。
本稿では,RPAが注目されている社会背景,金融機関へのRPA導入の動向,および富士通の取り組みについて述べる。
デジタルバンキング時代に向けた営業店の業務改革 (788 KB) 関連情報
増山 ゆかり, 八木澤 英樹, p.84-89
銀行を取り巻く経営環境は一段と厳しさを増しており,営業店においては過去10年で来店客は減少している。その一方で,お客様一人あたりの事務単価は上昇しており,抜本的な業務改革による事務コストの削減とともに,営業店のあり方についても再定義が求められている。日本の銀行の伝統的な事務の特徴として,現物(現金)を扱い,お客様との現金の受け渡しには証跡(伝票)が必要であることが挙げられる。しかし,伝票処理は時間と人手のかかるコストの根源であり,伝票を媒体とすることによって事務が発生する。また,銀行内には現金を扱う場所や人が散在している。現金を行員が扱うことで現金管理事務が必要となり,違算リスクにつながる。営業店の事務量を軽減するためには,伝票レスと現金ハンドリングレスを実現することが課題となる。これに対して富士通は,お客様と行員の共同作業によって窓口事務のセミセルフ化を実現し,事務負荷を大幅に軽減するためのソリューションであるFinplex Quick Counter for Bankingを開発した。
本稿では,窓口事務のセミセルフ化を実現するソリューションとデジタルバンキング時代に向けた今後の展望について述べる。
金融機関の紙伝票と本人認証をデジタル化するペーパーレスソリューション (841 KB) 関連情報
荻野 晃平, p.90-96
金融業界におけるデジタル化が急速に進展している中,大手メガバンクでさえも生き残りをかけて店舗の人員を削減し,営業力を強化する人員配置を目指している。しかし,これらを両立させるためには,従来の事務を革新し,事務作業量を削減しなければならない。金融機関では従来,紙の伝票を使用して顧客との取引を行っていたため,作業の効率化を妨げていた。これに対して富士通は,Finplex Intelligent Branchで提供する「スマート起票」を用いて,紙伝票による運用を減らすことを提案している。スマート起票では,紙の伝票をデジタル化し,顧客はスマートデバイスで取引情報を入力する。顧客が入力したデータは他システムに連携され,従来の紙伝票に関する事務作業が削減される。しかし,これだけでは紙を完全になくすことはできない。日本の金融機関では,取引する際に口座の保有者であることを証明するために,紙に押印し,印影で照合している。これに対しては,生体認証を使ったサービス「Finplex オンライン認証サービス for FIDO」を活用することで,更なるペーパーレス化を推進する。
本稿では,金融機関の様々な伝票に対する最適なデジタル化,および本人認証のデジタル化を実現するペーパーレスソリューションについて紹介する。
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