FACOM VPシリーズEモデルのMCCボードが情報処理技術遺産に、富士通DNA館が分散コンピュータ博物館として認定
2020年6月3日
情報処理学会の「情報処理技術遺産」および「分散コンピュータ博物館」の認定は、わが国のコンピュータ発達史上の重要な研究開発成果や製品の中で、現存する貴重な資料を保存し、これらが広く社会に知られることを目的として2008年度に始まりました。
2019年度の第12回の認定では、弊社の「FACOM VPシリーズEモデルのMCCボード」が情報処理技術遺産に、「富士通DNA館」が分散コンピュータ博物館として認定されました。
新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策として情報処理学会全国大会が中止となったため、3月6日の認定式も中止されましたが、6月3日の情報処理学会定時総会にて認定内容が報告されました。
FACOM VPシリーズEモデルのMCCボード
世界で初めて1ギガFLOPSを超える性能を実現した弊社のスーパーコンピュータVPシリーズに搭載されたMCC(Multi-Chip Carrier)高密度実装ボードです。
FACOM VPシリーズは、1982年に発表されたVP-100/200から始まり、1985年春にはVP-400が航空宇宙技術研究所(現JAXA)にて世界で初めて1ギガFLOPSを超える性能を実現しました。メモリバンド幅はVP-200から増やさずにベクトル演算器のみを2倍に増やす、つまり、図1のVP-200のベクトルユニットのロードストア・パイプラインの部分はそのままに、図2のように赤い点線で囲まれたベクトルレジスタ・演算器を2倍に増やすというアーキテクチャの大きな改良によって1ギガFLOPS超えを達成したのです。1987年に発表したEモデルでは、図3で示すように現在も使われている技術であるMultiply and Add命令を追加して性能を1.5倍に引き上げ1.7ギガFLOPSを達成しています。このように、VPシリーズでは、最先端テクノロジの開発に加え、アーキテクチャの改良も合わせて実現することで性能向上を達成してきました。
富士通DNA館
弊社が長年にわたり引き継いできた高い目標にチャレンジするという“DNA”を次世代へ継承する研修の場として、2006年、富士通沼津工場に開設しました。富士通のメインフレームコンピュータの組み立てに使われていた広さ3,000平方メートルのフロアを改修し、約11,000点の機器と資料を展示しています。
展示してある機器の収蔵や説明パネルの作成には退職者が全面的に協力しており、弊社の事業の歴史を実際に開発に従事してきた者の経験を通して社員へ伝えています。
関連リンク
シェアする