32M 光伝送装置(1974年)

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光伝送技術を先駆け、大容量データ通信時代の夜明けを導く

アメリカの電話会社AT&T社の研究機関・ベル研究所は1970年、半導体レーザーの連続発振を発明しました。その同年、ガラス製品メーカーのコーニング社は光ファイバーの低損失化に成功します。「光ファイバー」とは石英ガラスをケーブル状に加工したものです。これを通信の伝送路に用いる「光伝送」方式には、信号が弱まる「減衰(げんすい)」という現象が起こりやすく、遠距離通信には向かないという欠点がありました。コーニング社が開発したのは、この弱点を克服する技術でした。

富士通の研究部門である富士通研究所は、この新たな方式を実用化するため、光デバイスの試作・安定化・計測などの技術研究を1969年から独自に進めていました。その総力を結集して作り上げたのが1974年に電電公社に納入した「32Mbps光ファイバ伝送装置」です。通信網では信号の減衰を防ぐため、間に「中継器」と呼ばれる信号増幅装置をはさみますが、この装置を使えば従来よりも中継間隔を長くでき、低コストで大容量のデータ通信を行うことができます。1980年代に入ると、企業向け高速デジタル専用線サービスの拡大を背景に、急速に普及していきました。

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