データは敵か味方か?
インターネットは初期の開発者たちのビジョンのもとで築かれました。高度な技術や有益なデータを世界中の誰もが共有するための、社会の共通善(公共財)という考えが基本にあります。モバイル決済や電子商取引といったオンラインサービスの拡大は私たちの生活を豊かにしてくれました。今、デジタル技術は私たちの生活の隅々まで浸透し、もはやそれ無しで生きることはできません。
しかし、一方で不安に感じないでしょうか?
私たちは気づかないうちにデジタル世界に自分の行動の足あとを残しています。私たちの個人情報はどこかで記録されています。データは本当に私たちの味方なのか?デジタル化が進む中で、信頼の基盤は大きく揺らいでいます。
- 個人データは誰のものか?
- インターネット上の情報は信頼できるのか?
- 情報をサイバー攻撃から守ることができるのか?
このような課題に対する現状を把握するために、富士通は2019年2月に世界9か国、900人のビジネス・リーダーを対象としてデジタルトランスフォーメーションと信頼に対する調査を実施しました。調査から見えてきた数字を基に、一緒に考えていきましょう。
プライバシー
オンラインサービスが浸透する中、一人ひとりにパーソナライズされたサービスを受けるためには、自分のユーザーID、つまりデジタルアイデンティティを作らなければなりません。ネットショッピングやネット銀行、あるいはオンラインでの公共サービスにせよ、デジタルアイデンティティ無しには、その恩恵を受けることはできなくなっています。一方、私たち利用者にとって、オンラインサービス事業者が一人ひとりのデジタルアイデンティティをどのように性格づけているのか、どのような個人データが誰に保有されているのかを知ることは困難なのも事実です。
個人データを完全に管理することは重要
82%
自分が知らないところで許可なくデータが使用されているのではないか不安がある
72%
調査では、 82%が個人データを自身が完全にコントロールすることは重要と回答しています。
一方、 72%は自分が知らないところで許可なくデータが使用されているのではないか不安があると回答しています。
今、個人データがリスクにさらされています。
情報の信頼性
インターネット上では誰もが自由に発言できます。しかし、何が本当かをどうやって知ることができるでしょうか。ネット上にはそれを保証する機関はありません。
データを意図的に操作し、偽の情報、画像、動画、書類を作りだすこともできます。例えば、AI技術の1つである敵対的生成ネットワークを使うことによって、動画をつくりものとは見分けがつかないように改ざんすることも可能になっています。
データが改ざんされていないか懸念がある
59%
オンラインの情報が正しいのか、信頼できるのか判断することは困難
70%
調査では、59%がデータの改ざんについて懸念を持ち、70%はネット上の情報が正しいかどうか判断が困難だと回答しています。
セキュリティ
セキュリティに対する懸念は高まる一方です。世界経済フォーラムは、全世界のサイバー犯罪の被害総額は2020年までに3兆ドルに達し、今後1年以内に74%の企業がサイバー攻撃を受けると推定しています。
顧客データや、自社の機密情報の漏えいに懸念がある
68%
社会インフラに対するサイバー攻撃に懸念がある
68%
調査では、ビジネスリーダーの68%が顧客データや秘密情報の漏えいに懸念があると回答しています。また、68%が交通機関、水、電力などの社会インフラへのサイバー攻撃の懸念があると回答しています。
今後はコネクテッド・カーや自動運転車もサイバー攻撃のターゲットとなり、リスクはさらに高まることが予想されます。
デジタル技術は私たちの生活の隅々まで浸透していますが、プライバシーやサイバーセキュリティの懸念によって、人々に不安を与えていることも調査から見えてきました。データを活用し、デジタル技術をどう役立てるべきか、どう信頼を再構築していくかを富士通と一緒に考えていきませんか?