株式会社ヒマラヤ 様
ECの仕組みをベースに新発想の店頭注文システムを構築、リアル店舗のサービス品質を向上
株式会社ヒマラヤ様は、108店舗を展開する総合スポーツ量販。この分野ではいち早くEC事業に着手し、現在では売り上げの約10%を占めるほどの実績をあげています。2015年、ECのニーズ伸長にあわせて富士通の「SNAPEC-EX」によりECサイトを更新。このシステムを活用し、独自の接客アイデアを盛り込んだ店頭注文システム「接客支援ツール」を構築しました。従来は7~10日かかっていた店頭注文における納期について、ECと同じ最短翌日の納品を実現。また、店舗の在庫情報と連動した迅速な在庫確認や、欠品の際の代替商品の提案など、顧客本位の柔軟な接客を可能としています。これによりリアル店舗の価値やロイヤルティを向上。ECサイトと合わせ、リアルとバーチャルのバランスの良い成長を目指しています。
業種 | 総合スポーツ量販 |
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ソリューション | ECサイト構築ソリューション FUJITSU Business Application SNAPEC-EX 接客支援ツール(客注システム):SNAPEC-EXアドオン開発 |
- 課題ECサイトを、今後の成長を担保できる規模や機能を備えたサイトに更新したい
- 効果ECサイト向けソリューション 「SNAPEC-EX」により短納期で新サイトを構築、目標の受注規模を確保
- 課題7~10日かかっていた店頭注文における納期を、ECなみに短縮したい
- 効果「SNAPEC-EX」で構築したEC基盤を使うことにより、最短で翌日納品を実現
- 課題店舗来店顧客に的確な購買ソリューションを提案し、チャンスロスを減らしたい
- 効果「SNAPEC-EX」の受注・手配・発送の仕組みを活用し「接客支援ツール」を構築、店頭サービスの向上、顧客の満足度向上につなげている
「我々が意図したのは単なる店頭注文システムではなく、これまでにない接客のための仕組みを実現することでした。前例のない仕組みを作るわけですから依頼するベンダーは限られ、結局、組織が厚く人材も豊富な富士通を選びました。我々の業務を一から理解し、結果的に見事にかたちにしてくれた富士通の知識と熱意にはとても感謝しています。」
専務取締役 販売チャネル統括本部長
小森 一輝 氏
導入の背景
ECの売り上げ比率、全体の10%超を実現
株式会社ヒマラヤ様(以下、ヒマラヤ様)は、総合スポーツ量販として主に関東以西のエリアで108店舗を展開しています。リアル店舗の出店拡大と同時に、2012年前後からEC事業にも注力することで大きく成長、ECによる売り上げ比率は全体の10%を超える成長をみせています。
ECでは自社ECサイトのほかに楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazonといったモールにも出店。楽天市場のユーザー評価ではスポーツアウトドアのジャンルで2年連続一位(Rakuten SHOP OF THE YEAR)、Yahoo!ショッピングでは約48万店舗の出店社の中で、商品掲載数やユーザー対応、売り上げなどの総合評価で一位(Yahoo! BEST STORE AWARDS 2016)を獲得するなど、ECへのいち早い取り組みにより優れた評価と実績をあげています。
最短で翌日納品のECに対し、店頭注文は7~10日もかかっていた
一方で課題も見受けられるようになりました。当時の状況を、今回のプロジェクトを統括した小森 一輝 氏は次のように語ります。「以前のECシステムでは、売り上げの成長スピードに運用が耐えられなくなることが明白でした。当社のECは受注に対して店舗在庫を活用する店頭出荷が特徴となっていますが、今後注文が増えた際にも現場が混乱しないようなシステムに増強するべきだと考えていました」。
さらに、現場でのプロジェクト推進役となった木村 久和氏は、もうひとつの課題をあげます。「ECでは翌日納品、翌々日納品と配送リードタイムを短縮しましたが、店頭注文では納品まで7~10日もかかっていました。そうなると今の時代はお客様もスマートフォン片手にほかの方法で購入されてしまいます。店舗に足を運んでいただいたお客様に対するチャンスロスは、できる限りなくさなければならないと考えていました」。
導入の経緯
単なる店頭注文ではなく「接客支援ツール」を目指す
「ECの機能拡大と店頭注文の納期短縮、どちらも喫緊の課題でした。しかし、両者には受注・手配・配送といった仕組みが密接に絡み合い、同時に解決しようとすると、手間もコストも多大にかかってしまいます。そこでまずECの基盤を更新し、その上で店頭注文システムを構築することを考えました」(小森氏)。
また店頭注文に関して木村氏は、次のようにかつてないシステムの構想を抱いていました。「単に注文を受けるだけではないシステムを作りたいと考えていました。店頭でのお客様に対する商品提案にも使え、店舗スタッフの接客力アップ、ひいてはお客様満足につながるようなツールです。私はこれを単なる店頭注文システムではなく『接客支援ツール』と呼び、実現したいと強く思っていました」。
基盤となるECシステムは大規模かつ短納期、さらに接客支援ツールには一般的な店頭注文システムにはない仕様や機能が求められることもあり、こうした要件に対応できる知見や経験、ソリューションを持つICTベンダーは自ずと限られました。その中からヒマラヤ様が選んだのは、富士通のECサイト構築ソリューション FUJITSU Business Application SNAPEC-EX(以下、SNAPEC-EX)でした。
構築の経緯
まったく新しい仕組みの構築に応えた富士通
構築開始は2015年4月、同年11月には新規ECサイトが稼働を始めています。それと並行して同年7月より接客支援ツールの開発に着手、同ツールは2017年9月に稼働スタートしています。店舗出荷のヒマラヤ様の仕様に合わせてSNAPEC-EXをカスタマイズし、新ECサイトを効率よく短納期で実現。ここで新たに整備された受注・手配・発送の仕組みを活用して接客支援ツールを構築しています。
「接客支援ツールについての構想はあるのですが、それを私たちだけでは要件定義書に落とし込めませんでした。そこを富士通といっしょに進めることから始めました。同時に、富士通の方に当店の店頭注文を利用していただき、売り場やバックヤードで、店舗スタッフやモノがどのように動いているのか充分に知っていただきました。当社の現場を理解することから開発を始め、そこで得た問題や気づきをシステムというかたちに落としていく、そんなふうに開発を進めていったため自ずと時間がかかってしまいました。しかし、このプロセスがあったからこそ、使いやすいシステムに仕上がったと思っています。また稼働後も目立った問題点やトラブルもなく、現場で使っている店舗スタッフからも好評を得ています」(木村氏)。
小森氏も「接客支援ツールのような新しいシステムは、その仕組み作りに精通したベンダーに頼りたかった。その点、富士通は我々のチャレンジを柔軟に受け止め、しかも我々の要求に対して厚みのある組織、人材でスピーディーに高信頼に対応していただきました。とても感謝しています」と述べています。
接客支援ツールの概要
来店のお客様に、成果を提案する仕組み
店頭でお客様から在庫の確認があった場合、店舗スタッフが持つタブレットからその場で自店の売り場やバックヤードの在庫確認が可能。欠品の場合は、その商品の色や形に類似し、かつ店内に在庫のある商品をタブレット上に表示、お客様に確認してもらうことができます。その中から気に入った商品が見つかれば店頭で販売、見つからなかった場合は注文受付に移行、最短で翌日配送を実現しています。また、他店に在庫がある場合は、ご自宅への配送のほかヒマラヤ店舗での受け取りにも対応しています。
「せっかく店舗にいらしたのですから、お客様はその場で何らかの商品をお持ち帰りになりたいはずです。欲しかった商品があればベストなのですが、もし欠品だった場合、当店でしたらほかにこんな商品がありますよとご提案し、気に入ったらお求めいただく。そうでない場合は注文受付をし、いつまでにお届けできます、あるいはヒマラヤ店舗でお受け取りできますよ、とお示しをする。こういった一連の接客がタブレット上で完結できるようにしました」(木村氏)。
こうした仕組みを実現するにあたって、SNAPEC-EXと店頭注文システムと店舗のデータを融合。さらにバックヤードでは、ECや店頭注文といった商品の仕分けをすることなくピックアップできるような工夫もしています。
ほかにも接客しながらお客様や店舗スタッフはどのように動くのか、バックヤードで店舗スタッフの負担を軽くするにはどういう機能が必要か、お客様からはどのような要望が予想され、それに対応するためにタブレット上でどのようなボタンを配置すればいいのかなど、バックヤードの動きを含めた接客プロセスをきめ細かに検証し、どんな場合でもスムーズな接客対応ができるよう機能が磨き込まれました。
導入の効果と今後の展開
店頭受け取りは予想以上、店舗のロイヤルティアップに期待
接客支援ツールは稼働後間もないながらも着実に店舗スタッフにとけ込み、さまざまなメリットをもたらしています。まず、在庫確認で店頭とバックヤードを行ったり来たりしたりすることがなくなり、接客により集中できるようになりました。欠品時は代替商品を次々とタブレット上に表示してくれるため、経験の浅い店舗スタッフでもスムーズに商品提案が進められるようになっています。
また、タブレット上には店内在庫も表示できるため、店舗スタッフの「売る気」の刺激やモチベーションアップにも貢献しています。さらに在庫管理や個人情報の管理といったバックヤードの負担も大幅に軽減。これまで手作業で行っていた店頭注文分の手配の手間がなくなったことと併せ、店舗スタッフが接客という本来業務にいっそう多くの時間が割けるようになりました。こうしたことによるさらなるお客様サービスやストアロイヤルティの向上、ひいてはお客様のリピート率の向上にも寄与していくと木村氏は期待しています。 さらに木村氏は、店舗受け取りの多さに着目しています。「新ECサイトでは店舗受け取りを可能にしましたが、これを選択されるお客様が我々の予想よりも多くいらっしゃいました。送料無料という店舗受け取りのメリットは大きいと思いました。そうなると今後は店頭での追加ご注文、ついで買いといった次のアクションも期待できます。お客様の期待はどんどん膨らんでいます。今回のようにひとつのサービスを実現すると次、またその次と期待されます。そういう期待に次々とお応えすることで、お客様から選ばれる店舗であり続けたいと考えています」。
今後の展開について小森氏は次のように語っています。「スポーツ用品は、実物を見てからお求めいただいたほうがお客様も納得がいきます。ですから私たちは店頭にいらっしゃるお客様を大切に考え、今回のような接客支援ツールを富士通に開発していただきました。また、店頭におみえになれないお客様のためにECサイトも充実させました。ヒマラヤにいらっしゃるお客様は、スポーツやアウトドアといったより豊かな生活への思いを抱いていらっしゃる方です。そういうお客様に対してリアル店舗でできること、バーチャルなECでできること、両者のバランスをうまく取りながらお客様の期待に応え続けていきたい。今後も富士通のアドバイスや提案に期待しています」。
富士通はこれからも、ヒマラヤ様のチャレンジと成長を強力にサポートし続けていきます。
担当営業/SEメッセージ
今回の店頭注文システム(接客支援ツール)の導入にあたっては、ヒマラヤ様の熱い思いと理想とするサービスに対し、どこまで具現化できるのか?という1点に注力しました。また、お客様に満足いただくためには、ヒマラヤ様内部の業務改善も必要でした。先にEC基盤として導入をいただいていました「SNAPEC-EX」を活用することで、リアル店舗とECを一体化させたサービスを作りあげることができました。当初から追い求めていた理想とするサービスをお客様、ヒマラヤ店舗スタッフ様にご提供できたことは、本プロジェクトに関わったヒマラヤ様はじめ、関係者皆様のおかげだと感じています。
今後もヒマラヤ様の基本理念である「お客様第一主義」に基軸を置き、ヒマラヤ様のビジネス、お客様へのサービス向上に貢献できるよう、精一杯ご協力させていただきます。
株式会社ヒマラヤ 様 概要
所在地 | 〒500-8630 岐阜県岐阜市江添1丁目1番1号 |
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代表者 | 代表取締役会長 CEO 小森 裕作 |
設立 | 1991(平成3)年 |
従業員数 | 899人(平成28年8月31日現在) |
事業内容 | 総合スポーツ量販 |
店舗数 | リアル店舗:108店舗(取材時) 楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazon 自社ECサイト |
ホームページ | 株式会社ヒマラヤ様 ホームページ |
[2017年12月21日掲載]
本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は取材当時のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。
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