アジャイル開発事例

利用者が使いやすいシステムの実現に向けた、アジャイル等の取り組み

私たちは、システムを利用される方々に使いやすさと、その価値を実感していただくことを目指して、お客様とともに、アジャイル・DevOps開発推進に向けた基盤整備、クラウドネイティブ対応、インフラ資産のコード化を進めています。本取り組みでは、ウォーターフォールで開発されたシステムの機能拡張として、これらの対応を行っています。

アジャイル開発はツールの導入だけで進められるものではなく、文化的、マインドセット面での対応・転換も重要なポイントとなります。本事例ではこれらのポイントへの対応として、「文化づくり」・「人材育成」・「リリース」の観点から、簡単に取り組み内容を紹介します。

多くのシステムがウォーターフォールで開発されてきた官公庁のシステムにおいても、環境変化や制度変更への迅速なシステム対応、利用者のUI/UX向上が重要視されるようになり、本取り組みのように、アジャイル開発での対応を検討することが多くなっていると認識しています。アジャイル開発、また、そこでの文化的、マインドセットの転換等は、他の取り組みにおいても参考となる点が多いと考えています。

取り組みの概要

今回の取り組みは、システムを利用される方々に使いやすさ、その価値を実感していただくことを目指して、利用される方々からの要件や制度変更に、迅速かつ柔軟に対応できるシステムを目指しています。
特に本事例で取り上げているシステムは、組織内ではなく一般の方々が利用されるため、要件には迅速・柔軟に対応し、利用される方々に使いやすいシステムとして実感していただくことが重要になると認識しています。本システムでは、アジャイル開発、DevOps開発推進に向けた基盤整備を進め、これらの実現を目指しました。

今回の対応では、すでにウォーターフォールで開発し運用されているシステムの機能拡張として、アジャイル開発に取り組んでいます。また、プロジェクト関係者のマインドチェンジ、スキル強化等もあわせて進めています。
さらに、サーバレス/マネージドサービスの活用等によるクラウドネイティブ対応、インフラ資産のコード化を進め、システムの構成の仕方から迅速・柔軟な対応が可能になる環境を考慮し、構築しています。

官公庁分野のシステムはウォーターフォール開発が主流であり、アジャイル・DevOps開発、クラウドネイティブ対応、インフラ資産のコード化をプロジェクト全体として十分に経験している組織は、多くはないと認識しています。今回の取り組みのようなアジャイルによる機能拡張とその展開は、多くの官公庁分野のシステムで参考になると考えています。

取り組み推進のポイント

システム概要

各府省庁システムからAPIを用いてデータを取得して公開するガバメントクラウド上のシステムに対して、今回のアジャイル開発では、ウォーターフォールで構築していたベースラインに機能拡張を実施しました。

アジャイル開発の概要

キックオフ後に、お客様と共同でプロジェクトのゴールやビジョン、そこに至る道のりについて、意見を持ち寄って共通認識を揃えるインセプションデッキを開催。その後、お客様要件をプロダクトバックログとして管理し、要件ごとに要件定義・設計・実装・テスト・リリースまでのスプリントを、2週間単位で計19回まわして開発を推進しました。プロダクトバックログは、スプリントを通じて要件の変化があった場合は柔軟に変更し、全体を通して参加者の認識合わせに配慮しました。

プロジェクト体制の整備

本システムは昨年度も当社がシステム開発を担当しており、システムや業務を理解していましたが、アジャイル開発にかかる知見は、関係者間で改めて強化し、認識を共有する必要がありました。専門家を含めた組織体制と教育プログラムを整備し、お客様と共同でアジャイルについて学びを深める時間も確保して、ウォーターフォール開発体制からの転換を図りました。体制整備や教育に関しては、お客様を含めて円滑なコミュニケーションができる下地を作ったことが重要であったと考えています。

  • 文化づくり
    ウォーターフォール開発体制からアジャイルへの転換の試みとして、アジャイル文化や開発に必要な活動を関係者間で定義して共通認識化を図り、定着させた。
  • 人材育成
    キックオフに際しての教育プログラムのほか、プロジェクト期間全体を通して学びを活性化するため、プロジェクトメンバーの自律性の確保、プロジェクト推進を通じてのスキル強化、学習する姿勢に向けた環境づくり・働きかけを行った。(振り返りのフレームワークであるKPT法を人材育成面でも活用)
    これらの対応を通して、プロジェクトメンバーが複数の役割を担い(多能工化)、アジャイル開発として、要件が変わっていく状況に柔軟に対応した。
  • リリース
    各プロダクトバックログについて、プランニングポーカーを実施して開発規模を見積り、難易度を評価。プロダクトオーナーと認識を合わせてプロジェクト全体の難易度をマネジメントし、リリースできるアウトプットを最大化。
    また、ガバメントクラウド上でのサーバレス/マネージドサービスの活用、インフラ資産のコード化、CICD環境の構築と推進等、モダンアプリケーション開発を推進し、生産性の向上を図った。

今後に向けて

システムを利用される方々に、デジタル化の成果を実感していただくためには、本取り組みのようなアジャイルやモダンアプリケーション開発への対応を進め、利用される方々のご要望に、迅速に対応していく必要があると考えています。
デジタル庁が目指す、誰もが⽇常的にデジタル化の恩恵を享受でき、様々な課題を解決し、豊かさを真に実感できる「誰⼀⼈取り残されない」デジタル社会の実現に向けて、私たちは引き続き貢献してまいります。

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