医療法人尚徳会 ヨナハ丘の上病院 様
「自由な場所で診察を待てる」ことで患者の満足度を向上
待合室の混雑解消が院内感染対策にも貢献
三重県桑名市の医療法人尚徳会ヨナハ丘の上病院(以下、ヨナハ丘の上病院)は、長年の課題であった診察待ち時間が負担に感じるという患者の声に対応するため、富士通Japanの患者向けサービス「HOPE LifeMark-コンシェルジュ Lite」を導入。スマートフォンに診察の進捗状況を自動通知することで、待合室以外での待機を可能にし、患者の満足度向上を推進している。さらに、待合室以外での待機が可能になることが、患者同士の接触機会を低減させることにもつながり、院内感染の抑制にも貢献している。
- 課題院内での診察待ち時間が負担に感じる患者への対応
- 効果駐車場など院外でも診察タイミングが分かることで、待ち時間負担を軽減
- 課題待合室の混雑による院内感染リスクの増加
- 効果 患者同士の接触機会が削減され、院内感染のリスクが低減
導入の背景
新病院の目玉施策として「診察待ち時間の負担軽減」を提案
三重県桑名市に位置し、2021年11月に新設された「ヨナハ丘の上病院」は、185の病床、約30の診療科・部門を有する総合病院だ。「24時間開かれた病院」を掲げ、安全安心なお産を支え続けた「ヨナハ産婦人科小児科病院」と、地域社会と医療のより緊密な連携に取り組んできた「ヨナハ総合病院」が合併して誕生した。妊娠・出産から高齢期までをカバーするシームレスな医療体制を構築し、「人生の地域総合支援」の実現を進めている。
地域との絆を大切にしてきたヨナハ丘の上病院だが、HOPE LifeMark-コンシェルジュ Lite(以下、コンシェルジュ Lite)の導入にも、同院の地域社会や患者を思いやる姿勢が表れている。医療情報課課長の中西健二氏は、コンシェルジュ Liteの導入の経緯について話す。
「2020年の末ごろ、上層部から『開院にあたって、もっとホスピタリティを向上できるような施策を打てないか』と打診がありました。安心・安全な医療の提供はもちろんですが、当院では患者様へ質の高いサービスを提供することにも重きを置いています。そこで、前身のヨナハ総合病院のころから改善すべきと考えていた患者様の『診察待ち負担軽減』の施策を検討しました」(中西氏)。
近年は、診察の案内状況を通知するシステムが、小規模のクリニックを中心に普及し始めており、前身のヨナハ総合病院でも同様の仕組みを望む声が届いていた。しかし、中規模以上の病院になると、患者の診察や検査が複数の診療科にまたがることも多く、正確な診察時間を予測するのは難しい。また「診察待ち時間」そのものを短縮することは多くの医師が診察スタイルを変えなければならず、極めて難しいことも分かっていた。
さらに、コロナ禍以降は、感染拡大予防の観点から、医療IT技術の活用で院内の密回避が出来ないかと求められたという。中西氏は、「当時最も脅威であったのは新型コロナ感染症の院内まん延であり、それは絶対にあってはならないという院内共通の思いでした。患者様と医療に関わるスタッフ全員の安心安全を確保するために、院内、とくに人の密度が高くなる待合スペースの混雑回避、滞在時間の短縮と、同時に診療を求める患者様には制限なくしっかりと応えるという一見相反する課題に取り組むこととなりました」と振り返る。
導入の経緯
院内の密回避対策、ホスピタリティの向上に期待し、コンシェルジュ Liteを導入
医療法人尚徳会では、合併前の二病院で株式会社ミエデンシステムソリューションの導入支援を得て、2017年7月に富士通Japan製の電子カルテシステムを稼働させ、次のステップとして電子化された情報を患者と共有することを模索していた。電子カルテシステム導入後、患者からスマートデバイス等での情報共有を希望する声が一層強くなり、電子カルテシステムと連携が可能な患者情報システムを求めていた。
そのような状況のなかで、とある医療情報システムの展示イベントにて、コンシェルジュ Liteの情報を得ることができた。コンシェルジュ Liteは、切望していた電子カルテシステムとのデータ連携が可能であり、患者がいつでもどこでも専用アプリから自身の予約情報を確認できたり、検査や診察の前日に、予約のリマインドや当日の注意事項などの自動通知を受け取ることができた。加えて、ビーコン感知による自動チェックイン機能や、待ち時間の負担軽減につながる診察状況お知らせ機能、メッセージ配信機能などもあり、新病院での新たな患者サービスとして必要十分な機能を備えたシステムとして上層部にも認知された。
しかしながら導入に至るまではスムーズではなく、新病院システム構成は当初コンシェルジュ Liteを含めた計画を提出していたが、病院の新築移転費用が徐々に膨れ上がる中、システム構成も縮小を余儀なくされ、コンシェルジュ Liteの導入は断念せざるを得なかったという。
転機はコロナ禍で院内患者の密状況に上層部が目を向けた時だった。「上長より院内の密回避対策としてコンシェルジュ Liteの導入は効果があるかと問われたことをきっかけに、新型コロナ感染防止対策として改めて提案することで導入が承認されました」(中西氏)。
2021年5月、ヨナハ総合病院でコンシェルジュ Liteの運用が開始。電子カルテシステムとの連携や各種設定は滞りなく進み、システム導入は順調に進んでいたが、一方で、患者への普及、利用者の獲得が思うようにはいかなかった。中西氏は「コンシェルジュ Liteを患者様が利用するためには、スマートフォンに専用アプリをダウンロードし、ユーザー登録を行わなければなりません。若い世代は問題ありませんが、スマートフォンの利用に習熟していない高齢層の患者様ですと苦手な方もいらっしゃいました」と話す。
こうした課題を乗り越えるため、導入担当者の中西氏は院内にコンシェルジュ Lite専用の案内窓口を設置。患者向けのリーフレットの配布だけでも案内は可能であったが、導入後初期は自らが専従スタッフとして、専用アプリのダウンロード方法やシステムの利用方法などを細かに患者らに説明していった。その結果、コンシェルジュ Liteは着実に患者間に浸透していく。
■HOPE LifeMark-コンシェルジュ Liteのスマートフォンでの画面イメージ
導入効果
利用促進策が奏功し、順調に利用者が増加中
幅広い患者層へのコンシェルジュ Liteの普及を実現
導入から9ヶ月が経過した2022年1月、コンシェルジュ Liteのユーザー登録数は数百件に達した。特に、ヨナハ丘の上病院が開設された2021年11月以降は登録者が増え、移転後数ヶ月間で約180件の新規登録があった。患者の立場に立った、丁寧で親身な利用促進施策が功を奏し、幅広い層への普及が実現した。
コンシェルジュ Liteを利用することで、患者は診察の予約日時がスマートフォン上でいつでも確認できるので診察日を失念するリスクが低減し、また、診察が近づくとスマートフォンにポップアップで通知が届くので、患者は院内のレストランや駐車場の車のなかで待ち時間を過ごすことができる。この機能は待合室での患者同士の接触機会削減にもつながっており、院内感染の予防にも効果を発揮している。
総合診療部長の佐藤芳邦氏は、コンシェルジュ Liteの導入に確かな手応えを感じていると話す。
「ヨナハ丘の上病院は桑名インターの近傍に位置し、近隣からは名古屋行きのバスが定期的に運行するなど、交通の便が良い立地です。そのため、患者様には名古屋周辺で就業されている方が多く、先進的なサービスに慣れ親しんでいる傾向にあります。そうした場所に開院するうえで、コンシェルジュ Liteのような先進のシステムは必要不可欠だったと思います。一方で、ヨナハ丘の上病院には退職後の高齢者の患者様も多いため、付き添いのご家族も多数ご来院されます。付き添いのご家族は、診察を受けられる患者様よりも長く待たなければなりませんし、可能な限り待ち時間のストレスを減らしたいはずです。コンシェルジュ Liteが多くの方に受け入れられたのは、こうした患者様のニーズに応えられているからではないでしょうか」(佐藤氏)。
ヨナハ丘の上病院では、今後はさらなる利用促進・運用の改善を図りながら、定量調査を実施し、効果検証を進める方針だという。
今後の展望
コンシェルジュ Liteの活用範囲を拡大し、「会計待ち」の解消も
コンシェルジュ Liteの活用について、佐藤氏は適用範囲のさらなる拡大を目指したいと語る。
「現状、当院におけるコンシェルジュ Liteの適用範囲は、予約情報の確認や診察状況の通知など、診察前の段階に限られています。これを診察後の段階にも拡大できれば、患者様の利便性もさらに向上するのではないでしょうか。例えば、検査や会計の案内状況を可視化できるのが理想です。コンシェルジュ Liteでは、『キャッシュレス決済機能』の提供を検討中と聞いています。そちらの機能を活用すれば、診察後の会計待ちの解消が可能です。今後は、こうした適用範囲の拡大を進めながら、さらなるホスピタリティ向上を手掛けていきたいです」(佐藤氏)。
社会全体でDXが推進されるなかで、患者側のデジタルリテラシーは日々高まり続けている。今や予約や受付のデジタル化は、患者の満足度向上を実現する第一歩といえる。デジタル時代にふさわしいサービス提供を模索する医療機関は、ぜひヨナハ丘の上病院の事例を参考にしてほしい。
[注] 「HOPE LifeMark-コンシェルジュ Lite」は、「HOPE LifeMark-コンシェルジュ」の中堅病院様向け製品となります。
「HOPE LifeMark-コンシェルジュ」と一部提供機能が異なりますので、詳細についてはお問合せください。
お客様プロフィール
医療法人尚徳会 ヨナハ丘の上病院 様
住所 | 〒511-0868 三重県桑名市さくらの丘1番地 |
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TEL | 076-257-3311 |
URL | https://yonaha.or.jp/ |
診療機能 | 救急医療機能(第2次救急医療機関)、リハビリテーション医療、人工透析機能、周産期医療、訪問看護ステーション、総合診療・在宅訪問診療 |
概要 | 三重県桑名市に位置する総合病院。約30の診療科・部門を有し、全ライフステージに対応する医療体制を提供している。 |
*本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。
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