短期間でシステムを刷新、利用者サービス向上と県内図書館への支援拡充を実現

熊本県立図書館様 外観の写真

熊本県立図書館様 導入事例


九州のほぼ中央に位置する熊本県。熊本県立図書館様にはくまもと文学・歴史館が併設されており、貴重資料の展示・活用などで相互協力をしています。熊本県立図書館様では、2018年3月に図書館システムを刷新し、FUJITSU 文教ソリューション iLisfieraを中心としたシステムを構築しました。県内21市町村の図書館の蔵書が横断検索できるようになったほか、ホームページで、同館の貴重資料をデジタル化して作成したデジタルアーカイブデータの公開を実現。リニューアルの成果もあり、ホームページのアクセス数は移行前の1.5倍となっています。さらに、システム刷新による改善により、職員業務のパワーシフトにつながりつつあります。利用者サービスも県内図書館支援も職員の力が重要となり、これからの取り組み強化への活用が期待されます。

[ 2018年11月2日掲載 ]

【導入事例概要】
業種: 文教
ソリューション: FUJITSU 文教ソリューション iLisfiera V3
FUJITSU 文教ソリューション Ufinity for Public
FUJITSU 文教ソリューション iLiscomp V3

icon-form 本事例に関するお問い合わせ

注目されるポイント

くまもと文学・歴史館を併設した特色ある県立図書館

人口約180万人(2018年8月)を擁する熊本県。水前寺公園の成趣園池へと注ぐ清流のほとりに熊本県立図書館様(以下、同館)はあります。同館では視聴覚資料を含めて約106万点を所蔵して、県民ならびに県内の市町村立図書館、学校図書館へのサービスや支援を提供。図書館と同じ建物の中に「くまもと文学・歴史館(以下、文学・歴史館)」を併設しているのも特徴で、文学・歴史館は、図書館が所蔵する貴重資料の展示の場にもなっています。2018年6月には「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が世界文化遺産に登録されることが決定し、同館では関連図書コーナーを設けて紹介していました。

2016年の熊本地震では、同館も大きな被害を受けました。4月14日の前震に続いて16日未明に発生した本震は、熊本市内で震度6強を記録。所蔵資料の7割が落下したほか、棚、パソコン、コインロッカーなどの備品や、ガラス、照明、タイルなど施設設備にも被害が及びました。それでも比較的被害の少なかった1階部分の復旧を優先して、6月1日から部分開館にこぎつけています。その後も震度5クラスの余震が続く中、職員総出で本を棚に戻して落下防止の紐を張ったり、復旧工事のために資料を移動したりといった作業を行いました。地震からおよそ1年後の2017年3月29日に全面開館し、通常のサービスが提供できるようになりました。

導入の経緯

短期間でシステム構築とデータ移行・整備を実現

地震の混乱が続く中、同館では次期システムの準備を進め、2018年3月から新システムが本稼働しています。熊本県立図書館 総務課 参事の冨松 倫代氏は、システム更新の経緯について次のように語ります。「2017年度当時のシステムは再リース契約をして6年目の運用に入っていました。次年度以降は機器の保守ができませんし、機能面、性能面で、効率が落ちていました。横断検索など新たなニーズもあり、システムの入れ替えが不可欠でした」。

選定の結果、2017年10月に新システムとして採用されたのがiLisfieraを中心とした図書館システムです。前システムのリース満了までわずか5カ月。冨松氏は「今回の更新ではシステムが刷新され、運用も変わります。タイトなスケジュールで不安もありましたが、各職員が今できることを自ら考え作業を進めていきました」と振り返ります。

熊本県立図書館 総務課 参事 冨松 倫代 氏熊本県立図書館 総務課
参事 冨松 倫代

システムの導入に合わせて約100万件の書誌データの移行が必要でしたが、今回の移行を機に、MARC(デジタル目録の形式)のクリーニングを行い、典拠ファイルを導入しました。「更新前には、書誌情報の整っていない古い時代のデータも混在していました。今回のデータ移行ではこういったデータに関しても詳しく仕様を決め、仕様に沿って移行していきました。私たちの想像を超えた提案をもらい、結果としてきれいなデータが整備できました」(冨松氏)。併設の文学・歴史館の資料も同じデータベースで管理しているので、課題も多くありましたが、特性の違う資料をいかに同じデータベースで管理するかを検討し、現在は識別子を使って検索や貸出の管理、運用をしています。

2018年3月に新システムが本稼働した際には、初日から数日間、各フロア、各カウンターに富士通マーケティングの担当者が一人ずつ付いてサポートする体制を整えました。熊本県立図書館 情報支援課 参事の田嶋 尚子氏は、「疑問点があればすぐに質問できますし、困ったときにその場で助けてもらえる環境でした。実際には特に問題は起こりませんでしたが、職員一同大変心強く、安心して新システムでの業務にあたることができました」と語っています。

熊本県立図書館 情報支援課 参事 田嶋 尚子 氏熊本県立図書館 情報支援課
参事 田嶋 尚子

導入の効果

横断検索やデジタルアーカイブなどコンテンツの充実により、ホームページのアクセス数が1.5倍に

新システムでは、Ufinity for Public上で横断検索サービスを導入しました。冨松氏は、「県立図書館として、熊本県内全域を対象とした横断検索システムの必要性を感じていました。今回、新図書館システムの機能の一つとして、県内21市町村の図書館蔵書の横断検索機能を実装しました。オンライン検索ができる、県内すべての市町村立図書館に参加していただいています」と新たなサービスについて語ります。

同館は、一般公開していない貴重な資料を数多く保有しています。「以前からこれらの資料のデジタル化を進めていたのですが、そのデジタル化された情報は館内でしか見ることができませんでした。新システムでは、ホームページでデジタルアーカイブ資料の閲覧ができるようになったほか、横断検索、各種案内などのコンテンツも充実させ、利用者サービスの向上につながっています」(冨松氏)。

新システムでは新たに書影(本の表紙画像)が表示され、本の情報がより豊富になりました。ホームページでの検索および館内のパソコン検索で書影が表示されるようになり、とても分かり易くなったと利用者にも好評といいます。こういった様々な改善により、稼働後の2018年4月から8月までのホームページのアクセス数は、過去の同月と比べると1.5倍に増加しています。

同館では郷土資料などに関するレファレンス業務にも力を入れていますが、今までの紙ベースでの運用では、情報共有が難しい状態でした。田嶋氏は「現在、過去のデータの入力を進めていて、国立国会図書館が中心となって構築している『レファレンス協同データベース』にも一部の情報を公開し始めました。新システムになってからは、メールでいただく内容をそのままシステムで受付をしています。今後は図書館システムと連携して、直接『レファレンス協同データベース』で情報公開できるようになります」とシステムの活用方法を話します。

田嶋氏は、「帳票に関して劇的な進歩があった」と説明します。「以前は手作業の処理がかなりあり、CSV形式で抽出したデータを加工したり、印刷した紙を切り貼りしたりしていました。今回の導入にあたり、富士通マーケティングの担当者と業務を洗い出して帳票を再設計しました。提案をもらうことで、改めて業務を見直すことができました。新システムで実装された帳票印刷機能によって、大きな時間短縮になっています。何よりも誰が処理しても同じ帳票が作成できるようになり、間違いがなくなったことが大きいです」。

移行作業を通して同館では、富士通マーケティングのサポートを高く評価しています。熊本県立図書館 情報支援課課長の高宮 優美氏は、「本稼働してからも頻繁に来館してもらっています。担当職員が持ち掛ける様々な相談に対して、非常に丁寧に対応いただいていてありがたいです。我々ももっとこのシステムを理解して習得し、良い使い方ができるよう上達していきたいと考えています」と語っています。

熊本県立図書館 情報支援課 課長 高宮 優美氏熊本県立図書館 情報支援課
課長 高宮 優美

今後の展望

業務改善で生み出された時間を利用者サービスへ

高宮氏は、「導入にあたり、業務改善に関して多様な提案をもらえました。これには多くの職員が大変感謝しています」と総括しています。田嶋氏は、次のように振り返ります。「一貫して、システムにできることはシステムにさせ、それで生み出された時間を職員にしかできない利用者サービスへ充てる、ということを基本方針に据えました。システムの全面的な刷新ということで大変な面もありましたが、これをきっかけに業務を見直し現状に合ったかたちで再構築することができました」。

新たにシステム化したデジタルアーカイブに関しては、今後も資料のデジタル化とシステムへの登録を進めていく予定です。「全国でも当館だけにしかないような雑誌コレクションや、郷土に関する古文書や絵図などの貴重資料を、多くの方々に提供できるように、デジタル化を積極的に進めていきます」(高宮氏)。

県立図書館として、市町村立図書館の支援も重要な業務です。新しいホームページには県内市町村図書館(公民館)向けページがあり、図書館職員が効果的に情報を共有できるようになっています。高宮氏は、「今後、外部研修で学んだ内容など有益な情報を、市町村の職員の方たちと積極的に共有していきたい。市町村立図書館からも発信してもらい、県内全体の図書館のレベル向上に努めたい」と語っています。

熊本県立図書館の多彩な取り組みを、富士通マーケティングはこれからも総合力と技術力で支援していきます。

一般図書10万冊を所蔵する第一閲覧室 一般図書10万冊を所蔵する第一閲覧室

幼児から中学生までを対象にした子ども図書室 幼児から中学生までを対象にした子ども図書室

取材にご協力いただいたみなさま取材にご協力いただいたみなさま

【熊本県立図書館様 概要】
所在地 〒862-8612 熊本県熊本市中央区出水2丁目5番1号
蔵書数 1,055,709冊(2018年3月末日現在)
ホームページ 熊本県立図書館 ホームページ新しいウィンドウで表示

【導入事例(PDF版)】

本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。

公共図書館向けソリューションに関するお問い合わせ

Webでのお問い合わせ

  • お問い合わせ

    当社はセキュリティ保護の観点からSSL技術を使用しております。

お電話でのお問い合わせ

  • 0120-835-554
    (通話無料)

    富士通Japan株式会社(お客様総合センター)
    受付時間 9時~12時、13時~17時30分(土曜・日曜・祝日・当社指定の休業日を除く)