支払いは“手をかざすだけ”
先進事例で見えた「本人確認」の最適解

店頭での決済をより手軽に済ませたい――。こうした要望を実現するため、QRコードをはじめ、様々な決済手段が生まれている。その最先端の手法として注目されているのが「手のひら静脈認証」である。カードやスマホも必要とせず、手ぶらで決済できるのが特徴だ。すでに韓国セブンイレブンで本格的な利用が始まっている。高い認証精度だけでなく、血管を使う偽造にも強い認証方式であるため、決済だけではなく幅広い領域で活用できる。ここでは手のひら静脈認証の最先端事例を紹介した上で、その特徴や優位性、すでに始まっている現場での活用事例を俯瞰していく。
「手のひら」で買い物を実現したLOTTE CARD
キャッシュレス社会への移行が、海外に比べて大幅に遅れていると指摘されている日本。海外ではスマートフォンなどを活用した電子決済が当たり前のように使われており、財布を持たない人も増えている。しかし、さらにその先を行く事例も登場している。それが韓国ロッテグループ傘下のクレジットカード会社LOTTE CARDが推進する「Handpay(ハンドペイ)決済サービス」という取り組みだ。
これは生体認証を利用し、店頭での決済(支払い)や本人確認を行うというもの。利用者は、もはや財布はおろか、スマートフォンすら持ち歩く必要がない。使用する生体情報は、手のひらの静脈パターンだ。Handpayの利用者は、あらかじめLOTTE CARDが運営する「LOTTE CARDセンター」で携帯電話の番号と手のひらの静脈情報を登録しておく。その後は、店頭で携帯電話番号を入力し手のひらをかざすだけで決済が完了する。
なぜ同社はこのような決済方法を推進しているのか。2018年5月に来日して講演を行った、LOTTE CARD デジタルペイメントチーム シニアアシスタントのシム・グンボ(Sim Geun-bo)氏は、次のように述べている。
「顧客が便利になるためのツールの選択肢はいくつかあります。例えばスマートフォンやICカードなどです。しかし私たちは、これらの道具を全て捨てることを選択しました。手のひら静脈認証こそが究極の利便性だと確信したからです」。
もちろん生体認証には、手のひら静脈認証以外にも複数の手法がある。「指紋認証」「虹彩認証」「顔認証」などだ。LOTTE CARDがそれらの中から手のひら静脈認証を選択したのには、実は大きな理由がある。その採用理由をひも解くと、手のひら静脈認証が本人確認手段のメインストリームになる可能性が極めて高いことがわかる。このシステムは既に韓国内のセブンイレブンやロッテマート(スーパーマーケット)などで導入が進められており、今後も利用できる小売店舗を拡大していく計画だ。
Handpayの利用風景
LOTTE CARDが推進する「Handpay」の利用風景。
事前に携帯電話番号と生体情報を登録しておけば、あとは店頭で携帯電話番号を入力し、手のひらをかざすだけで決済が完了する。
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支払いは“手をかざすだけ”先進事例で見えた「本人確認」の最適解
概要
- 「手のひら」で買い物を実現したLOTTE CARD
- 手のひら静脈認証が持つ3つの優位性と適用分野
- この分野をリードする富士通、利用者は全世界で8200万人
- 国内銀行のATMや徘徊者の身元特定で活躍