狙われる生産現場 ―今、製造業に必要なサイバー攻撃対策とは

製造業においてはOT（Operational Technology）と呼ばれる、工場内の機器を制御するための技術がある。これはコンピューター機器やネットワークなど、いわゆるIT（Information Technology）と同じような技術が使われるが、その目的や目指すものは異なっている。そのため、多くの現場ではITとOTの衝突のようなことが起きているというのが実情だろう。
近年、OTがオープン化した技術をベースにするようになり、IT環境に対する攻撃がそのままOT環境に大きく影響するようになってきた。攻撃は技術的に高度になるだけでなく、人の心理を突くような人的脆弱（ぜいじゃく）性も悪用され、攻撃の多様化も進んでいる。OT環境では「最新の状態にアップデートする」ことは難しく、「多種多様な防御手法を導入する」こともシステムの不安定さを誘発し、IT環境と同じ方法では対策がなかなか進まない。これが、情シス部門と製造部門の摩擦を生む原因なのではないだろうか。
だがサイバー攻撃が激化する今こそ、IT部門とOT部門は協力していかなければならない。本稿では、IT/OTそれぞれのスペシャリストが「いま製造業が狙われている現状」「セキュリティ視点における製造業の課題と対策強化ポイント」「OTで可視化が必要な理由」を解説している。製造業にとって生命線とも言えるIT/OT環境を両面から守る方策についてお届けしよう。