東北大学 工学部 様

教育の質およびサービス向上と効率化を目指し
「同時双方向講義配信システム」を構築
コロナ禍での遠隔教育にも高い効果を発揮

東北大学 様

「Cisco Webexの専用カメラとビデオ会議端末は映像の解像度と音質共に非常にクリアで、講義の配信にも最適でした」

湯上 浩雄 教授
東北大学 大学院工学研究科長
工学部長 総長補佐 工学博士

1907年、日本で3番目の帝国大学として創設された東北大学。工学部はその12年後の1919年に設置。以来、「研究第一主義」「門戸開放」「実学尊重」の理念のもと、工学のあらゆる分野で多くの研究実績を挙げ、100年以上の歩みの中で安全で豊かな社会の実現に貢献してきた。同学部は今回、Cisco Webexを活用した「同時双方向講義配信システム」を構築。インターネットによる複数講義室への講義のライブ配信で、教員の負荷軽減と教育の質を高める当初目的に加え、コロナ禍での対応が求められる講義室とリモートのハイブリッド型の講義提供にも効果を発揮した。

導入事例概要

業種文教
導入製品Cisco Webexサービス
課題
効果
課題 ICTを活用して質の高い教育提供を効率化し、より高度な研究に費やす時間を増やしたい
効果 現地での検証を経て3講義室に同時双方向講義配信システムを設置、運用体制も整備
課題 並列開講により実施している同一講義を、オンラインで複数講義室へ同時配信したい
効果 コロナ禍で情勢が変わり、講義室・生配信・オンデマンドのハイブリッド型の講義提供を実施
課題 インターネット経由での高品位な映像・音声配信と録画機能が必要
効果 キャンパスに来なくても学べる新たな大学のあり方を模索、取り組みを進める

導入の背景

ICTを活用して質の高い教育提供を効率化し、
より高度な研究に費やす時間を増やすことが目的

東北大学 大学院工学研究科・工学部は、機械知能・航空工学科、電気情報物理工学科、化学・バイオ工学科、材料科学総合学科、建築・社会環境工学科の学部5学科、および大学院18専攻から構成され、学部学生約3,450名、大学院生約2,000名と大学全体のおよそ3分の1の規模を誇る。社会構造自体が大きな変革期を迎える中、イノベーション創出や、我が国の基幹産業である製造業など多様な産業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)推進のための人材育成を目指し、産学連携研究や教育を強化している。

今回のプロジェクトの狙いについて、東北大学 大学院工学研究科長・工学部長(導入当時:機械知能・航空工学科長) の湯上浩雄氏は次のように話す。

「ICT を活用して学部生への質の高い教育提供を効率化し、より高度な研究に費やす時間を増やすことが目的です。従来、一般教養から専門領域に進む間の基盤として全員が学ぶべき専門講義は、複数クラスで並列開講により実施していました。工学部機械知能・航空工学科では1学年に約240名の学生がいますので、1講義室60名で4クラス並列 、という具合です。それを各講義室にリアルタイムで配信すれば先生方の負荷が4分の1に軽減できて効率的ですし、各先生の教えるスキルの差によるバラツキもなく、教育の質も均一に保てます。さらに、録画した講義ビデオをアーカイブすれば学生はオンデマンドでも受講でき、学生サービスの向上にもつながることを期待しました。」

湯上 浩雄 教授
東北大学 大学院工学研究科長
工学部長 総長補佐 工学博士

導入のポイント

品質と操作性、機能面から富士通提案のCisco Webexを採用

全学部生に質の高い講義を同時受講させるための本システムには、
・インターネットを介して、講義を鮮明な画質と音声でリアルタイムに各講義室に配信できること
・講義映像は録画により、オンデマンドでの配信が可能であることが求められた。同学部ではベンダー各社からの提案を受け、実地でのデモンストレーションおよび検証を実施した上で2020年2月、富士通の提案したCisco Webexを選定した。

遠隔でも学生が不満なく視聴できるようにするため、講義室の大きな黒板の文字が隅々まで鮮明に見えること、音声がクリアであることが絶対条件であり、高品質な映像と音声が評価された。

「Cisco Webexの専用カメラとビデオ会議端末(Cisco Webex Room Kit Pro/Plus)は映像の解像度と音質共に非常にクリアで、講義の配信にも最適でした。音声は富士通との協議の上で集音マイクではなくワイヤレスマイクをアンプにつなぎ利用することとしました。」(湯上氏)

また、先生方に負担をかけないよう、シンプルな操作で講義に集中できることも重要だ。ここでは直感的なユーザーインタフェースが評価された。

「講義ごとに録画する、しないがありますので、基本的には自動録画とし、必要に応じて手動で録画機能をオフにすることが求められました。Cisco Webexの操作はシンプルで、慣れない先生方Cisco Webex Room Kit Pro/Plus 導入事例でも直感的に操作できます。また、専用カメラとビデオ会議端末を各講義室に据え置きで設置いただいたことで、都度機材を準備する手間もありません。」(湯上氏)

長年、同大学の基幹システム構築などで実績のある富士通からの提案であることに加え、同学部が2016年からWeb会議にCisco Webexを利用していたことも、安心感につながったとのことだ。

「Cisco WebexはWeb会議サービスとして国際共同大学院の活動で、海外の教育機関と接続するためライセンスを利用していました。グローバルでもシェアも高く、我々としてもその拡張利用であることで、安心感がありました。」(湯上氏)

導入の効果

2020年6月の利用開始を予定するもコロナ禍で状況が一変
ハイブリッド型の講義配信システムとして活用

「同時双方向講義配信システム」は2020年4月に構築を開始、運用についても配信元の講義室に先生とTA(大学院生のティーチングアシスタント)1名、配信先の講義室にはサポートとしてTAを2名を配置する体制が決まり、授業カリキュラムに沿ってシステムを使用する科目を決定して、6月からの利用開始が予定されていた。ところが、折からのCOVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大で状況が一変。感染拡大防止のためキャンパスへの出入りが厳しく制限される中、学生に対するオンラインでの教育の提供が必要となった。

システム概要図

同大学でもさまざまな措置が実施され、本システムもその中の一つとして活用された。湯上氏はその成果について、こう話す。
「当初に予期した成果ではありませんが、本システムを整備していたおかげで、後期からオンラインと講義室でのハイブリッド型の教育がスムーズに提供できるようになりました。録画した映像のオンデマンド配信も併せて、学生に3つの受講スタイルの選択肢を提供できることは、非常に大きな成果です。時期的に構築に際してもさまざまな制限が求められましたが、富士通には柔軟かつ円滑に対応いただき、感謝しています。」

今後の展開

キャンパスありきの大学のあり方が変わる本システムは変革への第一歩

最後に湯上氏に今後の展望と、富士通への期待を聞いた。
「これまで、ある意味インフラ産業であった大学のあり方が、大きく変わると思います。例えば、コロナ禍を受けて本学では留学生に対する新たな措置として、入国と学籍取得(単位取得)を切り離しました。キャンパスに通えなくても、遠隔で講義を受けて試験に合格すれば単位を取得できます。もちろんリアルな交流や設備も大切で、すべてがバーチャル、オンラインになるわけではありませんが、キャンパスに来なければ学べない、という制限はなくすべきだと考えます。本学ではVRやAR活用による実験なども模索しています。その意味で、今回のシステムはその変革の第一歩。これからも富士通には、ICTの利活用で教育の進化に貢献するソリューション提供に、期待しています。」

東北大学 工学部

所在地宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉 6-6
大学創設1907年
学部設置1919年
学生数学部 3,464人(2020年5月1日現在)
URLhttps://www.eng.tohoku.ac.jp/

[2021年5月25日掲載]

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