SAP ERPの運用基盤をAWS上に構築 コスト最適化・運用負荷軽減と、パフォーマンスの大幅な向上を実現
富士通のPoC支援を活用して
海外拠点へのSAP S/4HANA Cloud導入を推進

グローバル展開や全社を通じた業務の標準化と効率化に向けて、オンプレミスからクラウドへ、そしてSAP ERPからSAP S/4HANAへの移行を検討している企業は少なくない。そうした中、大和ハウス工業株式会社は、継続的な成長に向けた海外戦略の布石として、会計システムのクラウド化に着手。富士通が提供するSAP S/4HANA CloudのPoC支援を活用して、グローバルでの会計ネットワーク構築に急ピッチで取り組んでいる。

大和ハウス工業株式会社様 SAP S/4HANA Cloud 導入事例
導入事例概要
会社名大和ハウス工業株式会社(Daiwa House Industry Co., Ltd.)
業種建設業
導入製品名SAP S/4 HANA PoCサービス
SAP新規導入サービス

大和ハウス工業株式会社様 課題と効果

1急速に増大する海外拠点においてもガバナンスを効かせてリアルタイムに経営情報を可視化したい
グループ経営基盤のSAP ERPとシームレスな連携が可能なSAP S/4HANA Cloudを採用
2海外拠点の立ち上げスピードに対応可能な会計システムを導入したい
パブリッククラウド型のSAP S/4HANA Cloudで低コスト、短期導入を実現
3従来のERPとは手法が全く異なるSAP S/4HANA Cloudの導入/運用に向けて細部を検証したい
富士通が提供するSAP S/4HANA CloudのPoC支援を活用して構築手順やノウハウを獲得

PoC実施の背景

急速な海外展開を支える戦略的会計システムの重要性

広く知られた総合住宅メーカーであるとともに、商業施設や都市開発、環境エネルギー事業などにも事業領域を拡げ、国内外に多くの拠点を展開する大和ハウス工業株式会社。1955年(昭和30年)の創業以来、「建築の工業化」を理念にさまざまなイノベーションを建築の世界にもたらしてきた。その成長は現在まで衰えることなく、2005年度の創業50周年にはグループ売上1兆5000億円超を記録。さらに2018年度には、4兆円の大台を目指すという。

現在同社では、海外拠点の会計システムをSAP S/4HANA Cloudで整備する取り組みを進めている。これも、ビジネスの成長スピードに対応するための情報基盤整備の一環だと、情報システム部 部長 松山竜蔵氏は語る。

大和ハウス工業株式会社
情報システム部 部長
松山 竜蔵 氏

「当社は海外展開を急速に進めており、進出国はすでに20カ国(2018年9月末時点)に達しています。これだけ増加していく中では、各拠点の経営状況を強力なガバナンスの下で管理/可視化していくことが極めて重要となります。事業成長のスピードと経営ガバナンスのギャップをいかにITでサポートしていくかが非常に大きな課題といえます」
そこで課題となるのが、会計システムのあり方だ。連結決算などを的確に行うのはもちろんだが、それ以上に求められるのが「同時性」だ。すなわちリアルタイムで経営情報を把握する、リスクの予兆をいち早く感知するといったことだと松山氏は指摘する。
「この課題に対しては、経営層も早急な取り組みの必要性を感じています。もともと『経営情報の見える化』は第5次中期経営計画の重要テーマに含まれており、単なる計数処理の効率化にとどまらない、将来に向けた成長戦略の一角と位置付けられています」

実施の経緯

低コストで短期導入できるパブリッククラウド型ERPに着目

大和ハウス工業がグローバル展開に注力する背景には、今後の成長への危機感もある。もともと住宅産業は国内型のビジネスであり、海外に多くの拠点を持つ同社でも、全体の売上高に占める割合はまだ大きくはない。さらに同社では、創業100周年時点での「売上高10兆円」を長期目標として掲げている。人口減少で国内の住宅需要が伸び悩む中、海外市場の開拓は必須であり、同社の海外へのビジネス展開は現在、予想を超えるスピードで進んでいるという。
「大和ハウス工業単体だけでなく、グループ会社もこぞって海外への進出を進めています。ここで求められるのも、やはり経営状況のリアルタイムでの把握であり、それが可能な情報基盤です」(松山氏)
しかし、現在国内に展開している会計システムを、そのまま展開するわけにはいかなかった。通常、海外拠点でも小規模なところにIT専任担当者を置くことはまずない。また各拠点に合わせて個々に開発/導入する従来の手法では、時間も費用もかかり過ぎる。個別にカスタマイズするのではなく、標準化された業務機能をすぐに導入でき、運用/保守にわずらわされない仕組みが必要だった。
「海外拠点を次々に増やしていく際には、スタートアップのように小さく始めてスケールアップしていきます。クラウド型ERPなら初期投資を抑えられますし、ビジネスのニーズに応じてスピード感を持って立ち上げられると判断しました」(松山氏)
大和ハウスグループは基幹システムとしてSAP ERPを利用している。情報基盤の一元化とシームレスなシステム間連携、そして蓄積されたスキルやノウハウの有効活用という面からも、SAP S/4HANA Cloudの採用はごく自然な流れだった。

富士通は、2012年に大和ハウス工業がレガシーの会計システムをSAP ERPへ移行した際の技術パートナーだ。この時に構築されたシステムは「DG-CORE」と呼ばれ、現在国内38社で利用されている。今回のSAP S/4HANA Cloud導入でも富士通がパートナーに選ばれた背景には、こうした実績への評価と長期にわたる信頼関係があった。

実施のポイント

富士通のPoC支援を活用して多くのハードルをクリア

プロジェクトが始まり、実際にSAP S/4HANA Cloudに触れてみると、やはり従来のERPとはまったく別物だったと松山氏は印象を語る。 「プロジェクト冒頭でSAPからの説明を聞いた時点で、従来のERPと同じに考えていては導入できないとわかりました。構築手順もオンプレミスとはまったく違うし、3カ月に1度のペースでバージョンアップが行われ、次々と新しい機能が登場する。しかもユーザーがカスタマイズできる部分は、ほとんどない。『これは新しい方法論が必要だ!』と痛感しました」
これまでのオンプレミスでの経験が応用できない未知の課題を、一つひとつ確認しながら解決しなくてはならない。そこで富士通からSAP S/4HANA CloudのPoC支援を受けることにした。
「1回導入して終わりではなく、継続的に海外展開していくことを考えると、このPoC支援を受けてしっかり検証した上で、慎重に進めていくのが賢明だと富士通とも一致しました」(松山氏)

ところが実際に始めてみると、PoCの検証環境内だけでは確認しきれない課題がいくつも出てきた。四半期ごとにSAP側でアップデートが行われるため、サービスの仕様や環境の一部が時間を追って変わっていく。SAP S/4HANA自体が最新のプロダクトであり、やってみないとわからない部分が多く、日本語の資料はないに等しい。しかし、課題が発生するたびに「富士通のPoC担当者が、まさに『格闘』してくれた」と松山氏は振り返る。「海外拠点の現地ユーザーもマニュアルもすべて英語の環境でも、がんばって常時コンタクトを取って会議も設定して、導入作業を前へ進めてくれました」

今後の展開

会計データに基づく経営戦略ツールを目指し、さらなる進化を

大和ハウス工業のSAP S/4HANA Cloud導入第1号となった拠点がマレーシアだ。すでに開発や現地の会計担当者のトレーニングも完了し、新しい会計年度の始まる2019年1月の利用開始を待つばかりだという。
同社は今後、SAP S/4HANA Cloudによる新しい会計システムを世界中の拠点に展開し、連携させたいと考えている。それによってリアルタイムの管理連結を実現し、会計データをもとにした経営状況の迅速な把握と経営判断を可能にするのが目標だ。
「その実現のためには、たとえば会計プロセスを標準化してグローバルなシェアードサービスを立ち上げたり、リージョンごとに現地CFO(最高財務責任者)を育成するといった試みも検討しています。当社にとって『創業100周年に売上高10兆円』は夢物語ではないし、その実現に向けてドライブできる仕組みを準備しておく必要があるからです。今こうして前向きにチャレンジを続けているのは、そのための布石でもあります」と展望を語る松山氏。半世紀先のさらなる成長に向けて、大和ハウス工業は着々と情報基盤を進化させている。

会社概要
本社所在地〒530-8241 大阪市北区梅田3丁目3番5号
代表者代表取締役社長 芳井敬一氏
創業昭和30年4月5日(設立:昭和22年3月4日)
資本金1,616億9,920万1,496円
従業員数16,275名(平成30年4月1日現在)
事業内容建築事業、都市開発事業、海外不動産開発事業、環境エネルギー事業、医療・介護ロボットの販売など
ホームページhttps://www.daiwahouse.com/
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