富士通のJakarta EE(Java EE後継技術)への取り組みについて
富士通技術者ブログ~Javaミドルウェア~
2019年8月2日
はじめに
富士通は、INTERSTAGEの出荷開始から20年以上、Javaの実行環境製品を提供しています。サーバーサイドのJavaの技術は、『J2EE』や『Java EE』と名前を変えながら進化し、2019年現在は『Jakarta EE』という名称でさまざまなベンダーにより技術革新が続けられています。
本日は、富士通のJakarta EE技術への取り組みについて簡単に説明をします。
そもそもJakarta EEとは何か
Jakarta EEとは、サーバーサイドで利用するJavaのフレームワークです。実行するためにはJDKが必要です。2006年にJava EE 5が初めて公開され、その後、数年おきに新しいバージョン(仕様)が公開されてきました。また、2018年にJava EE技術がオラクル社からEclipse Foundationに移管されたことに伴い、名称がJakarta EEと変更されました。現在は、Jakarata EE 8の仕様を策定中で、2019年中に公開される予定です。その後は、一定期間おきにバージョン9、10、11・・・・・・と改定されたものが公開される予定になっています。
J2EE、Java EE、Jakarta EEの歴史と今後のリリース時期
Jakarta EEはどのようなシステムで使われているのか
オンライン業務をWebアプリケーションとして構築・運用するような例が多いです。身近な例では、インターネット通販サイト、ネットバンキング、行政のお問い合わせページなど、さまざまなシステムで使われています。
Jakarta EEを使用したシステムの構成例
Jakarta EEとApache Tomcatの違いについて
『Jakarta EE = Apache Tomcat』と誤解されることがありますが、Apache TomcatはJakarta EEの一部であるWebコンテナ関連機能(JSPやServlet)が実装されたオープンソースソフトウェアです。
簡単な画面を表示するWebアプリケーションを構築する場合はApache Tomcatのみで十分な場合もありますが、例えばJAX-RSでRESTful Webサービスを構築したり、JPAを使ってO/Rマッピングをしたいような場合、Apache Tomcatのみでは構築できず、サードパーティーのライブラリーなどと組み合わせて利用する必要が出てきます。
これに対して、Jakarta EEに準拠したオープンソースソフトウェアには、Eclipse GlassFish(Jakarta EEの互換実装)などがあり、サードパーティーのライブラリーなどを用意せずとも、上述の様な機能を使用できます。
なお、Java EE技術が移管されたことに伴い、従来Java EEでJSP(Java Server Pagesの略称)と呼ばれていた規約は、Jakarata EEでは「Jakarta Server Pages」といった名称で呼ぶ必要があります(JSPと省略できません)。同様に、JAX-RSやJPAといった名称もJakarta EEでは変更になっています。
Jakarta EE、Java EE、Apache Tomcatの関係性
富士通のJakarta EE技術への取り組み
Jakarta EEの技術革新を支援するワーキンググループに参加
2017年秋にオラクル社がJava EE技術の移管を表明(注1)しました。それを受け、富士通は、IBM、Oracle、Payara、Red Hat、Tomitribeの各ベンダーとともに、2018年4月にJakarta EE ワーキンググループを設立(注2)しました。富士通は、Jakarta EE ワーキンググループ内に設置される3つの委員会である「ステアリング委員会」、「仕様策定委員会」、「マーケティング委員会」にストラテジックメンバーとして参加し、Eclipse Foundation(注3)とともに、Jakarta EEによるクラウドネイティブの世界を牽引していきます。なお、Eclipse Foundationには10ほどのワーキンググループがあり、Jakarta EEもその一つです。日本ベンダーでは唯一の設立メンバーとして活動しており、仕様策定に関わることで、製品で提供した際のサポート対応のスピード向上を図ります。
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注1
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注2
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注3Eclipse Foundationは、200以上のオープンソースプロジェクトを運営する非営利団体であり、オープンソースコミュニティや関連製品などを支援しています。
Eclipse GlassFishのリリース
Eclipse Foundationでは、2018年4月以降、Java EE 8の参照実装であるGlassFishと、その互換テストであるTCK(Technology Compatibility Kit)の移管作業を行い、2019年1月にEclipseブランドの「Eclipse GlassFish 5.1」をリリースしました。また、同時に、仕様策定プロセス「Eclipse Foundation Specification Process」も制定しました。今後ワーキンググループでは、Jakarta EEの仕様策定と、Jakarta EE互換テストのリリースを行います。富士通もワーキンググループに参画して活動しています。
富士通のJakarta EE準拠製品について
富士通は、今後もJakarta EE技術にコミットし、最新規約に対応した製品を提供していく予定です。
現在提供している製品について
現在は、Java EE 7に準拠した製品であるInterstage Application Server V12を提供しています(2019年7月現在)。以下のページで機能や製品体系について情報提供をしています。
今後提供する製品について
Jakarta EEに準拠した製品については、決まり次第お知らせいたします。
まとめ
富士通は、これまで同様、Javaの標準化、互換性を重視したミッションクリティカルなアプリケーション構築・実行環境にコミットするとともに、クラウドネイティブな実行環境も推進し、Jakarta EEワーキンググループのストラテジックメンバーとしても、継続的に技術革新に貢献していきます。この「富士通技術者ブログ~Javaミドルウェア~」では、定期的にワーキンググループでの活動の状況、製品の開発状況、セミナーの実施予定などについて、情報提供を行っていきますので、今後ともよろしくお願いします。
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(ご注意)本記事に掲載されている内容は、2019年7月現在の情報に基づいています。Interstage Application Server製品や富士通製品の内容・ロードマップを確約するものではありませんので、ご了承ください。
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