山崎製パン株式会社 様
PostgreSQLを軸にしたワンストップサポートで、将来の環境変化に対応できる持続可能なシステムを実現

国内最大手の製パン企業である山崎製パン様では、インボイス対応を機に、ビジネスを支える間接材購入システムを刷新。将来の環境変化を見据えた持続可能なシステム構築を目指し、仮想環境に適したOSS(オープン・ソース・ソフトウェア)データベースを導入。同時に、複数ベンダーの技術・製品を組み合わせていた従来システムから、オール富士通のシステムに切り替えることで、システムの安定性・信頼性を高めました。本プロジェクトに携わった同社の担当者様に、開発の背景や経緯、稼働後の状況を伺いました。
- 課題将来的な環境変化に対する柔軟性を持たせ、事業継続性を高めたい
- 効果仮想環境やクラウドにも適したシステム構成を実現
- 課題ライセンスコストなどソフトウェア活用の効率性を高めたい
- 効果ハードによる制限のない柔軟なライセンス条件によりライセンスコストを削減
- 課題トラブル発生時の対応を迅速化したい
- 効果富士通サポート員によるワンストップサポートの安心感
導入の背景
インボイス対応をきっかけに、業務の根幹を支える間接材購入システムを刷新
戦後間もない食糧難の時代に創業して以来、社会の進展と文化の向上に寄与することを使命に、「良品廉価・顧客本位」の精神に徹することで発展を続けてきた山崎製パン様。現在ではパンや和・洋菓子をはじめ調理パン、米飯、製菓など多彩な製品群を、自社販売店を含めて全国10万以上の店舗に提供し、日本の食生活を支えています。
同社の大きな特徴が、消費期限の短い食材を扱うため、在庫を持たない受注生産方式を採用していること。「このため、計画生産をベースとした一般的な業務システムでは対応できず、独自システムの構築が主体となります。仕入業務を支える間接材購入システムDIME(物品購入管理システム)も、それまでの納品伝票による管理からEDIに舵を切るべく、EDIと主業務のシステムおよびハード関連を複数ベンダーにて2014年に構築したものです」と、経理部門のシステム構築・管理を担う田邉氏は説明します。
「DIMEは間接材の受発注から受領までを管理するもので、全国30事業所で使用し、当社と1,600社を超える取引先とをつないでいます。まさに当社業務の根幹を支えるシステムと言えますが、複数メーカーの技術を組み合わせているため、トラブル発生時の対応に時間がかかるのが難点でした。そこで、インボイス対応のためのシステム更改とあわせて、全面的に見直すこととしました」と、経理部の部長代理を務める石川氏はユーザーの立場から説明します。
間接材購入システムDIMEの更改にあたっては、次期会計システムと同一の仮想基盤上に構築し、システム間の親和性を高めつつ、管理負荷の軽減を図りました。「それまでは各部門それぞれにサーバーを用意していましたが、昨今の技術進化を踏まえ、IT部門が共通の仮想基盤を用意して、そこに各部門のシステムを搭載する構成としました。これにより、サーバーのメンテナンスなど維持・管理業務はIT部門が担い、各部門のシステム担当者はソフト面の業務に集中できる環境が整備されました。この新たな環境下でシステムを構築していくうえで、複数ベンダーに相談した結果、富士通様から提案されたのが、Fujitsu Enterprise Postgres(以下Enterprise Postgres)でした」(田邉氏)。

経理本部
コード管理センター 室長
田邉 智己 氏

経理本部
経理部 部長代理
石川 哲 氏
導入経緯
OSSならではの自由度の高さと、富士通によるワンストップサポートが魅力
Enterprise Postgresとは、世界的な実績を持つデータベースPostgreSQLに、富士通がセキュリティや性能、信頼性、さらにはサポートなどの付加価値を加えて提供する製品です。ベースがOSSだけにハードへの依存度が低いため、仮想環境やクラウド環境との親和性や、開発・運用の自由度も高いといったメリットがあります。
「当社は以前にもLinuxを導入した経験があり、OSSへの抵抗はありませんでした。PostgreSQLについても、富士通様のSEから紹介されたことがあり、いつか使ってみたいと考えていました。今回、提案を受けてあらためて魅力を感じたのは、柔軟性の高さです。仮想環境への移行が容易なことに加え、複数税率の計算や、登録番号をはじめとした管理項目の追加など、インボイスに対応するための機能追加も容易であり、将来の環境変化にも柔軟に対応できると感じました」と田邉氏は語ります。
「ユーザーの立場でもっとも重視したのは、富士通様によるワンストップサポートが得られるという点でした。既存システムの場合、何かトラブルがあった際に、原因がどこにあるのか、ベンダーから各メーカーに問い合わせて検討する必要があり、回答まで数日を要するうえに、最終的な解決まで数か月かかることもありました。その点、富士通様の提案では、EDIツールやデータベースはすべて富士通製。連携する会計システムもFujitsu グループ会計ソリューション GLOVIA SUMMITなので、スピーディーな対応が期待できました」と石川氏は語ります。
こうした多方面のメリットが評価され導入が即決。2023年10月からのインボイス制度導入に向けて、同年9月に構築が完了しました。
効果と今後の展望
業務効率の向上やライセンス費用の軽減、事業継続対策など、幅広いメリットを実感
「そもそもの目的がインボイス対応でしたので、導入時期の遅れは許されない状況でしたが、難関となったのが既存システムからのデータ移行でした。複数メーカーの製品を組み合わせているため、ベンダーが全体像を把握できておらず、後出しで想定外の要素が出てきたのです」と田邉氏は振り返ります。「それでも当初の予定通りに導入できたのは、富士通様の総合力と『やりきる力』があったからこそ」と石川氏は評価します。「今回はすべて富士通製品で固めたため、各製品の担当者全員がWeb会議で相談することも容易で、スピーディーな対策につながりました」(石川氏)。
こうしたワンストップ対応によるメリットは、実際に稼働した後も実感されています。「何かあったときにも問い合わせに対するレスポンスが早く、解決まで待たされることがないので助かっています。体感的には、トラブル対応効率が50%アップしている印象です。また、会計システムとの連携性が高まり、受発注の内容を会計上で仕訳する必要がなくなるなど、経理業務全体の効率が10%アップしています。データベースのレスポンスも富士通様の方で遅延のある箇所を自発的に検知し、対策が講じられるので、より使いやすいシステムになっていくと期待しています」(石川氏)。
加えて、OSSデータベースならではの柔軟な運用も評価されています。「従来の海外製データベースでは、対応可能な環境が限定されるだけでなく、サポート対象範囲も最近のバージョンのみで、長期的な利用には難がありました。さらに、ライセンス費用がCPU/コアに対して課金されるため、仮想基盤で運用するとライセンスコストの負担が大幅に拡大してしまいます。その点、Enterprise Postgresはデータベースに割り当てた分だけがライセンスの対象になるため、コストを大幅に抑えることが可能。提案時の試算では従来比5分の1に抑えられると期待しましたが、実際、それだけの効果が出ています」(田邉氏)。
現時点での確かな評価に加え、今後の安心感にもつながっています。「経理も含めた基幹システムはオンプレミスで仮想化し、サブシステムはクラウドというハイブリッド運用が当面は続く想定ですが、信頼性や接続性が進歩すれば将来的なクラウド移行も視野に入れています。今回のプロジェクトで、どんな環境にも容易に移行できるシステムに変更するとともに、富士通様のワンストップサポート対応により、少ないITエンジニアで管理でき、レジリエンスも向上させたシステムに変革できたので、将来的なIT人材不足が懸念される中、事業継続対策としても有効だと感じています」(田邉氏)。
山崎製パン株式会社 様
所在地 | 東京都千代田区岩本町3-10-1 |
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設立 | 1948年6月21日 |
代表取締役社長 | 飯島 延浩 |
資本金 | 110億1,414万3千円 |
従業員数 | 19,291人 |
ホームページ | https://www.yamazakipan.co.jp/ |
事業概要 | パン、和・洋菓子、調理パン・米飯類の製造・販売、製菓・米菓の販売、ベーカリーの経営、コンビニエンスストア事業 |
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[2025年4月掲載]