株式会社トランストロン 様
トラックやバスなどの膨大な運行情報を即時処理し、システムの安定稼働を実現
-クラウド型ネットワーク運行支援サービス-
昨今、あらゆるものがインターネットでつながり、データが集められ、有効活用が叫ばれている。そうした状況のなかで、株式会社トランストロン様は自動車・輸送業界において運行システム制御の高度化や運行支援業務の多様化など、高まるニーズに応えるべく、サービスレベルの向上に努めている。膨大な量のトラフィックデータ、それを処理するデータベースの安定運用が企業の信頼に直結する今、FUJITSU Software Enterprise Postgres(以降、Enterprise Postgres)を使ったシステム構築を決めた同社のキーパーソン3人に話を聞いた。
- 課題クラウド型ネットワーク運行支援サービスを多くの企業様に普及させていくため、今まで以上にシステムの安定稼働を低コストで実現させなければならなかった
- 効果冗長化で安定稼働を実現しながらも、システムにかかるコストは最小限まで抑えられている
- 課題オープン・ソース・ソフトウェア(以降、OSS)のPostgreSQLの強みを最大限まで引き出しながら、性能・信頼性も担保したかった
- 効果周辺OSSツールとの連携性が高くサービスの開発が容易で、さらに性能・信頼性も向上し、お客様の満足度が向上している
- 課題24時間365日止まることが許されない日々の運行にかかるシステムなため、トラブル発生時に原因究明に力を貸してくれるサポート体制が欠かせなかった
- 効果トラブル発生時にも迅速なサポート対応のおかげで原因を特定でき、早期解決に至っている
導入の背景
膨大なデータを即時処理し、高品質なサービスを低コストで顧客に提供
インターネットを通じて、機器から集められる膨大なデータ。自動車・輸送業界でもビックデータの活用が注目を集めている。同社が提供するデジタコ管理サービス「ITP-WebService V3」の導入企業は6500社以上、稼働台数26万台(2022年4月時点)で導入実績No.1(注)だ。
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注ドラレコ搭載ネットワークデジタコにおいて(株式会社トランストロン様調べ)
「ITP-WebService V3」では、デジタコで記録されたデータをクラウド上に保管し活用することで、運用におけるさまざまな課題解決ができる。例えば、運行実績から拘束時間を自動計算し、日報を自動出力したり、デジタコに内蔵されたドライブレコーダーの情報から、事故など万が一の時にもすぐに状況を把握したりもできる。そのため、多くの企業での導入が急速に進んでいるが、同社では、急増するデータを効率よく、安定的に処理しながらシステムのコストも下げなければならないという課題に直面していた。
「市場競争で勝ち抜くためには、膨大な運行データを安定かつ迅速に処理しつつ、お客様には高品質なサービスを低コストで提供しなければなりません。そのためには当時、Windowsのプラットフォームで動いていた従来のシステムを見直し、OSSを使うことも視野に入れて、運用コストを下げることを検討する必要がありました。また、お客様に24時間365日ご利用いただけるよう、システムを簡単かつ低コストで冗長化できることも重要なポイントでした。OSSの強みを最大限まで引き出せるうえ、セキュリティや冗長化などの性能、信頼性も担保でき、PostgreSQLの周辺OSSツール(API)が同梱されており、新規サービスの開発が容易だったことからEnterprise Postgresを選びました」と語るのは情報サービス開発部の磯谷公嗣氏だ。
「ITP-WebService V3」は、日々の運行業務に深く関係するシステムだ。それだけに少しの遅延も許されない。
「例えば、納品を終えたドライバーの方が日報を提出することで、支払いを確定する会社もあります。日報を速やかに提出して、ドライバーの方が気持ちよく仕事を終えられるようにするのも私たちの大切な使命です」と話すのは情報サービス開発部の村瀬勇樹氏。現場の業務を止めないためには最適なシステムは何か、運用と開発メンバーが集まり、話し合いが重ねられた。
導入経緯
OSSの強みを最大限まで引き出せる、Enterprise Postgresを選択
同社の旧システムは、WindowsのプラットフォームでInternet Information Services(IIS)とSQL Serverで動いていた。しかし、運用コストを下げるという点から、OSSの活用を視野に入れて検討を始めたのが2018年だった。ただし、OSSで運用する場合は、サポートがないという点については不安が残る。OSSの場合は、トラブルやバグが発生した場合も自社で解決する必要があるため、必然的に業務負荷が高くなるからだ。
また、日報作成時や事故が起きた場合など即座に情報を提供すべく、デジタコから「ITP-WebService V3」に送られてくる大量のデータに対し、業務上重要なサマリーデータは24時間365日、速やかにデータを抽出することが求められる。十分に比較検討した結果、LinuxプラットフォームとApache、および、OSSの強みを最大限まで活かせ、信頼性を強化したEnterprise Postgresの二重化により堅牢かつトラブル時の高速切り替えを実現。メーカーサポートも受けられることから導入を決定した。
効果と今後の展望
システム拡張が柔軟になり、24時間365日安定したサービス提供を実現
現在も「ITP-WebService V3」の導入企業は増え続けているが、大きなシステムトラブルは発生していない。ドライバーが日報などの処理に取られる時間を少なくするために、データベースの検索処理を可能な限り高速にする必要がある。そこで、NoSQLデータベースで全体を処理し、Enterprise Postgresでサマリーデータを検索処理することで、業務要件を効率的に実現した。OSS PostgreSQLの親和性の高さからNoSQLデータベースとスムーズに連携でき、かつ、OSS PostgreSQLの性能を強化したEnterprise Postgresだからこそ実現できた。またユーザー数の増加に伴い、サーバー台数を増やすなど、システムの拡張も柔軟にできるようになった。その結果、システムを安定稼働させつつ、多様化するお客さまの要望に合わせてサービスを拡充できるようになった。
「新システムに移行後、小さなトラブルがありましたが、OSやメモリーなどのパラメーターを設定変更することで解決できました。その際、サポートを利用したのですが、富士通様から短時間で対応方法について返信が来たので驚きました」(村瀬氏)。
「担当者によると、問い合わせが来てから折り返しの連絡をする時間や問題解決に至るまでの時間のように、解決する目標が決まっているそうです。そのおかげでサポートレベルも高く、富士通様のクラウド環境FJcloud-Oも含めたAll in Oneサポートが充実しており、満足しています」(藤田氏)。
今後、自動車・運送業界では通信機能を有する、コネクティッド・カーが進化することで、安全運行の実現に期待が寄せられている。
「経路や速度など、システムに事前登録しておけば、ドライバーは目の前の運転だけに集中できるようになります。そうすることで、より安全な運行ができるようになります。事実、最近では人為的なケアレスミスによる事故などは減少傾向にあります」(磯谷氏)。
クラウドで運行のサービスを提供する企業には、ストレスフリーで運転だけに集中できるような仕組みを提供することが求められるようになっている。
「昨今では、血圧データなどは非接触で取得できるようになっており、こうしたデータを活用して提供できるサービスも多様化しています。次世代でもEnterprise Postgresを継続して採用し、さまざまなシステム連携を増やし、お客様に便利で快適なサービスを提供することを目指しております」(磯谷氏)。
株式会社トランストロン
所在地 | 神奈川県横浜市港北区新横浜2-15-16 NMF新横浜ビル |
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設立 | 1990年4月2日 |
代表取締役社長 | 林 瑞泰 |
資本金 | 10億円 |
従業員数 | 395名(2020年3月31日現在) |
ホームページ | https://www.transtron.com/ |
事業概要 | 下記に関する各種エレクトロニクス製品、および関連製品の開発・設計・製造・販売・サービス 1. 自動車の安全性、環境適合性、および性能向上に関する製品 2. 産業機械などの各種移動体の高度情報化に対応する製品 3. 自動車用技術の各種移動体への応用製品 |
[2022年6月掲載]
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