明治安田生命保険相互会社 様
保険ビジネスを支える情報システム部門の働き方改革を推進
紙帳票の電子化により、検証作業の効率化・レビュースタイルの変革に成功
明治生命保険と安田生命保険の合併により、2004年に誕生した明治安田生命保険相互会社(以下、明治安田生命)。「人に一番やさしい生命保険会社」を目指す同社は、お客様満足度を支える従業員の働き方改革を継続的に推進する。その一環として、情報システム部の開発作業に欠かせない帳票の電子化を、「FUJITSU Software Interstage List Works」および「FUJITSU Software Interstage List Creator」で実現。電子帳票やプロジェクターを活用したレビューにより、開発作業を効率化し、消耗品コストも大幅に削減できた。
- 課題非効率な開発スタイルと働く時間の増大
- 効果電子データによる検証作業の効率化と開発メンバー間の情報共有が向上
- 課題紙出力・管理の手間とコストが増大(年間130万枚の紙帳票を出力)
- 効果ペーパーレス化が進み、紙の使用量が10分の1に
- 課題帳票を電子化しても、紙と同等の使いやすさ、見やすさは継承したい
- 効果富士通との共創により、紙の使いやすさを継承しつつ、さらに使い勝手を向上
背景
ビジネス環境の変化に即応するITを求めるニーズが拡大
システム開発のさらなるスピードアップが急務に
「信頼を得て選ばれ続ける、人に一番やさしい生命保険会社」を企業ビジョンに掲げる明治安田生命。同社はお客様・地域社会・従業員との3つの絆を大切にし、きめ細やかであたたかい「対面のアフターフォロー」を通じて、「人に一番やさしい生命保険会社」の実現に向けて積極的に取り組んでいる。
2017年4月には「明治安田生命3ヵ年プログラム 『MYイノベーション2020』」が始動。MYイノベーション2020の取り組みは社内の業務改革にもおよぶ。その中で重要なテーマになっているのが「働き方改革」である。「そのために情報システム部門では開発スタイルの効率化、業務のムダの削減、新技術のキャッチアップなどを進めています」と同社の千原 律志氏は語る。
なかでも対応を急いでいたのが、開発スタイルの効率化である。「業務部門からは、ビジネス環境の変化に対応するため、より短期間でシステムをリリースしてほしいという要請が高まっています。そのため、システム品質を維持しつつ、開発サイクルの効率化を実現しなければなりませんでした」と同社の北村 豊治氏は話す。
その実現に向け、開発業務を精査した結果、プログラムロジックの妥当性、ミスや漏れなどのチェックを行う検証作業やレビュースタイルに大きな改善余地があることがわかった。
今までは、レビューに必要なプログラムのソースコードやジョブの実行結果は紙で出力していた。「レビューのたびに人数分の帳票を準備し、目視で結果を検証しなければならず、その手間は大きな負担です。月間の出力枚数は10万枚以上。年間では130万枚に達します。用紙やトナーなどの消耗品コストも大きな負担でした」と北村氏は課題を述べる。
そこでアプリケーション開発環境を提供する同社情報システム部電算運用グループと情報システム子会社である明治安田システム・テクノロジーの基盤システム開発部が中心となって、紙帳票の電子化を目指した。
ポイント
帳票管理基盤としての機能性・運用性に加え最適な仕組みを共に考える「共創」の取り組みを評価
紙帳票を電子化するソリューションとして明治安田生命が選定したのが、「FUJITSU Software Interstage List Works」(以下、Interstage List Works)と「FUJITSU Software Interstage List Creator」(以下、Interstage List Creator)である。
Interstage List Worksは出力帳票の電子化と一元管理を実現する。Interstage List CreatorはPDF、Excel、TIFF形式の帳票を簡単に出力できる。Interstage List WorksとInterstage List Creatorを組み合わせることで、電子帳票の作成、仕分けを含む保存・管理、活用までカバーする帳票管理基盤を実現できる。
「すでに業務部門向けにInterstage List Worksを導入し、保険契約などに関する事務帳票の電子化を実現しています。社内実績から、その機能性・運用性は高く評価していました」と北村氏は選定の理由を述べる。
これに加え、富士通の支援体制も採用を決定付ける大きな理由だったという。より使いやすいシステムを実現するためには、実際にシステムを使う開発部門の意見を取り入れることが重要だ。「富士通はこの考えを重視した共創活動に積極的に取り組んでくれました。具体的には利用者に当たる当社のアプリケーション開発チーム、帳票管理基盤の開発を担う当社の基盤チーム、そして富士通の3者によるワーキンググループを発足。毎週会合を開き、開発チームの要望をヒアリングしながら、検討・開発を進めました」と明治安田システム・テクノロジーの鈴木 浩二氏は語る。
システムの特長
ソースプログラムやジョブ実行結果を電子帳票化し自席PCで確認できる「ホスト開発検証システム」を実現
こうして明治安田生命は「ホスト開発検証システム」を構築し、2018年3月より本格稼働を開始した。
ホスト開発検証システムは、Interstage List WorksとInterstage List Creatorをベースにした帳票管理基盤と、システム開発基盤のホストコンピュータを連携させたもの。ホストコンピュータ上で作成・更新したソースプログラムやジョブの実行結果は、帳票管理基盤上で電子帳票として保存される。「電子帳票は自席PCから閲覧・書き込みが可能。レビュー時は打ち合わせ場所にPCを持ち込んで、電子帳票をプロジェクターで投影することもできます」と明治安田システム・テクノロジーの本多 翔太氏は説明する。
ワーキンググループの共創活動により、システムの機能性・操作性も向上した。「紙で新旧帳票の重ね合わせ差分チェックをしていた作業を電子帳票で再現したのが、PDF透かし機能です。新旧のPDFファイルを重ねて表示し、差分を一目でチェックできます」(本多氏)。
このPDF透かし機能は、当初モノクロ表示のみだったが、ワーキンググループの共創活動を通じ、差分をもっと見やすくしてほしいという要望が上がった。「これを受け、富士通側で変更差異部分を赤字で表示する機能を付加してくれたため、差分がよりわかりやすくなりました」と本多氏は補足する。
また、レビュー結果においては、記入だけでなく、ファイルサーバへの保存もできるようにした。いつ、誰がレビューを行い、結果がどうだったかをすぐに確認できるため、履歴管理が容易になったという。
効果と今後の展望
電子帳票の利用率は99%
レビュースタイルを変革し、働き方改革が加速
ホスト開発検証システムの実現により、明治安田生命は様々なメリットを実感している。その1つが、開発部門におけるレビュースタイルの変革だ。 まず1件当たり10分程度かかっていた紙の印刷待ち時間がなくなり、すぐに検証を実施できるようになった。帳票が電子化されたことで、日付やキーワードで知りたい情報もすぐに検索できる。チェック箇所にデジタルのマーカーや付箋データを付けることも可能だ。PDF透かし機能を使えば、差分も一目で確認できる。レビュー結果をファイルサーバへ保存できるため、チームでの情報共有もスピーディーで確実なものになった。
「素早くレビューを実施できるだけでなく、紙の良さを継承しつつ、情報共有も加速したことで、レビュースタイルが抜本的に変わりました。これにより、品質チェックの作業工数が削減され、開発作業の効率化につながったと好評です」(千原氏)
開発部門における同システムの利用率は現在99%だ。「レビューの効率化により、開発部門の働き方改革が加速。ペーパーレス化が進み、紙の使用量は従来の10分の1に激減し、消耗品コスト・紙の保管スペースも大幅に削減できました」と北村氏は本格稼働後の半年での効果を話す。
今後は電子化する帳票の対象範囲を拡大するとともに、上長の承認押印なども電子化していく。電子化のメリットを活かし、離れた拠点との遠隔レビューの実現もサポートしていくという。
ホスト開発検証システムを構築し、開発業務に関わる帳票の電子化を実現した明治安田生命。この強みを活かし、働き方改革と開発作業の効率化を推進し、お客様満足度のさらなる向上につなげていく考えだ。
明治安田生命保険相互会社 様
所在地 | 東京都千代田区丸の内2-1-1 |
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創業 | 1881年7月9日 |
取締役代表執行役社長 | 根岸 秋男 氏 |
従業員数 | 4万2261人(2018年3月末現在) |
ホームページ | https://www.meijiyasuda.co.jp/ |
事業概要 | 企業ビジョンである「信頼を得て選ばれ続ける、人に一番やさしい生命保険会社」の実現に向けて保険事業を展開。保険金・給付金の支払管理態勢とお客様対応の強化に努めるとともに、新商品の開発・提供も積極的に推進している。 |
[2019年1月掲載]
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