SPARC/Solaris 探検隊
第18回:SPARCサーバの内部はどうなっているの?
2019年3月15日
これまでのSPARC/Solaris探検隊では、ハードウェアやOSなど様々な話題を取り上げてきました。 今回は、今まで詳しくご紹介する機会がなかったSPARCサーバ内部のお話をします。
SPARC M12-1の内部を知ろう!
SPARCサーバは、役割が異なる様々な部品で構成されています。
SPARC M12-1を例にとって、それぞれの部品を見ていきましょう。
CPU
SPARC M12に搭載されている
SPARC64 XIIプロセッサ パッケージデザイン
サーバの頭脳にあたり、処理を実行する場所がCPU(Central Processing Unit)です。
SPARCサーバは「SPARC64プロセッサ」と呼ばれるCPUを採用しています。
このCPUはスーパーコンピュータでも使われているとても高性能なもので、SPARC M12-1は、最新のSPARC64 XIIを搭載しています。
ワンポイント
SPARC64プロセッサの軌跡については、以下をご参照ください。
メモリ
メモリは、コンピュータ内部にデータやプログラムを一時的に記憶しておく場所です。
メモリの容量が大きいほど、同時に多くの処理をサクサクと進められます。SPARC M12-1は、メモリスロットが16スロットあり、合計1 TBまでのメモリを搭載することができます。
内蔵ストレージ
HDD(Hard Disk Drive)
SSD(Solid State Drive)
データを保管する書庫のような場所が内蔵ストレージです。
内蔵ストレージの容量が大きいほど、データをたくさん保管できます。内蔵ストレージには、磁気ディスクを使うHDD(Hard Disk Drive)と、フラッシュメモリとも呼ばれる半導体メモリを使用しているSSD(Solid State Drive)があります。 SPARC M12-1は、合計8台までのHDD/SSDを搭載することができます。
CPU、メモリ、内蔵ストレージのイメージ
ワンポイント
HDDとSSDの違いを見てみましょう。
容量 | コスト | 速度 | |
HDD | ◎ | ○ | ○ |
SSD | ○ | △ | ◎ |
HDDは、大容量ですが、物理的な磁気ヘッドや駆動部分が多いため、振動や衝撃に弱い面があります。SSDは、容量あたりの単価が比較的高めですが、読み書きが早く、小型で軽量です。目的に合ったものを選びましょう。
PCIカード
LANカード(一例)
サーバに機能を追加するための拡張カードです。
LAN(Local Area Network)接続やFC(Fiber Channel)接続など、様々な用途に応じたカードがあります。
ワンポイント
「PCI(Peripheral Component Interconnect)」とは、CPUと周辺機器の通信のための規格です。PCIの規格に沿った拡張カードを「PCIカード」と呼びます。
サーバには、機種によってLANポートやSASポートなどがあらかじめ実装されていますが、PCIカードを搭載することで、より多くの周辺機器やネットワークに接続できるようになります。
例えば、FCカードを追加することで、FC接続により外部ストレージを使用できるようになります。
PCIカードでできること
- PCIカードの設置
- PCIカードは、PCIカードに対応するスロット(PCIスロット)に搭載して使用します。
SPARC M12-1にはPCIスロットが3つ用意されています。
LANカードを差し込むPCIカードをたくさん搭載したいときには、PCIスロットの数を増やすことができるPCIボックスという周辺装置があります。
PCIボックスを複数使用することで、最大33スロットまで拡張することができます。
PCIボックスでPCIスロットを拡張
電源ユニット
サーバに電力を供給する装置が電源ユニットです。
SPARC M12-1の電源ユニットは、100Vと200Vの電圧に対応しています。また、片方の電源ユニットが故障してもシステムが停止しないように2つの電源ユニットを搭載して冗長化しています。
ワンポイント
電源ユニットの冗長化は、こんな仕組みです。
- 電源ユニットが2個備え付けられている
- 1個の電源ユニットが壊れたら、片方の電源ユニットから2倍の電源が供給される
- 壊れた電源ユニットは、サーバを停止することなく交換できる(活性交換)
- 第13回:電源抜いちゃいました!
- 上記ではSPARC M10-1を使っていますが、SPARC M12-1でも同様です。
ファン
CPUがたくさんの処理を行うと、大量の熱が発生し、そのままの状態が続くとサーバが故障してしまいます。熱による故障を防ぐため、CPUを冷却するファンがサーバ内部に搭載されています。
SPARC M12-1は1Uサイズと薄型ですが、小型の冷却ファンを複数個搭載することで高密度化による発熱にも十分対応できるようになっています。
ワンポイント
ファンの仕組みを確認してみましょう。
- ファンが1個壊れても動作する(N+1冗長)
- サーバを停止することなく交換できる(活性交換)
- 第16回:ファンが壊れたらSPARCサーバはどうなるの?
- 上記ではSPARC M10-1を使っていますが、SPARC M12-1でも同様です。
内部の部品を監視しています!
ここまで、SPARC M12-1を例にとってSPARCサーバの内部とそれぞれの部品を見てきました。
紹介したメモリ、ディスク、電源、ファンなど、本体装置内の主な部品は冗長化されており、万一、一方の部品が故障しても業務を継続することができます。
そんなSPARCサーバですが、さらなる高い信頼性を実現するため、本体装置内に「XSCF(eXtended System Control Facility)」というサーバの監視・制御を行うシステム監視機構も搭載しています。
XSCFは、本体装置のCPUとは別のプロセッサで稼動しており、CPU、メモリ、ディスクの状態やファンの回転数、装置内の温度などを常に監視しているため、本体装置の状態を的確に把握することができます。
ワンポイント
XSCFについて詳しく知りたい方は、以下をご参照ください。
このようにSPARCサーバは、高信頼システムを実現するための部品や機構がたくさん詰まっています。
似たような機能や用途の部品はパソコンにも搭載されているので、スペックや部品の搭載数などを比較してみるもの面白いかもしれません。
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