「サステナブルな社会の実現に向けて」
報道関係者向け説明会レポート
- 5Gを活用したVertical Serviceの創出 -

富士通は2022年8月9日、今後10年を見据えたビジョンと、それを支えるテクノロジーに関する報道関係者向け説明会を、富士通新川崎テクノロジースクエアでリアルとオンラインのハイブリッド形式で開催。昨今の経営課題の優先事項であるサステナビリティと、それに不可欠なデータ・テクノロジー活用についての富士通の考えを示すとともに、5G/ローカル5Gをはじめとするテクノロジーを活用したパートナー企業との数々の取り組みを紹介した。また、「FUJITSUコラボレーションラボ」では、記者たちがテクノロジーの活用を身近に感じることができる複数のデモンストレーションを行った。

これからの10年を導くビジョン
「ボーダレス・ワールド」

説明会では、まず富士通株式会社 グローバルソリューション ネットワーク&セキュリティサービス事業本部 5G Vertical Service事業部長 森 大樹が登壇し「サステナブルな社会の実現に向けて -5Gを活用したVertical Serviceの創出-」と題したプレゼンテーションを行った。

富士通のパーパスは「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」。森は、そのために今後10年を見据えて向き合うべき最重要テーマを「サステナビリティ・ トランスフォーメーション(SX)」であると説明。デジタルイノベーションによって、企業の稼ぐ力とともに、ESG(環境・社会・ガバナンス)経営の両立を可能にしていくと説明した。富士通はSXに必要な要素であるデータとテクノロジーを駆使して、自社のみならず顧客のSX実現をサポートしていく。

  • 富士通株式会社
    グローバルソリューション
    ネットワーク&セキュリティサービス事業本部
    5G Vertical Service事業部長 森 大樹

富士通では、今後10年を導く未来のビジョンを「ボーダレス・ワールド」としており、森は「時間や場所の制約がない世界を創り出すことで、企業経営の革新、働き方の革新の両方につなげていきたい」とし、ビジョン実現の鍵となるテクノロジーとして「リアルとデジタルの融合」「ヒューマンセントリックネットワーク」の2つを説明。
リアルとデジタルの融合は、これまで情報のやり取りが中心だったインターネットから、リアル世界のデジタルツインと、xRやMetaverseに代表されるエクスペリエンスのインターネットを融合してボーダレス・ワールドを実現していくというもの。
ヒューマンセントリックネットワークとは、リアル世界とデジタル世界をシームレスにつなぐ超高速のインテリジェントネットワークのことで、森は「この2つのテクノロジーで『人のエンパワーメントの実現』を目指していきたい。そのために、テクノロジー、サービス、 業種ナレッジを統合した Vertical Serviceを提供するスタンスで取り組んでいます」と述べた。

現在の富士通が取り組む
「人のエンパワーメントの実現」とは

続いて、人のエンパワーメントの実現に向けた3つのテーマ「未来の働き方」「尊厳ある生きかた」「つながりあう体験」について説明。
1つ目の「未来の働き方」は、企業の現場にフォーカスした取り組みである。電車の線路点検や車両ドアの閉扉判断、建設機械の遠隔操作、富士通社内工場での遠隔コミュニケーションや人とロボットの協調作業など、オフィスだけでなく「現場」のデジタル化に向けた実証を行っている。
2つ目の「尊厳ある生きかた」は、テクノロジーの活用で年齢やハンディキャップなど様々な制約からの解放に挑戦していく取り組みだ。院内学級での遠隔教育や、パラスポーツにおけるリモートコーチングなどの実証を行っている。テクノロジーによってハンディキャップを持った方々にもこれまでにない体験を提供していくことを目指している。
3つ目の「つながりあう体験」は、リアルとデジタルが融合することで、全く新しい体験を提供する取り組み。スポーツにおける臨場感のある映像配信や、xR技術でリアル世界とデジタル世界の店舗をリアルタイムで融合する新たな共創プロジェクトに取り組んでいる。
人のエンパワーメントの実現のために、人の目や耳をカメラやセンサーに、脳をAIに、人の作業をロボットなどのテクノロジーに置き換えるなら、神経網・血管の役割を果たすのが、大容量・低遅延・多接続という特徴を持つ5Gネットワークである。森は「お客様からは人手不足の話をお聞きしますが、デジタル化された現場が日常になっていません。我々としては、映像×AI、xR、ロボティクスなどのテクノロジーがネットワークでトータルにつながって身近に感じていただけることを目指していきたい」と説明した。
富士通では「未来の働き方」「未来のネットワーク創り」を推進するため、5G・6Gなどの無線技術だけでなく、光バックボーンのネットワークも含め、環境に優しく効率の良いネットワークの実現を目指していく。そしてそのために、ビジョンを共有するパートナー企業との協働を積極的に行っていく。

取り組みの成果をグローバルに展開し、
サステナブルな社会を実現

続いて、富士通株式会社 グローバルソリューション ネットワーク&セキュリティサービス事業本部 5G Vertical Service事業部シニアディレクター 上野 知行が登壇し、ローカル5GパートナーシッププログラムやFUJITSUコラボレーションラボでの取り組みを説明した。
富士通では、5Gによる変革には、テクノロジーやサービス、業種のナレッジを統合したVertical Serviceが必要と考え、2020年3月に国内初のローカル5G商用免許を取得。2020年10月からはローカル5Gパートナーシッププログラムを展開している。2022年8月9日現在、30社のパートナー企業と、富士通の商品・サービス・先端技術を組み合わせ、ソリューションを共創中だ。
FUJITSUコラボレーションラボでは、5G/ローカル5G、映像×AI、エッジ&クラウドの設備に加え、技術者も常時在籍しており、2020年3月の開設から2022年7月末の間に、パートナー企業とのソリューション共創・PoC検証を164件実施してきた。

  • 富士通株式会社
    グローバルソリューション
    ネットワーク&セキュリティサービス事業本部
    5G Vertical Service事業部 シニアディレクター 上野 知行

FUJITSUコラボレーションラボ内には、ローカル5G基地局として、ミリ波からSub6帯までカバーする3システムが稼働。これに加えてキャリア5Gとしてドコモ様の回線もあり、エッジでの処理を行うコンピューティングサーバ、そしてインターネット・クラウド環境を備え、様々なローカル5G接続デバイスの検証が可能となっている。
FUJITSUコラボレーションラボでのさまざまな共創活動事例を紹介したあと、現地参加の記者たちに向けそれらのデモンストレーションを行った。

  • FUJITSUコラボレーションラボ内に設置されたローカル5G基地局とエッジコンピューティングサーバ。

注目を集めたデモンストレーションの1つが、Acuity様との取り組み「ローカル5Gと映像を活用した高精度位置測位技術」だ。頭上に設置した高精細・広角カメラによって、モノの位置をミリ単位で測位できる。また、複数のローカル5G対応カメラで撮影した空間のなかでAIが人やモノを検出して仮想空間に可視化し、リアルタイムに座標と周辺情報を確認しながらAGVを自動運転できる。デモンストレーションでは、人が横切るとAGVが自動停止するといった動きも披露された。カメラを天井に設置しているので、AGVの視点では認識できない死角の情報もとらえることができる。

  • 頭上に設置されたカメラ映像を解析し、マーカーの位置をミリ単位で正確に把握・リアルタイム表示するデモ。

  • カメラ映像の解析のみで、床に配線などを仕込むことなく正確にAGVを制御できる。死角にいる人の検知も可能。

もう1つ、新しい取り組みとして紹介されたのが、KDDI様との共創「リアルな現場と遠隔から参加するバーチャル空間を融合した新しいコミュニケーション体験」だ。デモンストレーションでは、FUJITSUコラボレーションラボ内に設置した疑似リアル店舗で商品を手に取る人と、バーチャル空間内に再現された店舗にスマートフォンのアプリからアクセスした人との対話が体験できた。また、VRヘッドセットを装着してバーチャル空間内の店舗に入るという体験もできた。

  • バーチャル空間に再現された店舗で商品を見たり、実際の店舗にいる人とアプリを介して会話することができる。

  • VRヘッドセットを用いれば、より没入感・臨場感のあるコミュニケーション体験が得られる。

その他にも、当日は以下のようなデモンストレーションが記者団に対して行われた。

高精細映像伝送技術

高精細な4K映像をローカル5Gによって伝送することで、 目視が難しい距離での現場の状況や詳細をリアルタイムに認識可能。デモンストレーションでは、遠方の荷物に貼られた二次元バーコードの読み取りを行ったり、肉眼では認識できない微細なものも読み取りができることを示した。

  • 画面奥にあるダンボールに貼られた二次元バーコードを読み取るデモ(左)。掌の拡大画像をローカル5Gネットワークで伝送するデモ(右)。皺の1本1本までくっきり見える。

映像×AIを活用した取り組み

室内に設置したカメラからの映像をAIによって分析して、人や物体、エリアを検出。ソーシャルディスタンスの検知や行動追跡が可能。クラウド連携により現場を見える化するとともに、作業時間の可視化など現場DXに必要となるリアルタイムのデジタル情報を、人、物体にセンサーを付与することなく得ることができる。

  • 特定空間内での人の密集度を検出し、アラートを発することなどができる。

説明会の最後に上野は、今後もデジタルテクノロジー保有企業やビジョンを共有するビジネスパートナーとの共創や協業を強化するとし、「SXを目指すお客様に対し、一緒にそれを創りあげていこうと考えています」と語った。2022年10月にはオープンラボイベントを開催予定で、パートナー企業との共創ラボ連携も拡充していく予定だ。
当日は記者たちから質問が多数寄せられ、予定していた時間を超えてしまうほどだった。富士通はパートナー企業とともに先端テクノロジーの「実証」だけでなく、リアルビジネスへの「実装」も数多く成し遂げている。今後も企業コラボレーションや検証環境のオープン化を推し進め、来るべき社会の「サステナビリティ・ トランスフォーメーション(SX)」実現を支援していく。


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