ローカル5Gのメリット・デメリット最前線2022

「超高速・大容量」「超低遅延」「多数同時接続」の特徴を持つ5Gの通信環境を占有し、デジタル変革のために活用できると注目されているローカル5G。富士通でも2020年3月に国内初のローカル5G無線局免許を取得し、外部企業やパートナーとともにローカル5Gのビジネスを推進するべく、さまざまな業界に対して実証やサービス提供をしている。今回は、ローカル5Gの概況や導入メリット・デメリットなどについて、富士通株式会社5G Vertical Service事業部の松目 満氏が語る。

ローカル5G活用のメリットとは?
Sub6帯開放で可能性が広がる

ローカル5Gの周波数帯は、当初はミリ波(28GHz帯)のみであったが、2020年12月の制度改正によってSub6帯(4.7GHz帯)にも拡張されたことで利用が増えている。現況について松目氏は「2022年6月現在、ローカル5Gの基地局数は750 近くになっており、そのうちSub6が7割を占めています。従来は、ノンスタンドアロン(NSA)と言われる、LTEのアンカーバンド専用制御の部分をキャリアに持たせる方式をとっていたため、お客様はLTEと5Gの両方の基地局を導入しなければならず、コスト負担が大きい状況でした。5Gの基地局だけでローカル5G環境が構築できるスタンドアロン(SA)構成が実現したことで、よりコスト負担の少ないSub6の導入が進んでいるのです」と語る。

早期にローカル5Gに取り組む企業や団体は、2021年から2022年にかけて各所で実証を行い、2022年後半から2023年にかけて実用化するといったスケジュールで取り組んでいる。各種産業に加え、コロナ化の影響も受けてDX推進が進む鉄道や道路などの社会インフラについても、着実に実証が行われており、実用化に向けて取り組んでいる状況にある。

ローカル5Gの基本的なメリットについて松目氏は、帯域を占有できることを挙げた。「超高速・大容量」「超低遅延」「多数同時接続」のネットワークを自社の環境で占有できるということだ。ほかにも、強固なセキュリティや電波の干渉なく広いエリアを、屋内・屋外問わずカバーできるなどのメリットがある。Sub6の電波特性はミリ波に比べて遮蔽物に対して回り込みやすいため、柔軟に設置場所を検討できる。4K、8Kの高精細映像を遅延なくやりとりできることもあって、これまで有線ネットワークで固定されていたカメラだけでなく、車両や自動搬送機などのモビリティ利用も可能になった。

「単に映像を送るだけでなく、高精細な映像だからこそわかるAIによる異常検知などのユースケースもあります。高精細な映像を送りながら超低遅延で何かを操作するなど、特にリモート環境からの操作や指導といったユースケースは、製造業や社会インフラ、医療だけでなく、かなり広い分野で増えていくのではないかと思います。我々もローカル5Gの柔軟な普及展開を目指し、総務省により良い制度づくりに向けたお客様ニーズのフィードバックや提言活動を行っており、今後更に多様な使い方が期待できると考えています」(松目氏)

今後注目されるのが、ネットワークインフラを仮想的に分割して、ニーズに応じたネットワーク環境を提供する「ネットワークスライシング」の実装だ。たとえば、スタジアムかつ放送向けの8K映像を大容量で伝送する、リアルタイム映像を超低遅延で配信する、警備向けには優先してセキュアで安定した通信を行うなど、多種多様な通信を混在させて使い分けができるようになる技術だ。このようにローカル5Gは規格上のポテンシャルをまだまだ秘めており、産業だけでなく、スマートシティなど、社会変革のために欠かせないネットワークになっていくことが期待されている。

ローカル5G活用のデメリット・障壁は?
コストと運用に課題

未来の産業や社会を変革できる可能性のあるローカル5Gだが、現時点でのデメリットについても考えたい。松目氏は、「初期投資コストの障壁がある」とした。内容にもよるが、数千万円の投資が必要な場合も多い。それに加え、免許申請の手続きや、基地局を自分たちで運用する「技術的な障壁」があると指摘した。キャリアの5Gを使う場合、基地局のメンテナンスはキャリアが行うが、ローカル5Gの場合は免許を取得した企業や団体が管理しなければならない。

「免許の申請は、最初は書類を作るまでに1ヶ月以上はかかります。申請のためにエリア内でどれだけ電波が飛ぶかという、エリアシミュレーションのためのツールも必要になります。電波は目に見えないため、エリアシミュレーションなどの技術的な壁は、専門家を頼ることになるでしょう。総務省に書類を提出したあとは、確認や審査に約1ヶ月半ぐらいかかりますので、免許取得まで通常はトータルで約2ヶ月半から3ヶ月ほどかかる状況です」(松目氏)

富士通が提供する、
ローカル5Gのデメリットを解消するサービス

ローカル5Gの革新的な技術を最大限に利活用するには、導入・運用におけるコストと専門知識というハードルをクリアしなければならない。富士通では、ローカル5Gの導入・運用ハードルを下げるために、さまざまなサービスを提供している。

まずは、免許申請なども含むローカル5G環境構築に関わるトータルなサポートとして、「プライベートワイヤレスマネージドサービス」がある。ローカル5Gをはじめ、プライベートなLTEなど自営の無線システム活用を実現するサービスである。松目氏は、「専門の技術スタッフが基地局設置に対しての提案をしたり、エリア設計をしたりして、お客様の負担や不安を解消して導入できるようにサポートを行います」と説明した。技術的な人材を持たないローカル5G導入企業に対して提供している。

ローカル5Gの運用フェーズにおいては基地局やコアネットワークなどの通信機能と稼働状況のモニタリングや障害対応を提供する「プライベートワイヤレスクラウドサービス」がある。このほか、本格導入の前にPoC(概念実証)をしたい顧客に対しては別メニューとして基地局の貸し出しなども行っている。

専門知識だけでなく、初期コストのデメリットを解消するアプローチも提供している。2021年12月には、ローカル5G環境のスモールスタートを実現する「FUJITSU Network PW300」スターターキットをリリースしている。FUJITSU Network PW300の標準構成のおよそ 1/3(標準価格比)の費用で初期導入が可能になっている。

「ネットワークインフラだけでなく、課題解決のためのソリューションもあわせて提供できるのが当社の強みですので、高い費用対効果を得られるストーリーを作っていきたいと思っています。ソリューションの導入にあたり、製品がうまく動作しないなど、不安に思われるお客様もいらっしゃいますので、何かあったらすぐに問い合わせができて、手厚いフォローでサポートする富士通に対しては、一定の評価をいただけていると思います」(松目氏)

また、富士通では、自社だけでなく、幅広い業種のテクノロジーを持つパートナー企業とともに、各業界に特化したソリューションを創出することを目的とする「ローカル5Gパートナーシッププログラム」も開始している。一連の取り組みについて松目氏は次のように語った。

「ネットワークのインフラ提供だけでなく、各業界・産業のVerticalの領域、社会課題を解決するためのソリューション提供から、ローカル5Gを含むテクニカルな領域(Horizontal領域)の両面で社会全体を豊かにしてまいります。より良い社会のためにイノベーションを進めたいと考える企業の皆様は、ぜひお気軽にご相談いただければと思います」


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