監視カメラの抱える課題をAIで解決する「FutureAct」の可能性
我々の生活に、監視カメラは欠かせない存在になった。単純な犯罪抑止から、より安全な生活を担保するための「見守り」まで、今後もその価値が高くなることはあれ、減ることはないだろう。
監視カメラのニーズが増える一方で、その「運用コスト」は非常に深刻な問題となりつつある。
そんな課題を、AIの力を借りて解決するのが富士通の高度監視ソフトウェア「FutureAct」だ。監視カメラにどのような課題があり、それをFutureActがどう解決するのかを開発者に聞いた。そこからは、監視カメラの増加と通信回線のジレンマ、ローカル5Gの必要性なども見えてくる。
監視カメラは増えるが
「監視が間に合わない」ジレンマ
監視カメラの抱える課題とはなにか?
「それは、カメラの数が増えて監視しきれない、ということです」
FutureAct開発者はそう答える。
カメラが増えて「監視しきれない」という課題の本質は、監視という業務のあり方にある。
多くの場合、監視カメラは人が映像を見て判断している。カメラが数個までなら1人の担当者でも判断できそうだが、敷地内に数十・数百というカメラが設置されることを考えると、もう人間では対応できない。監視のための人員を増やすにも限界があるからだ。
映像監視市場の現状と課題
だが、カメラは今後も増える。
「今後の傾向としても、カメラの数が増えることはあっても、減ることはない」と富士通は予測している。
監視カメラのコストは下がり、色々な場所に配置するのも難しいことではなくなってきた。特に、カメラの映像をデータとして保存するようになってからはそれが顕著だ。過去のようにテープを利用する場合は大変だったが、今なら、システム側はそこまで大きく変更することはないため、監視カメラの利用目的を考えると、カメラの数は多い方が良い。建物の影などに監視できない「死角」は作りたくないものだ。
それに現在は、「犯罪防止」以外の監視、見守りや注意喚起といった目的の使い方も増えている。例えば、車椅子などで補助が必要な方の来訪を確実に把握したり、自動車の車種・ナンバーを把握して誘導に使う、といった用途だ。社会がスマートシティ化していくほど、こうしたニーズは拡大する。
これらの事情を踏まえると、監視カメラの数は増えていくのが必然なのだ。
AIを使って最適な人員での活用を実現
ニーズは大きいのに、人員の問題でカメラが増やせない。この問題に対応するにはどうしたらいいのか?
答えは、「AIの力を借りる」ことだ。
FutureActでは、映像をAIで解析することで、監視したい「変化」「異常」があった場合、その部分の映像を抜き出して記録した上で、監視する人員に警告を発する。監視側はFutureActが指摘した部分について、それが本当の異常なのか、それとも「異常に見えるがそうではない」ものなのかを判断することになる。こうすれば、常時大量のカメラを人の目で監視するのに比べ、監視する側への負担を大幅に減らすことができる。
こうした技術を使い、スマートシティの構築から電力プラントの現場管理まで、さまざまな用途での活用が検討されている。
FutureActのもつ「3つの優位点」とはなにか
AIを使って変化を検出する、という手法自体は、最新の監視カメラ技術としては珍しいものではない。
その上で、FutureActは特に3つの点が特徴と言える。
映像監視業務の高度化・効率化を実現する高度監視ソフトウェア「FutureAct」
一つ目は、複数の事象を同時に検知できる、ということ。
例えば、ゲートの監視をするとしよう。ゲートの開閉状況は「動体検知」、その場にいる人の年齢や特徴を認識するのは「人物検知」、その人がどんな行動をしているかは「行動検知」という、それぞれ性質の異なるAIが使われる。多くの監視向けAIソリューションでは1つ1つを独立して扱うため、複数事象を低コストかつ同時に扱うのは難しいが、FutureActは「車両検知」を含めた4つの検知機能を持っており、それらを同時に検出することもできる。
動体・行動・人物・車両など様々な検知機能を選択可能(マルチAI映像エンジン)
例えば、「車椅子の認識」や「ホームからの転落検知」など、複数の認識を組み合わせると、駅での監視業務全体をカバーすることも可能になる。
二つ目は、「行動検知」導入の手間が少ない、という点。
AIで「人が手を上げた」などの行動を検知する技術は他にもあるが、問題となるのは、検知するために大量の教師データと、それを使った学習が必要になる、ということだ。ある仕草を検出しようとすると、導入に際し、教師データとして大量の写真を用意し、その上で学習処理を行う必要がある。
だがFutureActの場合には、「行動検知」向けではこの「事前学習」作業がいらない。人の動きを骨格単位で認識するAIが組み込まれているからだ。
実際には、「体がどう動くのか」を認識ルールとして定義することで、検出したい行動を指定する。例えば「歩きスマホ」を検出するなら、「頭が下を向いている」「歩いている」「片手になにかを持っている」といった形で指定することになる。
(例)歩きスマホの認識ルール定義
そして3つ目が、「既存の環境に追加しやすい」ということ。ネット接続型の監視カメラであれば、市場にある多くのものが利用できるし、既にあるシステムをそのまま使い、FutureActを導入することができる。
導入最適化からローカル5Gまで。
トータルで「相談」できる富士通の強み
これらの要素は、どれもAIの導入を簡便化する上で重要なものだ。とはいえ、それでも、「どういうシステムを構築すべきなのか」「どういう設定をすべきなのか」ということは、それぞれの案件に応じた最適化が欠かせない。
「富士通としては、他社の技術との組み合わせを含め、トータルインテグレーションが可能であることが重要だと考えています。ですから、導入に向けてぜひご相談をいただきたいです」
FutureAct開発者は、狙いや強みをそう説明する。
目的を達成するためにどのようにFutureActを使えば良いのか、ということも重要だが、それ以上に、利用する場所でのネットワーク構成をどうするかまで考えた設計が重要だ。
例えば、カメラを増やすとしても、全ての場所に有線でネットを敷設し、カメラをつなぐのは難しい場合もある。そうなると、Wi-Fiなどの安価な手段を使って解決する場合が多い。それで大丈夫なこともあるが、特にプラント や屋外を含めた敷地では、Wi-Fiの利用が難しい場合も多い。通信の安定性確保の面でも、Wi-Fiには課題がある。「監視」という、 途切れてはならない用途では、無線ネットワーク の安定性に対する要求が圧倒的に高いものとなる。
その場合には、ローカル5Gの無線ネットワークを用意し、企業内の広い敷地・移動するカメラなどを含めた監視ニーズに対応することになるだろう。ローカル 5Gは十分な通信速度がある上に、通信の安定性確保が容易だ。外部脅威の侵入 の防止など、セキュリティ面でもWi-Fiより有利な点がある。利用形態や建屋の状況など、自社の事情に合わせて柔軟なネットワーク設計ができるのも、「自社だけで利用する」ローカル5Gの利点といえる。監視カメラは、ローカル5Gにとって最も有望な用途の1つである。
FutureActのようなAI技術に加え、ローカル5Gの活用も含め、さまざまな選択肢を社内に持ち、一気通貫にシステム構築とインテグレーションができるのが、富士通の強みでもある。
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