プレスリリース
2022年1月25日
富士通Japan株式会社


説明可能なAIを活用した介護予防ソフトウェアの販売を開始

将来の介護リスクの早期把握により、自治体の介護予防施策立案を支援

富士通Japan株式会社注1(以下、富士通Japan)は、住民の健康寿命延伸にむけた自治体の介護予防施策を強力に支援するため、富士通株式会社注2(以下、富士通)が研究開発した説明可能なAI技術「Wide Learning」注3を活用し、将来的な介護リスク度合いの算出を行う「FUJITSU 公共ソリューション MCWEL介護保険V2 介護予防AIスクリーニングオプション」(以下、「介護予防AIスクリーニング」)を開発し、2022年1月25日より販売開始します。AIと介護保険システムを活用して要介護リスクの予測を行う製品は国内初注4となります。

本製品は、当社の介護保険システム「FUJITSU 公共ソリューション MCWEL介護保険V2」(以下、「MCWEL介護保険V2」)を利用している自治体向けにオプションとして販売します。当社の介護保険システム「MCWEL介護保険V2」で管理する住民の介護認定情報や過去の介護サービス受給履歴などの項目をAIが学習し、将来的に要介護となる可能性が高い特徴の組み合わせと影響度を可視化できます。

これにより、自治体職員は要介護となりうる傾向を把握でき、将来的な社会保障費の抑制につながる施策の立案や介護予防に関する有効な情報を住民に提供可能になり、住民の介護予防意識の向上や将来的な健康寿命の延伸が期待できます。

今後も当社は、超高齢社会に向けて、人々が営む生活の質の向上と職員の業務改革の両立を実現する自治体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する取り組みを強力に推進していきます。

背景

内閣府「令和2年版高齢社会白書(全体版)」によると、総人口において65歳以上の割合が28.4%になり、超高齢社会を迎えた日本では、介護認定者数は約684万人(21年間で約3.1倍)、介護給付費は約12兆4,000億円(21年間で約3.4倍)注5と増加の一途を辿っており、社会保障費の増大や介護保険財政の圧迫、介護関係に従事する職員の負荷の高まりが自治体の課題となっています。また、住民の健康寿命を延ばし介護給付費を抑制するために、将来的に要介護となる可能性がある高齢者の把握も喫緊の課題ですが、自治体は介護認定の申し出により介護の状況を認識するケースがほとんどであり、事前に把握することが困難な状況にあります。

これらの課題を解決するため、当社は自治体の介護予防業務において説明可能なAIを活用し、高齢者の介護リスクの早期把握と介護予防施策の立案を支援する「介護予防AIスクリーニング」を開発し、販売を開始します。

「介護予防AIスクリーニング」の特長

1. 説明可能なAIが過去の膨大なデータを学習し、将来の介護リスクの早期発見を支援

介護予防施策の立案は自治体職員の経験やノウハウに頼る部分が多く、また、要介護となるリスクの把握やデータ利活用については、分析対象とすべき項目の絞り込みや膨大なデータの整理、統計解析のスキルが求められるため推進が難しく課題となっていました。本製品は、「MCWEL介護保険V2」で管理する住民の年齢や要介護状態区分などの介護認定情報、同居人の有無などの世帯情報、過去の介護サービス受給履歴などの項目を学習したAIにより、膨大なデータの中から過去に要介護認定を受けた方の特徴の組み合わせと影響度をもれなく抽出し可視化できるため、データ利活用により将来の介護リスクの早期発見を支援できます。

2. 要介護リスクが高まる特徴の組み合わせと影響度をグラフで可視化し、特徴の傾向から施策立案を支援

本製品は、介護認定のない方が1年間で要支援2以上になる可能性がある高齢者の特徴をもとに、将来的に要介護となるリスクが高い特徴の組み合わせと影響度をグループ化し、リスクが高い順にグラフ形式で可視化します。自治体職員は、これらの影響度や分布から、要介護リスクが高まる傾向を容易に把握できます。自治体は、特徴の傾向から高齢者が興味を持ちそうな趣味やレクリエーションと連動した健康教室などのカリキュラムの企画や、住民へのヒアリングなどの効果的な予防施策を立案することで、住民に対して介護予防に向けた提案や支援をより積極的に行うことができます。これにより、住民が適切な予防事業に早期に参加できる機会が増えることで、住民の健康を維持し、将来的な健康寿命の延伸が期待できます。

3. 実証実験での有効性検証を経て機能強化を行い製品提供

製品化に先だち、2019年に福島県いわき市様と共同でAIを用いた実証実験を実施しました。いわき市様では、2018年末時点で介護認定を受けていない高齢者8万人を対象に、1年後に要支援2以上になった高齢者の特徴をもとに影響度をグループ化してAI学習モデルを作成。次に、まだ介護認定を受けてないすべての高齢者に対してAI学習モデルを適用し、将来的な介護リスク度合いを算出しました。いわき市様では、これらの算出結果と過去の訪問履歴を参考に、一部の高齢者に訪問ヒアリングを実施したところ、69%の高齢者が生活や健康上の課題を抱えており何らかの支援が必要注6であることがわかりました。さらに91%の高齢者が介護予防健康づくりを行う「通いの場注7」へ未参加であったため、個別に参加を促し介護予防や健康づくりのアドバイスを行うなど、地域社会とつながるきっかけとなる効果的な介護予防施策の実施につながりました。本製品は、こうした実証実験での有効性検証を経て機能強化を図っており、自治体が抱える課題に応じた介護予防施策の立案を強力に支援します。

図:「介護予防AIスクリーニング」の分析イメージ図:「介護予防AIスクリーニング」の分析イメージ

販売価格

個別見積となります。

販売目標

2024年度末までに、「MCWEL介護福祉」関連ビジネス全体で、累計売上約12億(当社の決算期は3月末日です。)

動作環境

OS : Microsoft Windows 10が動作するパソコン
CPU : Intel Core i7以上
メモリ : 32GB以上
ディスク : 256GB以上のSSD

関連リンク

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

注釈

  • 注1
    富士通Japan株式会社:
    本社 東京都港区、代表取締役社長 砂田 敬之。
  • 注2
    富士通株式会社:
    本社 東京都港区、代表取締役社長 時田 隆仁。
  • 注3
    説明可能なAI技術「Wide Learning」:
    富士通が開発した説明可能なAIで、予測根拠と次のアクションを明示できるのが特長。
    本製品には、「Wide Learning」を実装した「FUJITSU Finplex AIスコアリングプラットフォームサービス EnsemBiz」を部品として組み込む。
  • 注4
    国内初:
    2022年1月、富士通Japan調べ。
  • 注5
    介護認定者数は約684万人(21年間で約3.1倍)、介護給付費は約12兆4,000億円(21年間で約3.4倍):
    以下の出典をもとに2000年4月から2021年4月までを算出
    ・介護保険事業状況報告 月報(暫定版)
    ・財務省 社会保障等(参考資料)
  • 注6
    生活や健康上の課題を抱えており何らかの支援が必要:
    いわき市様においては、同市の地域包括支援センター独自の評価指標や、厚生労働省が規定する25項目の生活や健康状態を確認するための基本チェックリストをもとに、該当した高齢者を支援が必要と判定。
  • 注7
    通いの場:
    地域住民が主体となって、地域にある集会所など身近な場所を活用し、体操や趣味活動等を行うなど、介護予防に資する活動の場の総称。

当社のSDGsへの貢献について

2015年に国連で採択された持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)は、世界全体が2030年までに達成すべき共通の目標です。当社のパーパス(存在意義)である「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」は、SDGsへの貢献を約束するものです。

本件が貢献を目指す主なSDGs

本件に関するお問い合わせ

富士通Japanお客様総合センター
電話:0120-835-554
受付時間 9時~12時、13時~17時30分(土曜日・日曜日・祝日ほか当社指定の休業日を除く)



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