株式会社ダイナム 様

「金銭帳票システム」の構築によりパチンコホールにおける煩雑な金銭業務を大幅に効率化

株式会社ダイナムでは、店舗で大きな負担となっている金銭業務の効率化と精度向上を図るため、集金から照合、報告に至る一連の作業を半自動化する「金銭帳票システム」の構築を検討。アミューズメント業界のシステム開発に豊富な経験を持つ富士通が、業界特有の煩雑な作業を理解したうえで使い勝手の良いシステムを実現し、店舗はもちろん管理本部も含めて大幅な業務効率化を実現している。

課題

  • 集計から照合、報告に至る一連の業務を手書き帳票で行っており、多くの時間を要しているので効率化したい
  • 習得に時間がかかり、作業者によって所要時間に幅が出る金銭業務の難易度を引き下げたい
  • 紙帳票や手動計算など、人為的ミスが生じやすい作業環境を改善したい

効果

  • 手書き帳票を電子化し、各システムと連携させることで、日々の作業時間を20%以上削減
  • システム化によって難易度を下げることで、習得までの時間を大幅に削減
  • 電子化による作業の自動化で、計算ミスがなくなるなど正確性が向上
集合写真
左から、株式会社ダイナム 情報システム部 浜中 沙帆 氏、財務部 浅野 正則 氏、池ノ内 駿 氏
来客数を予測するロジックにはまだ改善の余地がありますが、各店舗に準備すべき現金を最適化できることは、管理する側にとってもリスク軽減となります。業務負荷もさることながら、精神的な負担を軽減できたことがありがたいですね

株式会社ダイナム 財務部 浅野 正則 氏

  • 業種: パチンコホール業
  • 所在地: 東京都荒川区西日暮里2丁目25-5
  • 従業員数: 7,087名(2023年3月現在)
  • Customer's website

導入の背景

毎朝約2時間を要する煩雑な業務を電子化し、現場の負担軽減を図る

全国で約400店舗(2023年12月現在)のパチンコホールを展開するダイナム様は、1967年(昭和42年)の設立から半世紀以上の歴史を持つ老舗であり、パチンコオペレーター企業としては世界初の株式上場を果たした業界のリーディングカンパニーである。「パチンコを誰もが気軽に楽しめる“日常の娯楽”に改革する」との経営ビジョンを掲げ、地域社会に欠かせないインフラストラクチャーとして共存共栄していけるよう、ESG経営や従業員の働き方改革などを推進。そのための手段として、先端デジタル技術の活用・導入を積極的に検討している。

「当社は2010年代後半頃から毎年、数年後を見据えたデジタル改革の中長期計画を立案していますが、中でも重点課題と捉えているのが店舗における金銭業務のデジタル化でした」と、情報システム部の浜中沙帆氏は説明する。「当社に限らず、パチンコホールの運営はまだまだアナログに頼っているのが現状です。特に、日々の売上を管理する金銭業務は、毎日開店前に2時間近くを要しており、店舗スタッフにとって大きな負担でした」と浜中氏が語るように、金銭業務の内容は非常に煩雑なものがある。

まずは各遊技機から紙幣搬送路を通じて集められた現金を紙幣ごとに数えて、電卓で計算した結果を手書き帳票に入力。ホール内のコンピュータで計算された理論値と照合したうえで、問題がなければ改めて社内システムに入力し、報告完了となる。

加えて、精算機に大量の紙幣を用意する必要もある。この際、どれだけの紙幣を用意すべきか、曜日や天気などを踏まえた来客数の想定をもとに検討する。来客数が想定を下回れば多くの紙幣が残って集計業務が面倒になり、想定以上の来客があれば営業中に補充する必要が生じるなど、予想精度によって業務負担が左右される難しさもあり、経験の乏しいスタッフにとっては悩みの種になっていたという。

こうした作業形態は20年近く変わっておらず、管理側の課題意識と現場からの改善要求が相まって、改善に向けた検討がスタート。当初は入出金機と呼ばれるハードの導入を検討したものの、全国400店舗に導入するとなると莫大なコストがかかる。そこで発想を変えて、システム開発による合理化へと舵を切ったという。「情報システム部と財務部、店舗運営部などが集まってプロジェクトチームを結成し、RFP(提案依頼書)を作成していくつかのICTベンダーから提案を募りました。その結果、開発パートナーとして選んだのが富士通でした」(浜中氏)。

採用のポイント

店舗で一通りの業務を体験するなど、詳細な業務理解がスムーズな開発を可能に

「業者選定にあたって重視したのは、パチンコホールに特有の業務フローや課題について、どれだけ詳細に理解してもらえるかでした」と振り返るのは、財務部からプロジェクトチームに参加した浅野正則氏だ。「ダイナムが求めるシステムを構築するには、業界特有の用語や設備、管理手法などについて理解してもらう必要があります。その点、富士通様は技術力や提案力、サポート体制の厚さはもちろん、アミューズメント業界における開発実績が豊富なため、こちらの要求をスムーズに伝えることができました」。

実際、発注後の富士通の対応は期待を上回るものがあったという。「キックオフ後の業務ヒアリングの段階で、富士通SEから『実際に店舗で一連の業務を体験したい』との申し出があったときは、驚きとともに『そこまでやってくれるのか』という想いでした」と同じく財務部の池ノ内 駿氏は語る。実際、SE2名が店舗に足を運んで一通りの業務体験を行ったことで、業務や課題に対する理解が進み「どんな機能が必要か」「関連システムとどう連携させるか」など、要件定義が非常にスムーズに進んだという。「おかげでキックオフから約1年という予定通りのスケジュールで完成を迎え、2023年6月にリリースを迎えることができました」と浜中氏は満足気に振り返る。

顧客の課題に寄り添う姿勢は、開発段階だけでなく、現場への導入段階でも発揮された。「約400店舗に一斉展開を行うため、システムユーザーとなる現場スタッフへの理解・浸透には特に注力しましたが、富士通様には紙と動画でのマニュアル作成や、オンラインによる事前研修などでも丁寧なサポートをいただけました。また、導入当日は万一のトラブルに備えて、業務の始まる早朝から富士通様SEの方々に待機いただくなど、万全の体制でリリースできました」(浜中氏)。

効果と展望

毎朝の作業時間を20%以上削減できるなど、確かな成果を実感

「金銭帳票システム」の導入によって、金銭業務のフローがどのように改善されたかを見ていこう。各店舗に配布されたタブレット上に紙幣数を入力すれば自動的に集計されるため、手計算の手間が省けると同時に、計算ミスが生じる恐れもない。システム間のデータ連携により、理論値との照合や、社内システムへの報告も自動で行われるため、トータルの作業時間は大幅に削減された。

「一般的に、新しいシステムの導入に際しては現場からの抵抗感が付き物ですが、今回は電子化のメリットが明確なため、否定的な声は全く聞こえてきません。現在は作業負荷がどれだけ軽減されているかデータを分析しているところですが、当初の目標である20%削減を大きく上回ることは確実です」と、浜中氏は確かな成果を実感している。

また、タブレットには精算機に用意すべき紙幣量も表示されるため、経験の乏しいスタッフでもスムーズな準備が可能になるなど、業務の難易度は大きく引き下げられている。「来客数を予測するロジックにはまだ改善の余地がありますが、各店舗に準備すべき現金を最適化できることは、管理する側にとってもリスク軽減となります。業務負荷もさることながら、精神的な負担を軽減できたことがありがたいですね」と、浅野氏もシステムの導入成果を高く評価している。

今回のプロジェクトを皮切りに、同社では今後、DXに向けた検討を加速していくという。「2024年1月に社内DXチームが発足し、今後は店舗業務の効率化だけでなく、全社的な生産性向上や売上・利益の拡大をテーマに、営業管理システムの再構築などを検討。CRMを活用して遊技機の比率を最適化したり、生成AIを議事録作成や広告作成に活用したりと、様々な観点からDXへの取り組みを進めていきます。富士通様にはAIなど先端技術についても豊富な知見や経験がありますので、当社のDXパートナーとして、引き続きのサポートを期待しています」と浜中氏は今後の構想を語る。こうした期待の声に応えるべく、富士通は今後も営業担当者とSE、そして社内の先端技術担当者が一丸となって、同社のDXにしっかりと伴走していく。

金銭帳票システムの概略図

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