スタンレー電気株式会社 様

世界27工場の電力使用量を見える化。CO2排出量削減の取り組みに大きく貢献

自動車用機器製品、コンポーネンツ製品、電子応用製品の製造販売を行うスタンレー電気では、CO2排出量削減などに取り組むため世界中の27の主要生産拠点に電力計を導入。しかし、それらを一元管理する手段がなかった。そこで同社では、「FUJITSU Sustainability Solution環境経営ダッシュボード」を新たに導入。各拠点の電力データの集約と全社レベルでの見える化を行うことで、地球環境保全や企業価値向上に向けた活動をより効率的に行える環境を実現している。

課題
効果
課題国内外主要工場の電力計データを一元管理し、可視化したい
効果拠点ごとに異なるデータを変換・集約し、多彩な切り口での見える化を実現
課題各拠点が環境負荷軽減に積極的に取り組める仕組みをつくりたい
効果全社レベルで電力使用量を見える化することにより、拠点トップを含めた従業員のモチベーションを向上

背景と経緯

世界中の主要生産拠点に導入した
電力計データの一元管理が課題に

スタンレー電気は、「光に勝つ」のスタンレースピリットの下、自動車、二輪車向けで世界有数のランプメーカーであるとともに、LEDや光センサー、LCDなどのコンポーネンツ事業、LED照明製品、液晶用バックライト、ストロボ、操作パネルなどの電子応用事業も展開している。

世界中に生産拠点を展開するグローバル製造業である同社にとっては、地球環境保全への取り組みも重要経営課題の一つだ。現在推進中の環境長期経営計画でも温室効果ガス排出量削減目標を掲げており、その実現に向けた活動を全方位で展開している。

もっとも、こうした取り組みを進めていく中では、課題もあった。同社 環境企画管理室 部門長 柴田 和彦氏は「当社の事業活動に用いられるエネルギーの内、最も大きな割合を占めているのが電気です。当然、CO2排出量削減を進めていく上でも、電力使用量をいかに減らすかが大きなカギになります。ところが従来は、この電力使用量を全社横断で管理することが非常に困難だったのです」と明かす。

もちろん、各生産拠点の電力使用量が分からないというわけではない。同社では、環境対応やコスト削減に役立てるために、以前から電力計の導入を推進してきた。それぞれの拠点内においては、自分たちがどれくらい電力を使用しているか把握する仕組みはできていたのである。

「しかし、これらの仕組みは各拠点で個別に構築されており、使用するツールやデータ形式なども異なっていました。このため、全社一括で取り組みの状況や達成度を把握するといったことが柔軟にできなかったのです」と柴田氏は続ける。

スタンレー電気株式会社
環境企画管理室
部門長
柴田 和彦 氏
スタンレー電気株式会社
環境企画管理室
環境保全課
亀倉 哲二 氏
スタンレー電気株式会社
環境企画管理室
環境保全課
岩佐 茂夫 氏

導入のポイント

全拠点のデータを一元的に集約
現在の状況も分かりやすく表示

CO2排出量削減の取り組みをさらに一歩進めていくためには、それぞれの拠点ごとに異なる電力計のデータを集約して、企業全体としての見える化を実現することが不可欠である。そう考えた同社では、新たな電力統合監視システムの構築に取り掛かった。

同社 環境企画管理室 環境保全課 岩佐 茂夫氏は「国内外の有力ICTベンダーに声を掛け、当社の現状と目指すべき姿を話して提案を求めました。今回の最大の要件は、国内だけでなく海外も含めた主要27工場の電力計データをすべて一元的に管理できるということ。そして、これを唯一実現できたのが、富士通の『環境経営ダッシュボード』でした」と説明する。

今回導入された環境経営ダッシュボードは、個別管理されている環境情報や経営情報を一元的に集約すると同時に、多彩な見える化/見せる化機能によって課題解決を支援するもの。岩佐氏は採用に至ったポイントを「他のソリューションでは、欲しい機能を実装するためにはカスタマイズが必要だったり、全拠点の一括管理や海外工場への展開が難しいなど、様々な問題がありました。その点、富士通のソリューションは、こうした問題をすべてクリアしていた上に、拠点ごとにバラバラなデータも容易に変換・集約することができました」と続ける。

また、同社 環境企画管理室 環境保全課 亀倉 哲二氏も「もう一つ高く評価したのが、ダッシュボード画面の見やすさです。今回の仕組みは、それぞれの工場が他拠点の取り組みなども参考にしながら、課題解決に向けた施策を進めていくためのものです。それだけに、現在の状況が画面を見ただけで直感的に分からなくてはなりません。地図へのマッピングやグラフの色分けなどが行える環境経営ダッシュボードは、そうしたビジュアル機能の面でも群を抜いていました」と語る。

導入の効果

改善活動の活性化に貢献
電力コストの削減も実現

環境経営ダッシュボードによる電力統合監視システムは、2015年7月より本番稼働を開始。これによりCO2排出量削減の取り組みにも、様々な効果が生まれている。

「最大のメリットは、工場長をはじめとする各拠点トップの意識が大きく変わった点です。システムの情報は社内に公開されおり、自拠点や他拠点の状況が誰にでも簡単に分かるようになっています。環境負荷軽減の取り組みにどれだけ貢献できているかも一目瞭然であるため、各拠点での活動にも大きな弾みが付きました」と柴田氏は力強く語る。

品質/工程改善やコスト削減などの分野と異なり、環境負荷軽減の取り組みには、活動の成果がなかなか見えにくいという課題がある。しかし、電力使用量が全社レベルで見える化されたことで、CO2排出量削減に向けたモチベーションも大きく向上したのだ。

「今回のシステムにはコミュニケーション機能も搭載されていますので、目標値を越えそうな拠点と連絡を取って、原因を確認したり対策を話し合ったりといったこともタイムリーに行えます。システムの利用ログなどを見ていても、高い改善効果を上げている拠点ほど、システムの利用頻度が多い傾向が伺えますね」と岩佐氏は話す。

ちなみに今回構築されたシステムでは、全工場/各工場の電力使用状況をリアルタイム・日・月単位と、様々な視点で確認することが可能。また情報の切り口についても、電力量(kWh)、CO2排出量換算値(t-CO2)、CO2付加価値原単位(t-CO2/億円)と自在に変えることができる。

「これらのデータを見れば、平日より低いはずの休日の待機電力があまり下がっていないなど、様々なことが分かってきます。また、コスト削減に役立てられるのも大きなメリットですね。実際にある工場では、契約電力量と実績値に開きがあり、平均16%の契約電力量削減につなげることができました。現時点でシステムの導入費用を上回るコスト削減効果が出ています」と亀倉氏は語る。

環境経営ダッシュボード画面イメージ(全国確認) 全国確認画面では、国内の全拠点の電力使用状況が一覧でき、ここから各拠点詳細にドリルダウンできる。

今後の展開

事業成長に向けた取り組みにもシステムの環境情報をフル活用

今回の取り組みを支援した富士通の提案やサポートにも、高い評価が寄せられている。「当社が目指す方向性をしっかりと理解し、その実現に向けて尽力してくれた結果、狙い通りのシステムが実現できました」と柴田氏。岩佐氏も「グローバルレベルでの見える化を実現できている企業はほとんどありませんので、富士通の支援が得られて本当に助かりました。今もう一度ベンダーの選定をやり直すとしても、間違いなく富士通を選びますね」と続ける。

とはいえ、これで今回の取り組みが終わったわけではない。柴田氏は今後の抱負を「環境に優しいものづくりの実現は、今後の製造業にとって重要なテーマです。しかし企業としては、同時に収益性や企業価値の向上も図っていかなくてはなりません。そのためにもシステムを活用し、設備改善やさらなるコスト削減に活かす取り組みを推進していきたい」と述べた。

スタンレー電気株式会社 様

本社 〒153-0061 東京都目黒区中目黒2-19-13
設立 1933年5月5日
ホームページ http://www.stanley.co.jp/新しいウィンドウで表示
概要 後のスタンレー電気となる北野商会が誕生したのは1920年。まだ、日本で自動車が珍しかった時代に、スタンレー電気は自動車電球の製造を開始。その後もLED、オプトエレクトロニクス、自動車機器製品へと事業領域を広げ、光の価値を創り、提供することにより社会に貢献する企業を目指す。

[2017年8月掲載]

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