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Fujitsu

Japan

SDGs業種別セミナー
第三回「金融・流通、行政」

(2018年9月)

開催報告:
「デジタル革新は、どう金融・流通、行政サービスを変革し、SDGs達成に貢献するか」というテーマで、デジタルテクノロジーやパーソナルデータを積極活用してデジタル革新を進める中国とデンマークの事例、そして日本が推し進めるSociety5.0の課題をご講演頂き、富士通はどのようなデジタル革新を進め、経済・社会問題を解決し、SDGsを達成するべきか、いま一度深く考えることが出来ました。

講演1 中国のイノベーション事情

富士通総研 趙 偉琳 様

趙 偉琳 様(講演要旨) 中国は世界の工場から情報化産業をはじめとするイノベーションによる発展へと成長の軸足を移しつつある。都市部では電子決済が急速に普及し、スマホなしには生活は不可能となった。中国社会が偽札などの存在で現金を信用していない、金融サービスが未成熟、政府の規制緩和やアリババ(アリペイ)やウィチャッドペイなどが行った大々的なキャンペーンによる使用慣習の育成などがその背景にある。そしてこの膨大な取引データを活用した新しいサービスが続々と生まれている。その流れは社会システムにまで拡大を見せ、例えば、中国では身分証がないと新幹線やホテルの滞在ができないが、身分証明書の電子化を進め、一体化したサービスを社会全体で展開する方向に動きつつある。

講演2 デンマークが目指すデジタル社会

デンマーク大使館 投資部長 中島 健祐 様

中島 健祐 様(講演要旨) デンマークは課題解決先進国と言われている。日本と同様様々な社会・経済課題を抱えているが、小国であるが故に課題が先送りできない。オイルショック時点のエネルギー自給率5%(1980年)から今日の100%近くまで引き上げるなど積極的に課題解決を行ってきた。デジタル化も1990年代から国が自国の生き残りのために使えないか検討をはじめ、いまでは都市インフラの基本領域のデジタル化は完了。また個人情報も住民票、学歴、職歴、病歴、そして遺伝子情報まで全てが一元管理されている。そして海外のICT企業がこれらを活用した新しい社会システムを構築するためプロジェクトに参画し、ここで得た知見をグローバルに展開しようとしている。

講演3 Society5.0の実現で日本が目指す社会

日本経済団体連合会 産業技術本部
小川 尚子 様

小川 尚子 様(講演要旨) グローバリゼーションとデジタライゼーションが進み、米中のデジタル企業が世界を席巻している。デジタライゼーションの流れは止められないが、これを活用してどのような社会を創っていくかが重要。経団連としては、デジタライゼーションと多様な人々の想像力・創造力をかけ合わせて社会課題を解決し価値を創造する社会を目指したい。その際、SDGsと結びつけたルール形成の視点も重要である。変化の時代には多様性が不可欠であり、企業は社会のあらゆる主体と協創してデータの共有・活用やオープンイノベーションを進めてもらいたい。個人データ活用については、中国やデンマークなどデジタル活用先進国と比べて遅れをとっている。プライバシー保護やサイバーセキュリティの確保を前提としつつ、データを活用した新たなサービスを展開することが期待される。

パネルセッション Society5.0の実現で日本が目指す社会

モデレーター: 雑誌オルタナ 森 摂 様
パネリスト: 富士通総研 趙 偉琳 様、デンマーク大使館 中島 健祐 様、経団連 小川 尚子 様

パネルセッションの様子(パネルセッション要旨) 森様によるモデレートにより、society5.0を進めるにはどのようにすべきか、議論が交わされた。
小川様からは、日本の企業はかつて経験した自前主義の成功体験が捨てきれず、例えばベンチャー企業となぜ共創する必要があるのかなかなか理解できていない。Society5.0実現のためには、企業は他者と協創し新しいサービスを作り上げるという意識改革が必要と強調された。
趙様からは、中国のデジタル革新の成功は、金融サービスの未整備をデジタル技術がその隙間を一気に埋めることができたこと。その成功が中国人の意識改革を進め、かつては個人主義が強く協調プレイが苦手であったが、最近は共創の重要性を理解してきていると説明された。
中島様は、デンマークがデジタル革新を実現できたのは、政府の改革に対する強いコミットメント、市民のデジタル化に対する理解、デジタルソリューションを社会に実装させるための具体的なアプローチがあることを説明した。

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