研究プロセスの可視化とデータの一元管理により創薬開発の加速と効率化へ

Biodrug Design Accelerator

アンメット・メディカルニーズの解決に貢献する
Biodrug Design Accelerator

いまだ治療法が見つかっていない疾患に対し、安全で有効な新薬として期待が高まっているのが、バイオ医薬品の1つであるペプチド(注1)を含む中分子医薬品です。分子量が低分子医薬品と高分子医薬品の中間に位置し、比較的低コストで開発および製造できる上、薬効が高く副作用のリスクが少ないという両者のメリットを併せ持ちます。しかし、中分子創薬分野は、長年研究されてきた低分子創薬と比較し、ペプチドなどの生体高分子を表現できるHELM(注2)に準拠したプロジェクト管理ツールや環境の整備が遅れており、プロジェクト進捗の可視化やデータと紐づけた管理、研究者間での情報共有が進んでいないという課題があります。
そこで、富士通では、研究プロセスの可視化やデータ連携を可能にし、創薬プロジェクト全体を管理し推進する統合型創薬プラットフォーム「Biodrug Design Accelerator」の提供を開始しました。DMTAサイクル(注3)を加速し、創薬プロセスの飛躍的な効率化を実現します。
富士通は、あらゆる人のライフエクスペリエンスを最大化する「Healthy Living」の取り組みを通じて、革新的な新薬の創出に貢献します。

統合型創薬プラットフォーム「Biodrug Design Accelerator」活用イメージ

ペプチド創薬の研究プロセスに必要な
データを一元管理

  • 研究の工程ごとに様々なデータと紐づけて一元管理
    研究の工程ごとに進捗を可視化し、様々なデータを一元的に管理します。5~50個程度のアミノ酸が結合した複雑なペプチドを表現するためのHELMに準拠し、シミュレーションと実際の実験の両方の結果をHELMで表記し管理できます。
  • シミュレーションと連携したペプチド化合物を設計
    ペプチド化合物を構成するアミノ酸の配列を一覧から選択し、化合物の配列追加や変更などをマウスで簡単に操作できます。実験から導いた活性値や物性値、化学構造など複数のシミュレーション結果を確認しながら設計できます。
  • 複数のメンバーによる議論や知識共有を促進
    チャット機能を使用し、複数の研究者間でデータを示しながらの議論や、情報共有や交換などがリアルタイムで行えます。実験に関連する情報や知識、承認などの記録を継承してノウハウとして活用できます。
  • 解析機能を活用し、最適なペプチド設計を加速
    Activity CliffなどのSAR解析を用いることで、構造-活性関係を理解し、ペプチドの活性を向上や薬物動態特性を改善する、新しいペプチドを設計することができます。

これまで見つけ出せなかった
新薬候補化合物の発見に貢献

本プラットフォームをグローバルに展開するとともに、ペプチド医薬品だけでなく、核酸医薬品(注4)や抗体医薬品(注5)といったバイオ医薬品などモダリティ(注6)の拡大を目指します。また、富士通が持つAIや、量子現象に着想を得た「デジタルアニーラ」、HPCを組み合わせて活用できるクラウドサービス群「Fujitsu Computing as a Service」との連携によるデータ解析やシミュレーション機能も提供します。低費用かつ短期間での新薬開発を可能にするとともに、これまで人では見つけることができなかった候補化合物の発見により、革新的な医薬品の創出に貢献していきます。

注1    ペプチドとは、2個以上のアミノ酸分子が化学結合によって鎖状あるいは環状につながった化合物
注2    HELM(Hierarchical Editing Language for Macromolecules)とは、生体高分子の構造を表現するための階層的表記言語
注3    DMTAサイクルとは、医薬品候補化合物を最適化するプロセスで回す、化合物を設計(Design)、合成(Make)、評価(Test)、分析(Analyze)するサイクル
注4    核酸医薬品とは、遺伝情報をつかさどる「核酸」を用いた医薬品
注5    抗体医薬品とは、病気の原因となっている物質に対する抗体を人工的に作成した医薬品
注6    モダリティとは、低分子医薬、抗体医薬、ペプチド医薬などの治療手段

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