2016年1月8日更新
2015年12月7日更新
2015年4月13日掲載
いよいよ2015年10月より、社会保障・税番号制度(通称マイナンバー制度)が施行されようとしています。住民情報(住民記録・住民台帳)や税情報・福祉関連情報の面からは各種討議・情報発信がされていますが、社会のセーフティネットや災害時の社会保障として欠かせない、県営住宅や市営住宅などの自治体公営住宅管理業務の現場では、マイナンバー制度で大きく変わる業務に関連が深いにも関わらず、具体的な情報が乏しいのが現状ではないでしょうか。
公営住宅管理業務に関わる職員の方の日々の事務処理の、何が変わり、今後何を変更していくことが必要でしょうか。行政分野のコンサルタント本保氏と数多くのパッケージ適用に携わってきた公営住宅管理パッケージ開発部門の高間氏に、お話を伺いました。
先にお知らせしました国土交通省からのマイナンバー関連のパブリックコメントとそれに伴う省令についての続報をお伝えしています。
マイナンバー制度対応に関する最新情報を定期的をご提供する予定です。
最新情報を是非「マイナンバー制度への対応」サイトにてご確認ください。(2015年9年30日)
本保氏: 「番号法」第9条では、公営住宅法による公営住宅、改良住宅の管理に関する事務でマイナンバーを利用することができ、その範囲は、年金・福祉分野・生活保護等とされています。
株式会社富士通総研
第一コンサルティング本部
公共事業部
本保 勝義 氏
本保氏: 今まで入居申込みの際に添付していた所得証明や福祉関係の手帳提示は、税情報や福祉分野と連携することで不要になるため、何と言っても紙の量が大幅に減ります。これに伴い、いままで職員が目で確認していた事務処理の負担も削減できます。
この傾向は、他の公営住宅管理業務の事務処理についても同様です。たとえば、現場で作業負荷が高いとされている収入調査にしても入居者の許諾により税情報を自治体側で採取することができれば、調査用紙等のやりとりが不要になるかもしれません。このことから、マイナンバー制度は、職員と入居者(入居希望者)の両方にとってメリットが期待できる制度だと考えられます。
高間氏: 現状では、住民記録連携はあまりされていないようですが、税情報は戸数に関わらずほとんどの団体が連携しています。住民記録連携においては使用目的による制限があることも多いのですが、マイナンバー制度で住民記録も税情報も連携できればとても業務負荷が軽減されますね。
極端なケースかもしれませんが、家賃を滞納して転出し、転出した先の自治体で結婚して改姓し、その後に戻ってくると、同一人物か判らなくなることがあります。これが、マイナンバーはひとりに一つだけの番号なので、そういったことにも対応できるようになります。
富士通株式会社
行政システム事業本部
第三ソリューション統括部
第一ソリューション部
高間 敦康 氏
さらに、連帯保証人の情報が最新化されていないという問題があります。公営住宅も入居時に連帯保証人が必要なので連帯保証人情報を登録しますが、入居から10年、20年が経過すると、連帯保証人が死亡したり転居している事例が多く、滞納分の家賃を連帯保証人に請求できない場合が現実として多くあると聞いています。このような個人を特定できないことで発生する問題がマイナンバーの利用で解決できるのではないか、と思っています。
本保氏: 住民の事務負荷も大きく軽減されます。今後は少子高齢化が進むことで、公営住宅の入居者が段々と高齢者に偏る傾向にあります。高齢者になると、毎年の申請で窓口まで証明書を取りに行くことが次第につらくなりますが、紙の証明書添付がなくなればその負担が軽減されますね。
本保氏: 民間への拡大範囲は、国でも検討して関係機関との調整を行っている最中ですが、金融機関に個人番号を開示する可能性が高いと言われています。これにより、住宅管理業務では、入居者から家賃の納入方法を口座振替とする許諾を得ることで、滞納したまま転出した場合でも個人番号から口座を追いかけることができ、徴収の確実性が高まる可能性があります。
この他には、入居者が死去したり行方不明になった場合の敷金・保証金の返還についても、口座情報の問い合わせができれば、口座宛に返金処理を行うことができます。ただし、入居者が死去している場合には口座自体が凍結されてしまうため、この効果は条件が限定的になりますが。これは一例ですが、このように民間にまでマイナンバー制度の運用が広がっていくことで住宅管理業務の負担も軽減されていきます。
本保氏: 現在は、個人情報保護条例を根拠に、住民の参照データを他部門や他団体に参照させることを禁止する自治体が多く、総合窓口のようにワンストップサービスの機能をシステム化しても、制度上ではデータ連携が難しいような事例がありました。
これが、今回のマイナンバー制度の運用開始にあたり、たとえば転入による住民票の処理の際に、個人番号による住民情報を他団体に照会したり他団体から転出者の情報を照会されたりするようになるため、自治体全体を見ると必ず何らかの条例を制定・変更する必要がありますので、これに合せて内部でも個人番号をキーとしたデータ連携ができるように検討を進めることになります。
本保氏: ありえますね。もともとマイナンバー制度では、公営住宅業務は「情報照会が可能な業務」として位置づけられており「情報提供を行う業務」ではないため、必ずしもマイナンバー制度対応が必要ではない業務です。
ただし、今までに述べたように利用することで、職員の方にも入居者の方にも大きなメリットがあるため、検討を行う中で利用すると判断することが多くなると思います。
高間氏: 保守契約(パッケージ定額保守商品)の金額内で対応モジュールを提供します。現時点では、下記のような業務範囲に影響があると考えています。
現時点で想定されるパッケージの対応範囲
マイナンバー制度改正の要件整理については、下記の2点を実施する予定です。
現在、富士通では約100団体の稼動実績を持っています。お客様と一緒に対応をしていきたいと考えています。平成21年度の改正の際にはアンケートを実施させていただきましたが今回は、アンケートまたは個別にご意見を伺う予定です。また、将来的にはユーザ会を実施することを検討しています。
昨今、図面や申請書類のイメージデータを活用した機能に関し、ご要望をいただいておりますので、あわせてヒアリングさせていただくことも検討しています。
MICJET 住宅管理(公営住宅管理システム)のマイナンバー制度への対応スケジュール
高間氏: そうです。お使いいただいているお客様にご意見を伺いたく、稼動したお客様先にお邪魔させていただきたいと思っています。
高間氏: お客様から独居老人の見守り機能について、ご要望をいただいたことがあります。高齢化する社会にパッケージも対応していく必要があると感じています。
本保氏: 医療・防災分野での番号情報利用により考えられる業務の広がりや、住民へのサービス充実についても国や関係機関の動向を注視していきたいと思っています。
国土交通省からのマイナンバー関連のパブリックコメントについて、意見のとりまとめと公営住宅法施行規則の一部を改正する省令が出されました。(公布日 平成27年12月28日・公営住宅法施行規則の一部を改正する省令(平成27年国土交通省令第88号))
富士通が提供するMICJET 住宅管理(公営住宅管理システム)は、豊富な実績に培われたノウハウにより開発された、公営住宅にかかわる管理業務を網羅したWEB方式の公営住宅管理システムです。
マイナンバー制度の関連法案や用語集など、マイナンバー制度について「よくわかる」自治体様向けのマイナンバー制度特集サイトです。
いよいよ運用を開始したマイナンバー制度。事務の効率化はどのように進められるのか、住民への行政サービス向上にはどのように貢献できるのか、行政部門の各種業務システムの企画・開発を長年担当してきた部長と公共部門コンサルタントのお二方に話を聞きました。
住民情報・税情報・社会保障制度関連に続き、しかし密接に絡む公営住宅管理業務。しかし、その内容がマイナンバー制度でどう変わっていくのか、具体的につかめないとの声もきかれます。そこで、公営住宅業務に長年携わってきた各有識者にインタビュー、ナンバー法のメリットと今後の展望について話をいただきました。
富士通は、公営住宅管理業務に精通した専門コンサルによるシステム評価・アセスメントコンサルティングを通じて、自治体様の最適なシステム調達をトータルでご支援します。
富士通の公営住宅管理システムは、定期的な法改正や経過措置へ確実に対応しながら、公営住宅管理に関わる管理業務を効率化し、収納率向上のお手伝いをいたします。
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