医療法人正観会 御野場病院 様
介護と医療のシステム連携による密接な情報共有で地域の高齢者医療を支える

相互の情報連携とスマートデバイスの活用で適切なケア提供を実現
秋田市南部に位置する御野場病院は、回復期・慢性期を中心とした医療に加え、居宅介護支援センターや訪問看護ステーションなどを併設して、医療・介護の両面から地域住民を支えています。同院では 2014 年に富士通の電子カルテシステムHOPE EGMAIN-LXを導入し、さらに2016年には他社製介護システムを介護事業者支援システムHOPE LifeMark-WINCAREに更新することで、医療介護のシステム連携を実現しました。統合ビューアやスマートデバイスの活用で多職種の情報共有を強化し、患者・利用者に寄り添う医療と介護を実践しています。
病院の特徴とICT化の経緯
将来の病院経営を見据えてICT化を促進
前列左から石黒英明院長、皆河崇志理事長、塚田俊嗣事務長、
後列左から戸津義徳総務課長、後藤真司主任
地域の高齢者を支える病院として医療介護連携が必須
Q:貴院の特徴をお聞かせください。
皆河氏:当院は、地域住民に信頼されて選ばれる病院をめざして、居宅介護支援センターや訪問看護ステーション、ヘルパーステーション、デイサービス、通所・訪問リハビリステーションを併設し、医療・福祉サービスを提供しています。機能強化型の在宅療養支援病院に指定されており、訪問診療や往診、訪問看護を行っています。高齢化、過疎化が進む山間や田園地帯では、独居の認知症の方など、毎日の訪問サービスでなんとか生活している住民も多く、療養型病床やリハビリ、介護などのサービスが切っても切り離せない土地柄のため、医療と介護が連携して地域住民のケアに当たっています。
Q:ICT化の経緯を教えてください。
皆河氏:私が理事長に就任が決まった際に、オーダリングシステムの更新計画があると聞き、将来を見据えた病院経営の視点から、業務の効率化と医療情報のデジタル化のために電子カルテ導入を提案しました。常勤医と夜間や休日にサポートしてくれる医師の意見をもとに、富士通のHOPE EGMAIN-LXの採用が決定し、2014年12月に本格稼働しました。その後、2016年にはスマートデバイスソリューションHOPE PocketChartも導入しています。
導入当初から電子カルテを最大限に活用したいと考え、併設施設にも端末を設置しました。当院を受診している介護サービス利用者の医療情報を参照して、ケアプラン作成や看護に活用してもらうとともに、リハビリについては記載もしてもらって医療と介護の情報共有・連携をはじめました。そして2016年に、それまで主に請求業務に使用していた他社製の介護システムの更新時期が来たことから、医療介護連携を強化するため、電子カルテと同一ベンダーのHOPE LifeMark-WINCAREを採用しました。
Q:システムの構成や機能について教えてください。
後藤氏:電子カルテは全部で80台、介護システムの端末は、居宅介護支援センター、訪問看護・ホームヘルパー・通所リハビリのステーションなどに15台設置しています。スマートデバイス(iPadやAndroidタブレットなど)は、HOPE PocketChartが全医師と病棟、外来に計20台、介護システムのスマートデバイスは全ケアマネジャーと訪問看護・ホームヘルパーステーションに計9台導入しています。スマートデバイスは台数を十分に用意し、使ってもらう環境を整えました。
電子カルテと介護システムは、患者・利用者のIDを紐づけることで相互参照が可能で、電子カルテからは「統合ビューア」機能でケース記録や経過表、看護・介護サマリ、ケアプラン、報告書などを、介護システムからは「電子カルテ表示」機能で既往歴や病名、処置・処方内容、検査結果などを閲覧できます。また、統合ビューアでは介護利用者のプロファイルの参照や、コメント欄を用いたメモ入力も可能です。
統合ビューア機能により、電子カルテ端末からも介護側が記載した
ケース記録などを閲覧でき、下部のコメント欄には入力もできます。
連携システムの活用とメリット
相互参照による情報共有で最適なケアを提供
システム連携により医療と介護の相互理解が深化
Q:介護システムと電子カルテの連携でどのようなメリットがありますか。
皆河氏:医療と介護が情報を相互参照できるメリットは大変大きいです。特に、医療と介護が一体化していく今の時代はケアマネジャーが中心的な役割を担うため、医療側が、ケアマネジャーが考えていることを知り、ケアプランの内容を理解することがとても大切です。電話や直に会って話しても詳細に把握することは難しいため、システム連携はツールとして必要だと思います。また、訪問診療においては、事前に介護側の経過を知ることができるため、必要な準備ができます。
後藤氏:統合ビューアのケース記録にはコメント欄があり、介護側が医師に確認したいことを記載したり、医師が介護やリハビリのスタッフに指示を出したりといった利用もできます。
戸津氏:統各介護事業所では、カルテから医師の意図を読み取って利用者に最適な介護サービスの提供に活用しています。医療と介護の連携が進むことによって、「医療は治療、介護は生活支援」という固定概念が、いい方向に崩れてきていると感じます。
また、医療保険と介護保険の請求を合算して1枚の請求書にできるようになり、患者にとってわかりやすくなりました。
スマートデバイスの活用で安心できる在宅ケアを実現
Q:スマートデバイスの活用についてお聞かせください。
石黒氏:在宅で診ている患者の人数が多いため、訪問診療にスマートデバイスはなくてはならないものとなっています。夜間や休日の急な往診依頼や看取り、訪問に行っている看護師からの連絡などにもすぐに対応できますし、主治医に代わって訪問する場合にも、その場でカルテを参照しながら適切な診察ができます。日常の診療でも、気になる患者さんの状況を、いつでも、どこでも確認できるため、医師にとっても、患者にとっても安心できる体制だと思います。
戸津氏:退院前の自宅訪問では、室内の様子をカメラ機能で撮影してケアプランの作成やリハビリメニューの検討に活用しています。また、ケアマネジャーは、訪問中にスマートデバイスを利用してスケジュールを確認したり、訪問先でサービス利用票を修正してご利用者やご家族にすぐに確認してもらえるなど、効率的に業務を行えます。証明書類や介護保険証などをその場で撮影できるため、借りてきて返却のために再度訪問するという手間を省くこともできます。また、緊急時や災害時にも利用者の連絡先や病歴・服薬情報などを確認できたため、大変助かりました。
今後の展望
幅広い多職種連携で高齢者の暮らしを支える
システムを活用した地域包括ケアに期待
Q:今後の展望をお聞かせください。
石黒氏:当院は地域あっての病院です。2016年からは南部圏域の地域包括ケアを考える「なんケアの会」を開催し、地域の医療職や介護職が集まって勉強会や情報交換を行っており、積極的に地域とコミュニケーションを取りながら、地域包括ケア分野で言われる“ときどき入院、ほぼ在宅”の実現をめざしていきます。ハードルは高いと思いますが、法人内だけでなく地域包括ケアにおいてもシステムでつながることができるといいですね。
皆河氏:現在、歯科医や歯科衛生士を新規雇用し、口腔ケア・摂食嚥下に力を入れ始めています。また、通所リハビリテーションの拡充も検討しており、“最期まで歩く。最期まで食べる”をテーマに、医療・介護連携を実現したシステムを活用して、高齢者を総合的に診療できる病院として地域に貢献していきます。
〔御野場病院様のHOPE LifeMark-WINCARE、HOPE EGMAIN-LXの導入については、株式会社シグマソリューションズ様 にご協力をいただきました〕
お客様プロフィール
医療法人正観会 御野場病院 様
住所 | 〒010-1424 秋田県秋田市御野場2-14-1 |
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TEL | 018-839-6141 |
URL | https://www.seikankai.or.jp/ ![]() |
診療科目 | 3科(内科、神経内科、リハビリテーション科) |
病床数 | 152床 |
*本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。
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