点在する学内のデータを集約・分析
戦略的な大学運営と開かれた大学を目指して
国内大学初の統合報告書でビジョンや戦略を示し、「東大ファン」を増やしていく

国立大学法人 東京大学 様 外観

国立大学法人 東京大学 様
導入事例


アカデミアの取り組みとして国内で初めてとなる「統合報告書」を発行した東京大学では、従来の財務レポートに加えて、大学の戦略、教育、研究、社会連携、運営での活動実績を開示し、「東大ファン」を増やすことで教育、研究に対する支援者を増やす取り組みを行っています。そこでは学内に点在するデータを収集し統合する基盤として導入された富士通の「Unified-One 統合データべース(以下、統合DB)」が役立ちました。

[ 2019年7月掲載 ]

【導入製品・ソリューション】
業種: 文教
製品・ソリューション: FUJITSU 文教ソリューション Unified-One 統合データべース新規ウィンドウが開きます
Tableau Desktop Professional Edition/Tableau Server Web Client Interactor新規ウィンドウが開きます
FUJITSU Cloud Service for Microsoft Azure新規ウィンドウが開きます
【課題と効果】
1 学内に点在する多様なデータを効率的に集約・統合する必要があった 可視化したデータは、Webを通じて執行部や本部各部に一度に公開が可能に。
教学、研究、社会連携、管理運営情報を統合データベースに集約・管理することで、データの更新も効率的に行えるようになった。
2 本部各部のデータを可視化してエビデンスベースの分析と情報提供をしていきたい

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導入の背景

新たな価値を生み出す取り組みとして大学の可視化が必要に

 東京大学では、「知の協創の世界拠点」の形成を構想に掲げ、改革を進めています。また、安定的かつ自律的な財務基盤を実現するため、まず戦略やビジョンを明確化したうえで、教育や研究に積極的に将来への投資を行っています。その結果生まれた新しい価値や成果を社会へ発信することで、「東大ファン」を増やし、そこで得られた支援や資本で次の投資を行うといった好循環の確立を目指しています。

 東京大学に求められたことは、データに基づいた適切な資源配分を行い、戦略的な大学運営を行うことでした。

東京大学 青木 志帆 氏の写真
青木 志帆
東京大学
経営企画部
IRデータ課長

 具体的には、教育、研究、社会連携活動、管理運営に関するあらゆるデータを収集・統合・分析して、大学の強みや弱み、業務の達成状況を明らかにすることが必要であり、その役割を担う組織として大学本部内に設立されたのがIRデータ室(IRデータ課)です。富士通のフィールド・イノベータが、IRデータ室の部局支援策の立案を支援しました。

 同大学の経営企画部 IRデータ課長 青木志帆氏は、「大学運営における意思決定を支援する情報活用の推進がIRデータ室の設置目的です。将来への投資の妥当性を証明するエビデンスづくりにはデータの可視化が欠かせません。データ分析などを効果的に行うにはどのようなシステムが必要となるのか、IRデータ室の設置準備の段階から検討を繰り返してきました」と振り返ります。

導入のポイント

多種多様なデータへの対応と柔軟な拡張性に注目

東京大学 宮下 明子 氏の写真
宮下 明子
東京大学
経営企画部
IRデータ課 係長

 東京大学では、本部各部のそれぞれの担当者がデータを集計・管理していたため、IR分析システム基盤の構築ではそうしたデータの多様性に対応でき、後から自由に項目を追加できるなど柔軟な統合データベースが必要でした。

 同大学はデータを可視化するBIツールとしてまずTableauを選定。その理由についてIRデータ課 係長 宮下明子氏は「Tableauは、Excelをはじめ、多様なデータにアクセスして分析ができるので、学内に点在するさまざまなデータを可視化するという本学の狙いと合致していました。Tableauにはたくさんの利用者によるコミュニティがあることも安心材料でした」と話します。

 しかしデータを分析するには、多種多様なデータを集約し整形する必要があります。そうした中で、富士通が提案したのが統合DBです。「統合DBは、高度な専門知識が不要で、簡単にデータ集約・整形ができるので、情報システムを専門にする職員がいない当課でも使っていけると判断しました」と宮下氏は話します。

導入の効果

データの可視化で新たなディスカッションの活性化にも

 IR分析システム基盤は3カ月ほどで構築が完了。同システムは2015年12月に富士通が導入したクラウドサービスであるMicrosoft Azure上の事務システム基盤に構築されました。それによって「自分たちでサーバを管理せず、分析作業に集中できるようになります」と宮下氏は話します。

 また共通の基盤上に構築することでデータの相互利用、災害時のデータ消失対策が可能になる点もメリットです。

国内大学初の統合報告書
国内大学初の統合報告書

 その後、富士通のSEの支援を受けながら3カ月で主な基礎データ(教学、研究、社会連携、管理運営情報)をデータベースに登録。統合DB等のIR分析システム基盤の構築により、本部各部で所持する主な基礎データは1つの場所に管理されるようになりました。また統合されたデータをもとに33のワークブックを作成し、それらがTableau Serverに登録され執行部や本部各部が随時閲覧できるようになっています。本格稼働からまだ日は浅いものの、実際にいくつかの効果を実感しています。

 「例えば、施設実態調査のデータを利用して、各棟の改修の必要度がわかるようになりました」と宮下氏は話します。青木氏もこう続けます。「各部署が所有するさまざまなデータを次々と角度を変えながら分析してグラフ化できるようになりました。会議の場などで示すと皆が理解して新しいディスカッションが生まれるなど、データの可視化がもたらす効果を実感しています」

 また東京大学は先導を切って大学の価値を示せるよう、アカデミアでは国内の大学で初めての取り組みとなる「統合報告書(2018 年10 月公開)」を発行しました。その作成においても、統合DB等のIR分析システム基盤が役立っています。

東京大学におけるIRデータ室の役割

今後の展望

分析データを意思決定の妥当性判断に活かしたい

 東京大学では、執行部や各部局を支援するための情報提供はもちろん、分析データをもとにした大学運営を実現しようとしています。

 「研究、教育、社会連携活動のいずれにしても、大学の事業が本当に成果を出しているのか、資源配分は適切なのか、またどのように資源配分を増やせば最大限の効果を発揮できるのかなどを検証できるようにしたいと考えています」と青木氏。ほかにも統合報告書英語版のさらなる充実に向けた検討を行ったり、将来にはすべてのステークホルダーに情報を開示したりするなど、開かれた大学づくりを加速しようとしています。

[ 2019年1月取材 ]

写真左から、宮下 明子 氏、青木 志帆 氏
写真左から、宮下 明子 氏、青木 志帆 氏

【国立大学法人 東京大学 概要】
所在地 〒113-8654
東京都文京区本郷7-3-1(本郷キャンパス)
教職員数 7,945名(※特定有期雇用を含まない 2018年5月現在)
学生数 14,024名(※学部学生数 2018年5月現在)
概要 日本を代表する学問の府である東京大学は、そのハイレベルな教育と先進的な研究が、国内はもちろんのこと海外からも高い評価を受け続けています。
ホームページ 国立大学法人 東京大学様 ホームページ新規ウィンドウが開きます

【導入事例(PDF版)】

本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は取材日のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。

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