セキュリティマイスター紹介 坂井弘亮
ハイマスター領域 コンピュータウィザード
- 富士通株式会社
- セキュリティ&プログラミングキャンプ(現セキュリティ・キャンプ)講師
- SECCON実行委員
- SecHack365実施協議会委員
- 技術士(情報工学部門)
富士通での担当業務:
富士通製のルータ・スイッチのファームウェア開発
今までで一番印象に残る活動は?
独自組込みOSの自作活動です。組込みシステムを理解したくて本を読んだりして勉強していたのですが、霞がかった理解しかできず、実際に作ってみようと思いたちました。個人の時間で作ることにより様々な霧が晴れ、地に足の着いた理解ができたのです。
さらに、その独自組込みOSをオープンソースソフトウェアとして公開し、自発的に各種イベントに出展したり、セミナー登壇したりすることで社内とは違った知見・人脈が広がり、一人の技術者として貴重な経験ができています。このことは、その後の様々な活動のベース・原点になりました。
2009年から2012年頃は、月に2、3件ほどのペースで、休日などを利用し個人的に地方巡業なるものをしていました。イベントへ参加する際には、参加するだけでなく出展や発表をすることがほとんどで、しかもグループでなく一人で行うことが多いので、基本的に忙しいです。機材の不調など発生しても仲間に借りたり、持ってきてもらったりするということがあまりできず基本的に自分でなんとかしなければなりません。そのため、アクシデントやトラブルを想定してあらゆる予防線を張っておくというクセがつきました。そのような中でも、準備時間や昼食時、公の懇親会後の飲み会などで、現地のイベント主催者や他の発表者と話ができたこと、似たような地方巡業をしている人と各地で遭遇し仲良くなったことなどが楽しく、いい思い出です。
勉強会やセミナーでは、技術だけでなく、コミュニケーションとか人との繋がりをぜひ楽しんでほしいです。
今までで一番印象に残る活動
- 技術書を読んで理解できなかったことが、自らの手を動かすことで理解できた
- オープンソースソフトウェアとして公開し、自発的に各種イベントに出展したり、発表したりしたことが全ての始まり
- イベントへの出展や勉強会での発表で、技術だけでなくコミュニケーションや人との繋がりを楽しむ
自発的に社外で活動する理由は?目指すものは?
情報は発信する人のところに集まるためです。情報を発信する人は発信者どうしのコミュニティを形成します。良質の情報を得るには、自身も発信することにより発信者のコミュニティに入ることがもっとも有効だと思います。発信するために、自分で手を動かして調べることで、他者から有益と思ってもらえるような独自性のある情報の引き出しを増やすことを常に心がけています。自身が有益な情報を発信すれば、集まる情報もそれに応じて自然に有益なものになると思います。逆に、自身が発信せずに教えてもらうだけだとそれ相応の情報しか得られないものです。
また、技術者は自身が学ばせてもらったものへの恩返しとして、自身もどんどん情報発信して世の中の技術向上に貢献し、技術伝達の良いサイクルを回すべきだと考えます。そうしないと国内技術は空洞化・枯渇してしまいます。自身が20年後も技術者であり続けられるためにも、技術が大切とされる社会を作ることに貢献したいです。
後進育成としてどんな人材を育てたいか?
どんどん社外に出てグローバルな視点で考えられることが必要とされる時代なので、社外活動に参加する道を自分で切り開いて実践していく人が必要とされると思います。作られた道を進むだけでなく、様々な障害を乗り越えつつも自分で勝手に道を作っていく人が貴重です。
今の若者は、コンピュータの扱い方のネイティブさやUIへのセンス、新しいものや未経験のものへの抵抗の無さ、既成のものを知らないことから生まれるアイデアなどなど、私にはない感性を持っています。そういうものを目の当たりにしたときは、彼らを脅威に思います。そういう新しい感性を持った彼らに自らの道を切り開いていってほしいです。
~未来予想~10年後どんな変革が起こっているか?
世間的に「10年後はこうなる!」と言われることの多くが実際には外れたりしているので、今予想されるような未来ではきっとないし、おそらく想像もできません。なので、10年後がどんな予想外の世界になっていても対応できるように、しっかりした基礎技術をつけておくことが大切だと思います。
活動のモチベーション
- 情報は発信する人のところに集まる
- 良質な情報は発信者どうしのコミュニティから得る
- 障害を乗り越え、自分で勝手に道を作っていく人が貴重な人材
セキュリティマイスターからの一言
ネット検索はぜんぜん万能ではないですし、車輪の再発明はぜんぜん無駄なことではないです。ネット検索からは誰でも得られる情報しか得られません。自身で手を動かして深く知ることと、自身も発信することで発信者のコミュニティーに入り情報交換できる場を持つことが重要だと思います。
セキュリティマイスターのこだわり
みんなが使いたがるような高スペックマシンを共用で使うことよりも、誰も見向きもしないような旧時代のマシンを自分向けにカリカリにチューニングして自分専用にして使うことが好きです。ツール類も自分向けにソースコードを改造して使うのが好きで、テキストエディタもバイナリエディタもそうして使っています。
セキュリティマイスターのプライベート
お酒は最近は瓶内二次発酵の活性日本酒が好きです。獺祭のスパークリングは素晴らしいです。ただ、入手や扱いが大変なので、特別なとき用ですね。ふだんは出羽桜のとび六、水芭蕉のスパークリングなどが手軽で好きです。
セキュリティマイスターからメッセージ
- 車輪の再発明は無駄にあらず
- 何でも自分用にカスタマイズして楽しむ
坂井弘亮 プロフィール
担当業務
富士通製のルータ・スイッチのファームウェア開発を行っています。特にOSやアーキテクチャーに関わる部分が専門です。
社外での活動実績
- セキュリティ&プログラミングキャンプ(現セキュリティ・キャンプ)講師
- SECCON実行委員
- SecHack365実施協議会委員
- イベント出展・セミナー登壇多数(オープンソースカンファレンスなど)
- アセンブラ短歌 六歌仙の一人
- バイナリかるた発案者・エバンジェリスト
- フリーソフトウェア作成
- 個人ホームページによる情報発信
- 書籍・記事執筆多数
「12ステップで作る 組込みOS自作入門」「リンカ・ローダ実践開発テクニック」「熱血!アセンブラ入門」「大熱血!アセンブラ入門」「ハロー“Hello, World” OSと標準ライブラリのシゴトとしくみ」など
得意分野
ホビープログラミングとしての独自組込みOSを自作すること
安価なマイコンボードで動作する組込みOS「KOZOS」をフルスクラッチで自作し、それを使用して実験したり勉強したりしています。この活動をした結果、OSやアーキテクチャーに関する理解が深まり、業務でもそのような部分を任されるようになりました。
多種アーキテクチャーのアセンブリのフィーリング読解
レガシー技術だと思われがちなアセンブラですが、セキュリティ分野やCTFではむしろ進んで身に着ける技術です。エキスパートだけが読めるものと思われがちですが、何をやっているのかアタリをつけて読んでみるフィーリング読解で意外と理解できたりするものなのです。
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