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第2回「IFRS財務諸表の作成」

第2回「IFRS財務諸表の作成」

2010年5月公開

IFRSが適用されることとなれば、ほとんどの企業は個別財務諸表を日本基準、連結財務諸表をIFRSに従って作成ということになると思われます。

しかし、一口に日本基準といっても会社によって適用される基準、法令など取扱いが異なることがあります。IFRS対応のためには、IFRS財務諸表の作成プロセスを分析、検討するだけでは足りません。IFRS対応のための経理業務、会計システムの構築のためには、グループ各社がどのような形で個別財務諸表を作成するのかということも考慮すべき重要な事項となります。

複数帳簿によるIFRS財務諸表の作成を行うために

連結財務諸表をIFRSで作成するには、連結各社の個別財務諸表をIFRSに従った財務諸表に組替えるという作業が必要ですが、その方法は大きく次の二つに分けることができます。

  1. 各連結会社は自国基準で帳簿を作成し、組替表等によってIFRS財務諸表への組替を行う方法
  2. 各連結会社が自国基準帳簿と併せてIFRS帳簿を作成し、IFRS帳簿を基にIFRS財務諸表を作成する方法

2. のIFRS帳簿を作成する方法は、効率面、決算早期化という面で優れた方法といえるでしょう。特に、個別財務諸表が法定監査の対象とならない会社に関して言えば、自国基準帳簿は税務と中小企業会計基準程度を考慮したもので足りるため、複数の帳簿を管理する負担は比較的低くなり、IFRS帳簿を備えるということを積極的に検討する価値があります。

それに対して、個別財務諸表が会社法監査や金融商品取引法監査の対象となる場合はどうでしょうか。

2. の方法で複数の帳簿を保持している場合、個別財務諸表の監査では個別財務諸表の帳簿をチェックし、連結財務諸表監査ではIFRS帳簿をチェックする必要があるため、複数の帳簿の相関関係が明らかでなければ、様々な局面で二重作業が発生し、かえって効率的でなくなるおそれもあります。

更に、個別財務諸表監査を有価証券報告書で開示している会社については、自国基準帳簿、IFRS帳簿の両方が内部統制評価の対象になる可能性があり、J-SOX対応の面でも考慮が必要となります。

複数帳簿採用するか否か、採用する場合の実現方法を決定するにあたっては、IFRS財務諸表の作成プロセスだけでなく、個別財務諸表の作成プロセス、会社法や税法などの諸制度への対応方法など総合的に考慮することが必要です。

忘れてはいけない注記対応の重要性

また、IFRS対応を考えるにあたっては、IFRSに準拠した財務諸表本体だけを考慮していてはいけません。財務諸表本体の作成と同時に、注記情報を決算スケジュールに従ってスムーズに作成するかということも同時に検討する必要があります。

IFRS財務諸表の注記は多岐にわたり、またその内容は日本基準の連結財務諸表と比較すると膨大なものとなります。しかも、連結ベースでの注記が必要であるため、連結各社で注記情報を作成し、これら各社の注記情報を連結ベースの数値に加工するという作業が必要となります。

すでにIFRS対応に取り組んでいる企業によると、注記情報作成のための業務、システムの構築は、財務諸表本体作成のための体制づくりと比較しても同じ程度或いはそれを超える手間を要するようです。期間についても注記情報作成の体制作りのためだけに一年を超える長期間を費やすこともあるようです。IFRS対応プロジェクト計画にも、これらの期間や手間を十分に考慮しなければいけません。

講師紹介

公認会計士 森川智之氏

監査法人トーマツに勤務後、独立。 IPO支援、管理会計、ファイナンス等のコンサルティング業務から税務業務などを幅広く行う。
公認会計士、森川アンドパートナーズ会計事務所代表、有限会社フォレストリバー代表取締役。

公認会計士が語る IFRS対応のヒント

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