クラウド運用管理

現場と経営が共に歩む働き方改革 ~富士通の社内実践から考えるDX推進の勘所~

現代ビジネスの成功を左右する要素として、"働き方改革"と"デジタルトランスフォーメーション(以降DXと記述)推進"が注目されています。特に経営者やDX企画部門の方々にとって、これらのキーワードは避けて通れない課題となっています。本記事では、富士通がどのようにして働き方改革を進め、DX推進の勘所を掴んできたのか、その具体的な取り組みと成果を紹介します。

働き方改革とDX

働き方改革では、イノベーションを推進する新しい働き方の創出が求められています。DXの推進により、従業員がより柔軟で創造的な働き方を実現する環境を整備することが可能です。新しい手法やテクノロジーの導入により、従業員がより生産的で満足度の高い働き方を実践できるように支援することが重要です。

働き方の最適化は、データに基づいて追求することが可能です。従業員の業務データやフィードバックを収集・分析することで、従業員のニーズや業務の特性に合わせた最適な働き方の施策を実行することができます。

従業員がより柔軟な働き方を実現するためには、DX技術を活用した働き方のデジタル化が重要です。例えば、クラウドベースのコラボレーションツールやオンライン会議システムの導入により、場所や時間に制約されずに業務を行うことが可能になります。また、クラウドシステムの利便性を向上させるためには、運用管理が重要で、これらのシステムを支援し、柔軟性と効率性を向上させ、セキュリティとコンプライアンスを強化し、スケーラビリティと生産性向上を図ることが必要です。

働き方改革は経営課題

富士通は、働き方改革を競争上の優位性を確立するための取り組みと位置づけています。つまり、働き方改革をはじめとする会社の仕組み全体を未来のあるべき姿に変革することが、競争上の優位性につながると考えています。

富士通では、自社の変革を推進するための全社DXプロジェクトを立ち上げています。このプロジェクトは「フジトラ」と命名され、以下の3つの要素から成り立っています。

  1. 事業モデルの変革・創出による成長の実現

  2. 既存事業のプロセス変革(効率化、標準化、データドリブン)

  3. DX人材への進化を促進する制度/環境の変革

これらの取り組みにより、富士通はDX推進指標で大きな成果を上げています。4年間で、1.9から3.56まで指標を上昇させ、日本のDX先行企業の中でトップクラスの数値を達成しています。

図1. DX推進指標、市場の反応、従業員エンゲージメント

また、働き方改革とDXの取り組みは、従業員エンゲージメントの向上にも寄与しています。改革を実施することで従業員エンゲージメントが徐々に向上しています。

以上のことから、働き方改革とDXは組織の競争力を高めるための重要な取り組みであることがわかります。これらの取り組みを通じて、組織は新たな価値を創出し、競争上の優位性を確立することが可能となります。

働き方改革の取り組み

  • テレワーク導入の初期課題
    富士通では、テレワーク導入初期には多くの課題がありました。従業員のほとんどがテレワークをするという状況が想定されておらず、混乱が生じました。朝イチにネットワークがつながらないのは日常茶飯事で、Web会議の音がプツプツ切れるといった事象を経験しました。
    そこで、従業員が「何に困っているか?」、「何に不安を感じているか?」といった声を聴くことを重視しました。その結果、テレワーク費用の個人負担が増えた、全体的にレスポンスが重たいといった声が多く寄せられました。これらの声を元に、働き方改革の施策を立案しました。
  • テレワークの運用安定後の課題と解決策
    テレワークの運用が安定するようになった後にも、様々な課題が存在することが分かりました。例えば、同僚の仕事の状況が見えないことで、声をかけづらくなりました。そのため、相談をしづらくなり、仕事が行き詰まることもありました。
    このような課題を解決するためには、新たなコミュニケーションスタイルの導入が必要です。具体的には、社内SNSの活用や、1on1による心理的安全性の確保などがあげられます。これにより、組織の枠を超えたコミュニケーションが可能となり、組織全体のエンゲージメントが向上しました。

図2. デジタルコミュニケーション

  • 働き方改革の取り組みと成果
    働き方改革の成果を最適化するためには、個々の従業員の行動をデジタルで可視化し、分析することが有効です。具体的には、コミュニケーションデータを中心に、成績データ、エンゲージメントデータ、社員の働き方データを掛け合わせて分析します。そして、相関関係の因果分析をAIで実施し、施策に繋ぐことができます。

図3. AI分析[因果分析]

このような取り組みにより、生産性が高く、イノベーティブな働き方を実現するための行動指標を導き出すことが可能となります。特に、「部門を超えた多様な繋がり」を持つ社員は、他の要素もポジティブに影響を与えることが分かっています。
以上のような取り組みを通じて、働き方改革は、単に働き方を変えるだけでなく、組織全体の生産性向上やイノベーションの創出に繋がります。デジタル化が進む現代において、働き方改革の新たな視点を持つことで、企業はより大きな成長を遂げることができると考えます。

DX推進のキードライバーはIT

デジタル化とITは、DXを推進するためのキードライバーとなります。
しかし、デジタル化やITそのものが目的ではなく、それらは手段であり、事業の変革、人や組織の変革、マネジメントの変革、オペレーション変革を実現するための重要なツールとなります。

  • 業務システムの更新とIT手段の模索
    業務システムも従来の「システムの延長による更新」ではなく、業務部門と協力して「あるべき姿」を描き、それを実現するためのIT手段を模索することが重要です。
    富士通では、20年以上経過した社内決裁システムを約4か月で刷新しました。利用者目線のデザイン思考を取り入れ、アジャイル開発手法を活用することで、実業務フローとの乖離をなくし、利便性を向上させました。
  • サービス間の情報連携とデータドリブンマネジメント
    新システムが増えてくることにより、サービスをまたぐトラブルが増加しています。これに対応するため、富士通ではサービス間の情報連携を強化し、迅速なトラブル解決を実現しています。
  • IT部門の変革とDX人材の確保
    富士通では、「保守的」なIT部門から「価値提供型」のデジタルサービス部門へと変革しています。経営戦略とIT戦略を同期させ、社員価値を最優先し、グループ全体のDXをリードする役割を担っています。
    また、既存システムの運用を効率化し、情報システム部門の50%をDX人材にシフトさせ、DXを推進する人材を確保しています。

まとめ

富士通の働き方改革やDX推進の取り組みを通じて、企業がデジタル化を進める上での重要なポイントを提示しました。それは、人材・組織・働き方の変革をITと連携させて進めること、そしてそのためには経営課題として捉え、全社的な取り組みを行うことです。
富士通が紆余曲折しながら進めてきた働き方改革について、下記のセミナーで詳しくご紹介します。
お申込みは下記から承っております。皆様のご参加を心よりお待ちしております。

  • 備考:
    本記事に記載されている会社名、システム名、製品名、サービス名などの固有名詞は一般に各社の登録商標または商標です。
    また、本文および図表中に記載されている会社名、システム名、製品名、サービス名などには必ずしも「TM」、「®」を付記しておりません。

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