クラウド運用管理

クラウド上のジョブ管理システムの構築 ~ソフトウェア導入支援サービス~

IT業務において、ユーザーとの対話を必要とせず、あらかじめ定められた一連の処理(バッチ)などをコンピューターに処理させる単位を「ジョブ」と言います。多くの既存システムでは、定型的な処理や定期的に実施する処理をジョブとして実装し管理しています。

この既存システムを、サーバーメンテナンス削減などの目的でクラウド環境に移行することが増えています。
ジョブを管理している既存システム(以降ジョブ管理システム)も、クラウドの特性に合わせて構築する必要があります。
本記事ではジョブ管理システム構築のポイントやそれを支援するサービスについて解説します。

【目次】

1. クラウド環境でのジョブ管理システム構築のポイント

オンプレミス環境で稼働している既存システムをクラウドに移行(リフト)する場合、新システムでは、オンプレミス環境とクラウド環境の違いを考慮し、設計と構築を行う必要があります。以下では、既存のジョブ管理システムをクラウドに移行する場合に留意すべきことの中で代表的な3つを挙げて説明します。
なお、本記事では移行先のクラウドとしてAmazon Web Services(以降AWS)を例に説明しています。AWSのジョブ管理である AWS Step Functionsとジョブ管理ソフトウェアを使った効率的な管理方法については、下記をご参照ください。

スケーラビリティ対応

クラウドのメリットの一つとして、利用者がハードウェアのメンテナンスから解放されることや、アクセス量の増減にあわせてハードウェアの追加や削除を自動的に行う機能を備えている点があります(オートスケーリング機能)。そのため、クラウド環境を利用してシステムを構築する場合、オートスケーリング機能と連動してリソースを有効活用する仕組みを取り込むことで、システム利用者はクラウドの恩恵を受けることができます。
クラウド上にジョブ管理システムを構築し、システム利用者がクラウドの恩恵を受けられるようにするためには、このオートスケーリング機能と連動したジョブの振り分けや分散の仕組みといった「ジョブのオートスケーリング」を実装する必要があります。

セキュリティ対応

新たにクラウド上のジョブを利用するために自身が誰であるか、要求しているジョブに対するアクセス許可をもっているかどうかを確認するために認証情報を指定して利用します。そのため、AWS上のジョブを管理、制御するには、認証情報をジョブ管理システムで安全に管理する仕組みが必要です。

ジョブの監視、強制停止対応

実行時間が長いジョブは、一般的に非同期(突き放し)で実行し、処理時間内に終了しなければ強制停止するなどの仕組みが必要です。例えば、AWS上でAWS BatchやAWS ECSタスクによって時間がかかるジョブを非同期で実行する場合、ジョブの状態を定期的に確認するためのポーリング処理が必要になります。また、時間内に終わらないジョブを停止したいような場合のために、強制終了の仕組みが必要です。

クラウド上でジョブ管理システムを構築する場合は、本章で例に挙げたようなクラウド特有の要素を考慮に入れる必要が出てきます。

2. AWS上のジョブ管理システム構築にむけてソフトウェア導入支援サービスでご支援できること

AWS上でジョブ管理システムを構築する際に留意すべき点を解決する仕組みについては、富士通のソフトウェアであるFujitsu Software Systemwalker Operation Manager(以降Systemwalker Operation Manager)で実装されています。このSystemwalker Operation Managerを活用してお客様の要望に合わせたジョブ管理システムの構築を支援するのが「ソフトウェア導入支援サービス」です。

オートスケーリング制御と動作検証

クラウド上でのジョブのスケーラビリティ対応として、ジョブ管理システムとAWSのオートスケーリング機能を連動させる仕組みの構築と動作検証を支援します。例えば、スケールアウトのイベントが発生した際にジョブ管理システムからWeb APIを使用してジョブを自動的に割り当てるよう事前に設定できます。

オートスケーリング制御のサービス例

図1:オートスケーリング制御のサービス例

AWSサービスの認証管理と動作検証

クラウド上のジョブ制御に必要な認証情報を安全に管理する仕組みの構築と動作検証を支援します。例えば、クラウド上のジョブを制御するために必要となるアクセスキーなどを暗号化してジョブ管理システムで管理、保管させることができます。

定期監視や強制終了含めたジョブ制御と動作検証

クラウド上のジョブの監視や強制停止の仕組みの構築と動作検証を支援します。例えば、監視対象にAWS上のジョブを追加する場合、定期的にAWS上のジョブがアクティブかどうかを確認するためのポーリング処理や強制停止を実現します。

Systemwalker Operation Managerとソフトウェア導入支援サービスをご利用いただくことで、クラウドの仕組みを活用したジョブ管理システムのリリースを最適な方法で迎えることができます。

業務システム構成とサービスの実施例

図2:業務システム構成とサービスの実施例

3. システム開発の工程に沿ったソフトウェア導入支援サービスの流れ

ソフトウェア導入支援サービスでは、システム開発の工程に沿ったサービスが提供されています。はじめての移行でクラウドのノウハウがなく設計から構築まで利用したい場合や、構築の支援だけ利用したい場合など、お客様の要望に合わせて柔軟にご利用いただくことができます。

設計工程

ソフトウェア導入支援サービスの設計では「方式設計」、「詳細設計」があり、お客様の要件を確認し設計を実施します。

  • 方式設計:
    既存システムの設定値や要件を確認したうえで、クラウド環境に対するオートスケーリング制御や監視、強制停止処理、ジョブフロー制御などを設計支援します。
  • 詳細設計:
    方式設計をもとにジョブ管理システムのデザインシート(注1)、検証に利用するテスト仕様書を作成します。
  • 注1

    ジョブ管理ソフトウェアのパラメータの決定や、周辺システムの使用機能の決定、処理手順などを決定した設計のためのシート

導入/構築工程

詳細設計後、デザインシートに沿った、Systemwalker Operation Managerのインストールから、サーバーのオートスケーリング制御の開発支援や、ジョブフローの構築支援、ジョブごとのスケジュール設定、テストまで実施します。

システム開発の工程に沿ったソフトウェア導入支援サービスの流れ

図3:システム開発の工程に沿ったソフトウェア導入支援サービスの流れ

  • 備考
    Amazon Web Services、AWS、AWS Step Functions、Step Functionsは、Amazon.com, Inc. またはその関連会社の商標です。
    記載されている会社名、システム名、製品名、サービス名などの固有名詞は一般に各社の登録商標または商標です。
    また、本文および図表中に記載されている会社名、システム名、製品名、サービス名などには必ずしも「TM」、「®」を付記しておりません。

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