株式会社西京銀行 様
ジョブコントローラをOSSからリプレース
行内情報系システムの安定運用とストレスフリーな環境を実現

山口県周南市に本店を置く西京銀行は、地元のお客様を第一に考えた地域密着型の金融サービスを提供している。その実現のために以前より、仮想化やクラウド化など時代を先取りした環境を必要に応じてスピーディーに取り入れ適用してきた。OSS(オープンソースソフトウェア)による行内の情報共有基盤整備もその一つだが、利用負荷の増大により動作が不安定になったジョブコントローラを「FUJITSU Software Systemwalker Operation Manager」にリプレースし、その可用性を高めることに成功した。
- 課題自動運用システムに障害が頻発。業務全体に悪影響が生じている
- 効果正常なシステム運用により、行員のストレス軽減にも寄与
- 課題障害の早急な解決が難しいOSSシステムの運用に限界
- 効果富士通製品の行内での稼働実績を評価。サポートにも期待
- 課題従来システムの処理や機能を全て移行したい
- 効果製品間の差異を吸収する変換ツールで、必要な要件をクリア
背景
ジョブ管理サーバに障害が頻発
解決に至らずベンダーのサポートに不安
西京銀行では銀行内で共有している顧客データの中から、各部門が必要とするデータを抽出して業務サーバに送るためにジョブ管理サーバが稼働している。このシステムのジョブコントローラとしてOSSベースの製品を使っていたが、処理量が増え、負荷が増大するにつれ、たびたび不具合が発生。夜間バッチが停止し、翌朝までに必要なデータを行員に届けることができないなど、銀行全体の業務運用に支障が出ていた。
「システム連携が複雑なためか、ベンダーに障害対応をお願いしても、障害の切り分けが難しく、たらい回しになっていたようで、早急に解決してもらうことができずに困っていました」と話すのは、同行 システム部 部長の杉村 祥弌氏だ。
「情報系システムは、勘定系システムと比べると必ずしもクリティカルとは言えません。そのため、最初はコスト的な観点からOSSベースの製品を使っていたのですが、徐々に情報系システムの重要度が増していき、バッチ処理が一日止まっただけで行内のユーザーの多くから不満が聞かれるようになりました」と同行 システム部 参事の秋田 聰氏も言う。
何事も限界だと判断したら迅速に次の手を打つというのが、同行システム部の基本姿勢だ。すぐにより高い可用性が期待できる製品へのリプレースを検討することになった。

システム部
部長 杉村 祥弌 氏

システム部
参事 秋田 聰 氏

システム部
主務 福田 哲也 氏
ポイント
行内における稼働実績を評価
必要な要件をクリアし、富士通のサポートにも期待
次期システムとして「FUJITSU Software Systemwalker Operation Manager」(以下、Systemwalker)が第一候補に挙がったのは、次のような理由からである。
「採用条件として重要視したのは、旧システムから全ての処理や機能を移行できること。さらに、ジョブコントローラに起因する障害が発生しないことでした」と、システム導入にあたった西京システムサービス システム部 主務 木村 哲也氏は語る。
行内で調査したところ、Systemwalkerは同行内の他システムで稼働実績があり、問題なく運用できており、担当者から製品・サポート品質ともに高く評価されていた。
「他社製品も調査しましたが、障害が起きた場合のサポートに対する当行内の評価はあまり高くはありませんでした。富士通製品は高価というイメージがありましたが、社内の他のシステムでは安定して動いていましたし、たとえトラブルが発生したとしても最後には何とかしてくれる、という信頼感が採用の決め手になりました」と、秋田氏はそう話す。最大の目的は不安定な旧システムを一刻も早く移行し、早期に正常なシステム運用を実現することである。行内での稼働実績、必要要件のクリア、サポートへの期待を込めてSystemwalkerの導入を決めた。

システム部
グループリーダー 吉永 信彦 氏

システム部
主務 木村 哲也 氏
システムの特長
膨大なジョブ定義を変換するツールを作成
チーム一丸となって移行作業を進める
新しく構築したジョブ管理サーバは、高可用性を重視したフォールト・トレラント構成により冗長化し、仮想マシンに導入したSystemwalkerがジョブを制御している。
移行対象となるジョブは約2,000件。富士通はシステム部にヒアリングしながら、従来システムの定義内容からSystemwalkerとの非互換を調査。ジョブの起動条件の違いを吸収する方法を検討し、移行ツールやテストツールを提供。一部手修正も加えながら、全てのジョブが従来と同じタイミングで起動できるように、新システムに移行を完了した。
移行プロジェクトは、2016年11月に導入決定、12月に開発着手、2017年3月に試行導入を行い、6月末には本番スタートというタイトなスケジュールだった。「テスト中に特に大きな問題は生じませんでした。最初は2度ほどトラブルもありましたが、Systemwalker自体の障害はありませんでした」と、西京銀行 システム部 主務の福田 哲也氏は話す。
導入プロセス全体を総括して、杉村氏は次のように評価する。 「早く対応できた、というのが実感です。当行のシステム部門、西京システムサービス、富士通の現地SE、富士通のSystemwalker開発部門が、密に連携をとって話し合いながらスムーズに作業を進めることができました。それが安心感につながりました」
システムの概要
効果と今後の展望
ジョブ実行状況が把握しやすく、誤操作を起こさない安全設計
行員の働き方改革にもつながる
従来のジョブ管理機能を移行できたというだけでなく、Systemwalkerに置き換えたことによるメリットも少なくない。例えば、前製品では1つのジョブ管理に、テスト用と本番用の2つのモードが混在しており、人為的ミスが起こりやすかった。しかし、Systemwalkerはそうしたミスが生じる可能性を設計段階から排除している。
「ジョブネット図やガントチャートなど、Systemwalkerは管理者にとって必要な情報がきちんと把握できるように設計されていて大変扱いやすいです」と、西京システムサービス システム部 グループリーダーの吉永 信彦氏は、管理者にとってのユーザビリティの向上をポイントに挙げる。
「OSSは、障害対応やバグ修正などに提供ベンダーの協力が得られない場合、行内に対応できるだけの技術力があれば、コスト的には有利ですが、それがない場合の運用は難しい」と、杉村氏は今回のシステムリプレースで得た“教訓”を語る。システムのミッションクリティカル度が高まれば高まるほど、ベンダーの手厚いサポートは不可欠ということだ。
Systemwalker導入後、当然なことではあるが、バッチ処理が止まることはなくなった。情報基盤システムへの行内からの信頼も高まり、バッチ処理数も2016年に比べ20%以上増加。Systemwalkerはそれらを難なく処理している。
「何よりシステムの可用性が高まったことで、行員がストレスなく業務を遂行できるようになったという点が大きい。これは私たちが今、取り組んでいる行員の働き方改革にもつながるものです。システムの保守担当者も夜間バッチが止まって、夜中に呼び出されることがなくなりました。今後は、サイバーセキュリティ領域におけるログ監視などにも活用できればと考えています。ジョブ管理サーバの安定稼働は、結果的に地域のお客様へのサービス向上につながるもの。システム力の強化を通して、地域における当行のプレゼンスを今後も高めていきたい」と、杉村氏は語った。
株式会社西京銀行様と富士通営業
株式会社西京銀行 様
所在地 | 山口県周南市平和通1-10-2 |
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設立 | 1930年 |
代表取締役頭取 | 平岡 英雄 氏 |
従業員数 | 776人(2017年3月31日現在) |
ホームページ | https://www.saikyobank.co.jp/ |
事業概要 | 山口、広島、福岡を商圏にもつ第二地方銀行。地域に不可欠の金融機関として、人間力、サービス力、システム力に定評。システムアウトソーシング、サーバセキュリティ強化、BCM対策などへの取り組みも早い。 |
株式会社西京銀行本店
[2018年4月掲載]
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