学校法人河合塾 様

10年以上前から利用しているPostgreSQLを短期間でスムーズにバージョンアップ
安定したシステム基盤構築・運用を実現し、教育サービス拡充を推進

最新ICT技術を積極的に取り入れ、教育サービスの拡充を進める学校法人河合塾は、外部向けシステムなどにオープンソースソフトウェア(以下、OSS)のPostgreSQLを10年以上前から活用している。しかし、そのバージョンが古く、技術サポートも受けられないため、クラウド利用など新しいシステム環境に適応できないという問題に直面した。そこで、富士通の「Symfoware Server(Postgres)」を導入。富士通のノウハウを基にした移行アセスメントにより、トラブルなくスケジュール内でPostgreSQLをバージョンアップ。システムの安定稼働を継続するとともに、クラウド化を進める準備を整えることができた。

課題
効果
課題新たな教育サービス提供に向けICT基盤を整備したい
効果PostgreSQLのバージョンアップにより、クラウド展開を可能に
課題古くなったOSSをバージョンアップしたいが、自前での対応は難しい
効果OSSのノウハウを持つ富士通のサポートで、スムーズな移行を実現
課題通常業務に加えてOSSのメンテナンス対応を行うのは負担が大きい
効果常に最新情報に追随できる体制を整備し、安定したシステム環境を維持

背景

10年以上前から利用しているPostgreSQLの限界
新規システム構築のためにDBの最新化が求められていた

次世代を担う人材育成を目指して教育サービスを提供している河合塾。しかし、少子高齢化による若年層の減少や大学入試改革など教育を取り巻く社会環境の変化に伴い、新規の教育サービス開発や業務改革が迫られていた。「新しい教育サービスを提供するには、その基盤として、最新ICT技術を取り入れた新規システム構築が必要でした」と河合塾業務改革システム部 部長の土井 康正氏は話す。

河合塾には、生徒・保護者が主に利用するWeb系外部向けシステムと職員が利用する内部向けシステムがあり、Web系外部向けシステムはOSSをベースに地元のSE会社が構築を担当してきた。「2002年から、PostgreSQLを用いて内部向けの業務連絡システムや外部向けのアンケートシステムなどを構築してきた経緯があります」と土井氏は説明する。

PostgreSQLを用いたシステムは約90に上り、導入時期によって10種類ほどのバージョンが混在していた。システムは問題なく稼働していたが、Web系外部向けシステムは、利用の繁忙期、閑散期があるため、クラウド環境に移行しようと検討を始めた。ところが、「例えばクラウド展開をしようとした場合、古いPostgreSQLをクラウド環境でサポートしているバージョンに上げるためには、最大で13年、計11回分のバージョンアップを反映する必要があることがわかりました。しかし、そんな大幅なバージョンアップをするノウハウもなく、技術サポートも受けられず、これではシステム基盤の整備ができないと、途方に暮れていました」と土井氏は当時の課題を振り返る。

学校法人河合塾
業務改革システム部
部長 土井 康正 氏
株式会社ITマネジメントパートナーズ
河合塾事業部
開発部長 内田 秀和 氏

ポイント

富士通のPostgreSQLへの取り組みやサポート体制を評価

PostgreSQL利用の限界を感じていたそのとき、富士通にPostgreSQLベースのデータベース製品があり、稼働後のサポートに加えて、移行アセスメントサービスも充実していることを知った。

早速、富士通の移行アセスメントを受けた結果、想像以上に短期間で移行できることがわかった。「自分たちで移行作業を行う場合、602本すべてのSQLを対象に、非互換の有無と最大11回分のバージョンアップ方法を確認する必要がありました。しかし、富士通の移行アセスメントを受けた結果、修正が必要なSQLはたった21本だけだということがすぐにわかり、そのスピーディーな対応と調査力に驚きました」と土井氏は語る。

OSSのPostgreSQLは、コスト削減や世界中の技術者が参加するコミュニティーで開発された技術を活用できるといったメリットがあるものの、周辺ツール(OSS)との組み合わせの整合性の確保や障害の切り分け、コミュニティーへの問い合わせは自ら行う必要がある。一方、PostgreSQLをベースとするデータベースでありながら、稼働後のサポートも受けられるSymfoware Server(Postgres)について、河合塾のシステムを担当するITマネジメントパートナーズ 河合塾事業部 開発部長の内田 秀和氏も「移行時だけでなく、今後何か問題やわからないことが発生した場合も富士通にサポートしてもらえるのは心強いですね」と製品採用のメリットを語る。

システムの特長

富士通の技術サポートやアセスメントの情報に基づきスムーズに移行

OSSベースの外部向けシステムのうち、第1弾としてアンケートシステムをSymfoware Server(Postgres)へ移行。移行に必要なプログラムの改修は、ITマネジメントパートナーズを中心に実施している。「移行アセスメントにより非互換に関する情報など、修正が必要なプログラムの情報を、短期間で漏れなくいただけたので、それを基に改修や移行テストをスムーズに行うことができました。自力でのメンテナンス作業は難しそうだと感じていましたが、PostgreSQLのノウハウを持つ富士通のサポートを受けられたことで、スケジュール内でトラブルなくスムーズに移行作業を行うことができました」と内田氏は富士通のサポート体制を評価する。「今後、最新パッチの適用などPostgreSQLのメンテナンスが必要になっても、富士通のサポートを受けられるという安心感があります」。

システムの概要

効果と今後の展望

OSSの最新情報のキャッチアップは富士通に任せ最新技術を活用した教育サービスに注力

2017年3月からSymfoware Server(Postgres)をベースにするアンケートシステムの稼働を開始し、残りのOSSのシステムも、これから順次移行していく予定だ。「河合塾のコアビジネスは教育サービスです。OSSの最新情報のキャッチアップは富士通に任せることで、AIやIoTなどの最新技術を活用した教育サービスに注力することができています」と土井氏は効果を話す。続けて、「受験シーズンは利用者が一気に増えたりしてシステムの利用状況に波があるので、リソースを柔軟に増減できるクラウドサービスの利用を考えています」と述べ、オンプレミスとクラウドの組み合わせなど、柔軟にシステムを検討していく意向を示した。

システムの稼働状況については「アンケートの作成や集計、回答など、ユーザーの操作性は以前と変わらず、システムも安定稼働しています」と内田氏は評価する。アンケートシステムでは生徒の個人情報も扱っており、個人情報は別のDBで管理するなどセキュリティ対策を徹底してきたが、Symfoware Server(Postgres)にもセキュリティ機能(透過的データ暗号化、監査ログなど)が備わっており、システムを安全に利用する ことができている。

また、PostgreSQLのバージョンアップに伴いサーバ機器やOSを最新化したことで、「従来と比べてデータのバックアップにかかる時間が25分の1に短縮されました。データ復旧が必要な場合にも大幅な時間短縮が可能になり、業務の効率化を図ることができます」と内田氏は期待する。

教育サービスの新しい価値創造を進めている河合塾にとって、今回のICT環境整備は、職員や生徒・保護者に対しての付加価値提供の一端にすぎない。これからも河合塾は生徒の学力向上や塾内の業務改善などに向け、AIなど最先端ICT技術を活用した革新的なシステムを通じ、さらなる教育サービスの拡充を推進していく考えだ。

学校法人河合塾様と富士通営業

学校法人河合塾 様

所在地 愛知県名古屋市千種区今池2-1-10
設立 1955年(1933年創設)
理事長 河合 弘登
従業員数 教員1422人、職員1251人、理事12人)
ホームページ https://www.kawai-juku.ac.jp/
事業概要 学校法人河合塾は、河合塾グループの一員として、“私たちは「自らを求め、学びつづける人」を支援し、一人ひとりの未来に貢献します。”という使命の下、教育事業、教育活動支援事業、教育の研究・開発活動に携わっている。

[2018年1月掲載]

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