SPARC/Solaris 探検隊
第20回:Oracle Solaris 11.4登場!!
2019年5月8日
SPARC M12/M10のプレインストールOSがOracle Solaris 11.4に変更となりました。
そこで、今回はOracle Solaris 11.4を2つのシチュエーションでインストールしてみたいと思います。
ひとつは新規インストール。もうひとつは既存のOracle Solaris 11.1からのアップデートです。
Solaris 11.4の新規インストール
まず、最新のSPARCサーバであるSPARC M12-1にOracle Solaris 11.4をインストールしてみます。
ここでは、手元のサーバで試すため、Oracle VM Server for SPARCというSolaris標準の仮想化機能を使用して作成した仮想マシン(ゲストドメイン)にOracle Solaris 11.4をインストールします。
![](/jp/imagesgig5/image_02_tcm102-4341743_tcm102-4850914-32.png)
Oracle VM Server for SPARCについては、以下を参照してください。
ゲストドメインへのSolaris 11.4のインストール
ゲストドメインにOracle Solaris 11.4をインストールする方法は、3つあります。
- ISOイメージによるインストール
- DVDメディアによるインストール
- インストールサーバによるネットワークインストール
ここでは、ISOイメージを使ってインストールしてみたいと思います。
ISOイメージによるインストールでは、物理サーバ(制御ドメイン)に用意したOracle Solaris 11.4テキストインストーラ(.isoファイル)を仮想ディスクとしてゲストドメインに割り当ててOracle Solaris 11.4をインストールします。
![](/jp/imagesgig5/image_03_tcm102-4341753_tcm102-4850914-32.png)
それでは、実際にインストールしてみます。
はじめに、制御ドメインからゲストドメインに接続します。
ここでは、ゲストドメインのポート5000番を指定して接続します。
![](/jp/imagesgig5/image_04_tcm102-4341754_tcm102-4850914-32.png)
次に、ISOイメージがデバイスとして認識されていることを確認します。
![](/jp/imagesgig5/image_05_tcm102-4341755_tcm102-4850914-32.png)
デバイスを確認できたら、ISOイメージを起動し、インストール作業を開始します。
![](/jp/imagesgig5/image_06_tcm102-4341756_tcm102-4850914-32.png)
![](/jp/imagesgig5/image_30_tcm102-4341790_tcm102-4850914-32.png)
実際のインストール作業は対話形式で進めていきます。インストール作業中に設定する項目は、Oracle Solaris 11.3までと同じです。
![](/jp/imagesgig5/image_07_tcm102-4341757_tcm102-4850914-32.png)
![](/jp/imagesgig5/image_29_tcm102-4341789_tcm102-4850914-32.png)
インストールが完了したらシステムを再起動してOSの版数を確認します。
![](/jp/imagesgig5/image_08_tcm102-4341758_tcm102-4850914-32.png)
ゲストドメインにOracle Solaris 11.4がインストールされました!
Solaris 11.4にSRUを適用
ここでは、SRU適用済みのローカルリポジトリを参照して、ゲストドメインのOracle Solaris 11.4にSRUを適用します。ローカルリポジトリは、制御ドメインに作成されていることとします。
ワンポイント
IPS(Image Package System)とSRU(Support Repository Update)
Oracle Solaris 11は、OS環境をパッケージ単位で管理して、インストール、更新、および削除できるIPS(Image Package System)を採用しています。IPSによって、パッケージの複雑な依存関係が自動的に判断され、導入や運用管理に費やすコストを削減できます。また、Oracle Solaris 11では、SRU(Support Repository Update)という修正パッケージの集合体を適用してパッケージを入れ替える方法も採っています。
ローカルリポジトリへのSRU適用
Solarisのパッケージは、ネットワークでつながった「リポジトリサーバ」というサーバに用意されています。リポジトリサーバはOracle社がインターネット上に公開している「リリースリポジトリ」と、ユーザーが独自に構築した「ローカルリポジトリ」のどちらかまたは両方を使うことができます。
ローカルリポジトリは、リリースリポジトリの複製のようなもので、インターネットに接続できないサーバに対してパッケージを提供できます。ローカルリポジトリにSRUを適用しておくと、そのローカルリポジトリを参照してSRUを適用することができます。
![](/jp/imagesgig5/image_09_tcm102-4341759_tcm102-4850914-32.png)
ローカルリポジトリの作成およびSRUの適用方法については以下を参照してください。
- 「4. ローカルリポジトリの作成と登録」
- 「6. 修正パッケージ(SRU)の適用」
まず、ゲストドメインで、参照先のローカルリポジトリを登録します。
![](/jp/imagesgig5/image_10_tcm102-4341760_tcm102-4850914-32.png)
次に、ゲストドメインにSRUを適用します。
ここでは、新たにBE(Boot Environment)を作成し、そのBEに対してSRUを適用します。
ワンポイント
BEは、パッケージや様々な設定などが異なるOS環境を保存しておける画期的な機能です。
通常のOS環境と同様の操作でSRUを適用することができ、SRU適用前の環境に簡単に戻すことができます。
![](/jp/imagesgig5/image_11_tcm102-4341761_tcm102-4850914-32.png)
BEにSRUを適用したら、システムを再起動します。
![](/jp/imagesgig5/image_12_tcm102-4341762_tcm102-4850914-32.png)
OSの版数を確認してみましょう。
![](/jp/imagesgig5/image_13_tcm102-4341769_tcm102-4850914-32.png)
それまでの「Oracle Solaris 11.4.0.0.1.15.0」が「Oracle Solaris 11.4.6.4.0」に変わっています。
ここまでの作業で、Oracle Solaris 11.4の新規インストールとSRUの適用が完了しました。
Solaris 11.4へのアップデート
次に、既存のOSをOracle Solaris 11.4へアップデートしたいと思います。
ちょうど手元にSPARC M10-1があり、Oracle Solaris 11.1でゲストドメインが作られています。このゲストドメインを、Oracle Solaris 11.4にアップデートしてみましょう。
先ほど新規インストールで使用したローカルリポジトリを参照してアップデートしてみます。
![](/jp/imagesgig5/image_14_tcm102-4341770_tcm102-4850914-32.png)
Solaris 11.1からSolaris 11.4にアップデート
制御ドメインからゲストドメインにコンソール接続し、現在のOS版数を確認します。
![](/jp/imagesgig5/image_15_tcm102-4341771_tcm102-4850914-32.png)
現在の版数は「11.1 SRU18(SRU14041)」になっています。
ローカルリポジトリを参照してアップデートしてみます。
![](/jp/imagesgig5/image_16_tcm102-4341772_tcm102-4850914-32.png)
![](/jp/imagesgig5/image_17_tcm102-4341773_tcm102-4850914-32.png)
パッケージをアップデートできないというメッセージが表示され、アップデートに失敗しました。
Oracle社のマニュアルを見てみると、Oracle Solaris 11.3 SRU 23(SRU17081)未満の場合は、SRU 23(SRU17081)以降にアップデートしておく必要があることがわかりました。
Solaris 11.1からSolaris 11.3にアップデート
というわけで、まずはOracle Solaris 11.3にアップデートします。
ここでは、手元のSPARC M10-1の制御ドメインにOracle Solaris 11.3のローカルリポジトリを作成し、Oracle Solaris 11.3のSRU 26(SRU17111)を適用します。このローカルリポジトリを参照して、ゲストドメインのOSをOracle Solaris 11.3にアップデートします。
![](/jp/imagesgig5/image_18_tcm102-4341774_tcm102-4850914-32.png)
まず、ローカルリポジトリの参照先を、SPARC M10-1の制御ドメイン上の11.3リポジトリに変更します。
![](/jp/imagesgig5/image_19_tcm102-4341775_tcm102-4850914-32.png)
次に、新規インストール時と同様に新たにBEを作成し、そのBEに対してSRUを適用します。
![](/jp/imagesgig5/image_20_tcm102-4341776_tcm102-4850914-32.png)
そして、SRUを適用したら、システムを再起動します。
![](/jp/imagesgig5/image_21_tcm102-4341777_tcm102-4850914-32.png)
OSの版数を確認してみましょう。
![](/jp/imagesgig5/image_22_tcm102-4341778_tcm102-4850914-32.png)
SRU23(SRU17081)以降にアップデートできました。
Solaris 11.3からSolaris 11.4にアップデート
SRU23(SRU17081)以降になりましたので、Oracle Solaris 11.4にアップデートしてみましょう。
アップデートの手順は、Oracle Solaris 11.1から11.3へのアップデートと同じです。
SPARC M12-1の制御ドメイン上のローカルリポジトリを参照して、ゲストドメインのOSをアップデートします。
![](/jp/imagesgig5/image_23_tcm102-4341779_tcm102-4850914-32.png)
ローカルリポジトリの参照先を、SPARC M12-1の制御ドメイン上の11.4リポジトリに変更してアップデートします。
![](/jp/imagesgig5/image_24_tcm102-4341780_tcm102-4850914-32.png)
今度は、エラーメッセージは表示されません!
続けて、システムを再起動します。
![](/jp/imagesgig5/image_25_tcm102-4341785_tcm102-4850914-32.png)
OSの版数を確認します。
![](/jp/imagesgig5/image_26_tcm102-4341786_tcm102-4850914-32.png)
![](/jp/imagesgig5/image_27_tcm102-4341787_tcm102-4850914-32.png)
Oracle Solaris 11.4にアップデートできました!
今回のように既存のSolaris 11環境をOracle Solaris 11.4にアップデートする場合は、まずOracle Solaris 11.3のSRU23(SRU17081)以降にアップデートしておく必要がある点に注意してください。
![](/jp/imagesgig5/image_28_tcm102-4341788_tcm102-4850914-32.png)
今回は、Oracle Solarisの最新版となるOracle Solaris 11.4をインストールしてみました。インストール方法は、Oracle Solaris 11.3と同じなので、問題なく実施できると思います。なお、アップデートする場合は、既存環境のOSやSRUの版数に注意しましょう。
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