SPARC/Solaris 探検隊
第12回:DVDドライブを使いこなそう!
2014年3月11日
SPARC M10-1はUSBポートを使用してDVDドライブをつなぐことにより、OS(Oracle Solaris)をインストールして、Solarisを起動させることができます。
それではSPARC M10-1に、「DVDドライブ」をつないでみましょう。
DVDドライブの接続
DVDドライブとDVDメディアを準備!
まずは、SPARC M10-1につなぐDVDドライブとDVDのメディアを用意します。
今回は、Solaris 11.1(SPARC版)のインストーラDVDを用意しました。
SPARC M10-1に接続!
早速、SPARC M10-1にDVDドライブをつないで、Solaris 11.1のDVDメディアを挿入してみましょう。
ここでは事前にSPARC M10-1を停止(電源断)した状態で、DVDドライブを接続します。
SPARC M10-1には筐体の前面と背面にUSBポートが1つずつ、計2つあるのですが、今回は前面のポートを使って接続しました。
Solarisの起動&インストール!
SPARC M10を起動!
DVDドライブを接続したら、前回と同じようにXSCFでSPARC M10を起動してみましょう。
XSCF##morethan## poweron -p0
PPAR-IDs to power on :00
Continue? [y|n] :y
00 : Powering on
*Note*
This command only issues the instruction to power-on.
The result of the instruction can be checked by the "showpparprogress".
次に、サーバ本体へコンソール接続してみましょう。
起動が完了していれば、okプロンプトが表示されます。
XSCF##morethan## console -p0
Console contents may be logged.
Connect to PPAR-ID 0?[y|n] :y
{0} ok
ここで、okプロンプトとOBPについて、簡単に説明しておきます。
コンピュータを使用するためには、サーバ本体(ハードウェア)の起動だけでなく、OS(ソフトウェア)も起動させる必要があることを以前お話しましたね。
つまり、下のような進め方でサーバを操作する必要があります。
① 電源ケーブルをつなぐ!
② サーバ本体を起動させる!
③ OSを起動させる!
XSCFのpoweronコマンドは上記の②にあたる操作ですね。
poweronコマンドによって、本体内部にたくさん電気が流れたり、ファンが高速で回転したりして、サーバ本体の起動が始まります。
サーバ本体の起動が完了したら、コンソール画面には"ok"と書かれたプロンプト(コマンド入力の受付記号)が表示されます。
この環境はパソコンのBIOSに似たようなもので、OBP(Open Boot Prom)と呼ばれます。
OBPではOS起動前の準備として、Solarisがインストールされているディスクの選択や、周辺機器の情報の確認など、BIOSと同じようなことができるのです。
okプロンプトが表示されている状態で"boot"とコマンドを入力すると、③のOSの起動を実行することができます。
DVDでSolarisを起動!
それでは、OBP環境からDVDメディアを使って、Solarisを起動させてみましょう。
その前に、SPARC M10-1が認識しているデバイスを、show-devsコマンドで確認します。
{0} ok show-devs
/pci-performance-counters@8100
/pci-performance-counters@8000
/pci@8100
~(省略)~
/pci@8000/pci@4/pci@0/pci@2/pci@0
/pci@8000/pci@4/pci@0/pci@2/pci@0/usb@4,1
/pci@8000/pci@4/pci@0/pci@2/pci@0/usb@4
/pci@8000/pci@4/pci@0/pci@2/pci@0/usb@4,1/cdrom@2
/pci@8000/pci@4/pci@0/pci@2/pci@0/usb@4,1/cdrom@2/disk
~(省略)~
正しくDVDドライブ・DVDメディアが認識されていれば、赤字で示したようなデバイスパスが表示されます。
bootコマンドを使用してSolarisを起動させますが、DVDメディアから起動させる場合は、cdromオプションを指定します。
{0} ok boot cdrom
Boot device: /pci@8000/pci@4/pci@0/pci@2/pci@0/usb@4,1/cdrom@2/disk@0 File and args:
NOTICE: skipping unsupported token: fjorclnum
SunOS Release 5.11 Version 11.1 64-bit
Copyright (c) 1983, 2012, Oracle and/or its affiliates. All rights reserved.
Remounting root read/write
~(省略)~
数分待つとDVDブートが完了し、キーボードや言語の選択画面が表示されます。
その後、以下のようなインストール画面が表示されます。
この後は対話形式によって、IPアドレスやホスト名・時刻などの設定をして、Solarisをインストールすることができます。
ここではそれらの操作は省略しますが、興味がある方は以下のシミュレータにアクセスしてみてください。なんとWeb上でSolarisのインストールを体験することができます!
Solaris 11でDVDを使おう
自動でマウント!
ここからはSolaris 11におけるDVDの使い方をお話していきます。
ほとんどの場合、Solarisは自動でDVDをマウントしてくれます。df(1M)コマンドでマウントの情報を確認してみましょう。
# df -h
Filesystem Size Used Available Capacity Mounted on
rpool/ROOT/solaris 547G 4.7G 498G 1% /
/devices 0K 0K 0K 0% /devices
/dev 0K 0K 0K 0% /dev
rpool 547G 73K 498G 1% /rpool
~(省略)~
/dev/dsk/c8t0d0s2 678M 678M 0K 100% /media/Oracle_Solaris-11_1-Text-SPARC
# ls /media/Oracle_Solaris-11_1-Text-SPARC
bin home reconfigure system
boot jack root tmp
dev mnt sbin
devices platform solaris.zlib
export proc solarismisc.zlib
"/media"ディレクトリに、Solaris 11.1のDVDが自動マウントされていますね。
Solaris 10以前は"/cdrom" ディレクトリに自動マウントされていましたが、Solaris 11で"/media"に変更されました。
しかし、/cdromが使えなくなったわけではありません。
# ls -l /cdrom/
total 4
lrwxrwxrwx 1 root root 32 Feb 25 11:35 cdrom0 -##morethan## ./oracle_solaris-11_1-text-sparc
drwxr-xr-x 2 root root 3 Feb 25 11:35 oracle_solaris-11_1-text-sparc
# ls -l /cdrom/oracle_solaris-11_1-text-sparc/
total 1
lrwxrwxrwx 1 root root 37 Feb 25 11:35 s2 -##morethan## /media/Oracle_Solaris-11_1-Text-SPARC
/cdromの配下に、/mediaのシンボリックリンクが作成されているため、/cdromからもDVDの中身を見ることができます。
ちなみに、Solaris 11におけるDVDやCD,USBメモリなどの自動マウントは、"rmvolmgr"というサービスが行っています。Solaris 10で同様の処理を実行していた、voldデーモンは廃止されています。
# svcs rmvolmgr
STATE STIME FMRI
online 18:15:59 svc:/system/filesystem/rmvolmgr:default
手動でマウント!
Solarisをシングルユーザモードで起動したときなど、rmvolmgrサービスが動作していない時は、自分でDVDをマウントする必要があります。早速やってみましょう。
まずは、DVDメディアのデバイスファイル(/dev/dsk/c*d*t*s0)を確認します。
# iostat -En
c0t5000039498005784d0 Soft Errors: 0 Hard Errors: 0 Transport Errors: 0
Vendor: TOSHIBA Product: MBF2600RC Revision: 3706 Serial No: EA25PD200B4N
Size: 600.13GB ##lessthan##600127266816 bytes##morethan##
~(省略)~
c8t0d0 Soft Errors: 0 Hard Errors: 0 Transport Errors: 0
Vendor: Optiarc Product: DVD RW AD-7760H Revision: 1.U0 Serial No:
Size: 0.71GB ##lessthan##711372800 bytes##morethan##
Media Error: 0 Device Not Ready: 0 No Device: 0 Recoverable: 0
Illegal Request: 0 Predictive Failure Analysis: 0
デバイスファイルの確認には、/devices 配下のファイルを確認したり、cdrw(1M)コマンドを実行するなどの方法もありますが、ここではiostat(1M)コマンドを使用してみました。
それではマウントしてみましょう。自動マウントと同様に、/mediaをマウント先のディレクトリに指定します。
# mount -F hsfs /dev/dsk/c8t0d0s0 /media
# ls /media
bin home reconfigure system
boot jack root tmp
dev mnt sbin
devices platform solaris.zlib
export proc solarismisc.zlib
マウントができました。この辺りの操作はSolaris 10と変わっていないので、ご存知の方も多いかもしれませんね。
Solaris起動中のDVDドライブ取り付け&取り外し
SPARC M10は電源断の状態だけでなく、Solarisが起動しているときも、DVDドライブを取り付ける・取り外すことができます。
取り付ける場合は、特別な操作は必要ありません。
リムーバブルメディアを管理しているサービス"hal"が起動していれば、DVDドライブを接続するだけですぐにDVDが認識され、自動マウントも実行されます。
# svcs hal
STATE STIME FMRI
online 17:58:51 svc:/system/hal:default
しかし、取り外す場合は少しだけ注意が必要です。
今からDVDドライブを取り外してみましょう。
まずは、ejectコマンドでDVDメディアをDVDドライブから取り外します。
# eject cdrom
cdrom /dev/dsk/c8t0d0s2 ejected
次に、halを停止させます。
# svcadm disable hal
# svcs hal
STATE STIME FMRI
disabled 18:18:25 svc:/system/hal:default
今度はcfgadm(1M)コマンドを使用して、Solarisからデバイスの切り離しを行います。
まずはUSBポートに接続したデバイスを確認してみます。
# cfgadm -al
Ap_Id Type Receptacle Occupant Condition
c2 scsi-sas connected configured unknown
c2::es/ses0 ESI connected configured unknown
c2::smp/expd0 smp connected configured unknown
c2::w5000039498005786,0 disk-path connected configured unknown
c2::w50000394980055ea,0 disk-path connected configured unknown
c3 scsi-sas connected unconfigured unknown
usb0/1 unknown empty unconfigured ok
usb0/2 unknown empty unconfigured ok
usb0/3 unknown empty unconfigured ok
usb1/1 unknown empty unconfigured ok
usb1/2 usb-cdrom connected configured ok
usb1/3 unknown empty unconfigured ok
"usb1/2"のTypeの項目に"usb-cdrom"と表示されていますね。
今からこのデバイスを切り離します。
# cfgadm -c unconfigure usb1/2
Unconfigure the device: /devices/pci@8000/pci@4/pci@0/pci@2/pci@0/usb@4,1:2
This operation will suspend activity on the USB device
Continue (yes/no)? yes
# cfgadm -al | grep usb1/2
usb1/2 usb-cdrom connected unconfigured ok
左から4番目のOccupantの表示が"configured"から"unconfigured"に変わっていれば、OKです!これでSPARC M10本体からUSBケーブルを抜いて、DVDドライブを取り外しましょう。
DVDドライブを取り外した後は、halを元通り起動しておきます。
# svcadm enable hal
これで取り外しが終わりました。
いかがでしょうか。
これだけ覚えれば、SPARC M10でラクラクDVDドライブを使えます!
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