伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 様
1万5千人規模の大規模インフラ基盤の運用を効率化するためNutanixの先進性と富士通の信頼性が融合したHCI環境を導入
「従来のシステム基盤は、規模が大きいためサーバやストレージの台数が多く、構築や保守管理の手間をいかに軽減するかが課題となっていました。その点、HCIはSDS(Software Defined Storage)技術によって、サーバのみのシンプルな仮想化基盤を実現するため、管理するのがサーバだけという単純さが大きな魅力でした」。
浅沼 宏紀 氏
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
情報システム室 情報システム部 インフラシステム課 課長
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社様は、1972年創立のICT総合企業です。グループ会社も含め1万5千人が利用する、大規模な社内システム基盤の運用管理を効率化するため、NutanixのHCIソフトウェアを富士通サーバPRIMERGYに搭載した「Nutanix Enterprise Cloud on PRIMERGY」を導入。HCIの強みであるサーバのみのシンプルな構成によって、運用管理の負荷軽減はもちろん、省スペース化や省電力化など、様々なメリットを実感されており、今後クラウドとのハイブリッド運用にも期待されています。
- 課題グループ企業も含めた大規模なシステム基盤を集約したい。
- 効果HCIならではのシンプルな構成により、システム基盤の運用管理を効率化。
- 課題システム基盤の運用管理者の負担を軽減したい。
- 効果使い勝手の良い管理ツール「Prism」により、誰もが容易に管理可能。また、ハードもソフトも全て一括した保守により運用管理の負担減。
- 課題将来のハイブリッド運用を見据えたシステム運用にしたい。
- 効果自動マイグレーションツール「MOVE」でクラウド/オンプレミス間のシステム移行が容易。
導入の背景
国内有数のICTサービス企業において、グループ1万5千人が利用するインフラを支える
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社様は、1972年創立という歴史を持つ国内有数のICTサービス企業です。
略称として知られる「CTC」は、スローガンに掲げる「Challenging Tomorrow's Changes」の頭文字を取ったもので、「明日を変えるITの可能性に挑み、夢のある豊かな社会の実現に貢献する」ことを使命としています。
同社においてICTインフラの構築・運用を担う情報システム室 情報システム部 インフラシステム課の浅沼 宏紀 課長は、自身の役割をこう語ります。「私たちの担当領域は、CTC本体のシステム基盤だけでなく、CTCグループ全体にわたり、基幹系から情報系、日々の業務処理に用いられるシンクライアントまで、あらゆるシステムを対象に、インフラ企画から構築・運用までを包括的に担っています。そのユーザー数は、海外拠点も含めて1万5千人規模という膨大なもので、その一人ひとりに使いやすい環境を、より効率的に構築・運用することで、グループ全体の競争力や価値創造力を根底から支えているとの責任を常に意識しています」。
導入のポイント
大規模な基幹システムの運用効率化を目指してHCIに着目
浅沼氏をはじめとしたインフラシステム課では、よりよいICT環境を追求すべく、システム更新時期に関わりなく、常に国内外の先進技術の情報収集に努めています。「当社の強みの一つに、海外の最先端技術をいち早く取り入れ、日本企業の課題に応じたソリューションとして提供する、という点があります。これは私たちインフラ部門も同様で、日頃からグローバルにアンテナを張り巡らせ、様々な先端技術を比較検討した上で導入するよう努めています。そうした取り組みの中で、次代のシステム基盤を実現する技術として注目したのがNutanixのHCIでした」と浅沼氏は語ります。
「従来のシステム基盤はオンプレミスで構築したサーバ群を仮想化し、シンクライアントシステムとして各ユーザーに提供していましたが、規模が大きいためサーバやストレージの台数が多く、メモリやファン、ハードディスクなど消耗品の交換だけでも多大な手間を要するなど、構築や保守管理の手間をいかに軽減するかが課題となっていました。その点、HCIはSDS(Software Defined Storage)技術によって、サーバのみのシンプルな仮想化基盤を実現するため、管理するのがサーバだけという単純さが大きな魅力でした」と、浅沼氏はHCIに注目した理由を説明します。
実際にNutanix製品に触れる機会を得て、そのメリットを実感
同社がHCIを導入するきっかけとなったのは、既存のシステム基盤の更新時期が近づきつつある2018年のことでした。「Nutanix本社に訪問させていただいたのですが、急な連絡にもかかわらずデモを含めた製品紹介など丁寧に対応いただけました。そうした姿勢に好感を持ったのはもちろん、実際にデモ機を間近で見て、シンプルな構造をはじめとするHCIのメリットを体感できる貴重な機会となりました」と浅沼氏は振り返ります。
この時、同行していたインフラシステム課の主任、長井 健太氏は、実際にHCIを操作して感じたメリットとして“運用管理の容易性”を挙げます。「Nutanixが提供するHCIソリューションの大きな特徴に、Webベースの管理ツール「Prism」があります。サーバから仮想マシンまで、日常的な管理に必要な各階層の稼働状況がダッシュボード上に可視化されるため、誰でも容易に管理できるとの期待感を持ちました」。
こうした体験を通じてHCIのメリットを理解していたことから、2020年に、CTCは迷うことなくNutanixのHCI導入を決意したのです。
導入のプロセス
Nutanixソフトと富士通ハードの理想的な組み合わせ
実際の導入にあたっては、HCIを制御するためのソフトウェア「AOS」と管理ツール「Prism」を搭載する、ハードウェアを選定する必要がありました。同OSは、Nutanix製品も含めて、複数のベンダーのサーバに搭載可能ですが、CTCが選んだのは富士通のPCサーバPRIMERGYを用いた「Nutanix Enterprise Cloud on PRIMERGY」(以下「Nutanix on PRIMERGY」)でした。その理由を、浅沼氏は次のように説明します。
「当社では、以前から海外大手ベンダーのサーバに加えてPRIMERGYも導入しており、その信頼性を高く評価していました。サーバそのものの故障が少ないことに加え、日本企業が国内で製造するだけあって、万一の際にもタイムリーに対応いただけるのが魅力でした。長期にわたって安心して使いたいという立場では、Nutanix×富士通のシナジーは理想的な選択だったと言えるでしょう」。
長井氏も、実際に管理運用を担う立場から、富士通製サーバを選択した意図を語ります。「国内ベンダーを選んだ大きな理由は、トラブルや日常的なメンテナンスの際に、こちらの意図を正確に汲んでもらえること。もちろん、近年では海外ベンダーの担当者も日本語で対応いただけますが、やはりネイティブではない分だけ、こちらの意図や課題がうまく伝わらないというストレスが少なからずありました。その点、富士通の担当者には、その企業姿勢もあって“痒いところに手が届く”対応が期待できます。また、一般的にハードウェアとソフトウェアを別々のベンダーから購入すると保守の窓口が分かれてしまい、障害時の調査に時間を要することもあります。その点、Nutanix on PRIMERGYの場合はハードの保守もHCIソフトの保守も一括して富士通に対応してもらえるので、安心して導入できました」。
導入のメリット
仮想化基盤を短期間でスムーズに導入
Nutanix on PRIMERGYは、富士通の国内工場でサーバにHCIソフトウェアなどをプレインストールして出荷しています。加えて、構築を担ったCTCテクノロジーの高い構築スキルや富士通との連携によって、約1か月という短期間で構築完了しました。
「構築の間は、こちらは定期的な報告を受けるのみで、非常にスムーズに導入できたという印象でした」と長井氏は評価します。
「現在は、既存のサーバ群から順次、各種システムをHCI環境に移行しつつありますが、移行が進むに連れて省スペース化が進んでおり、HCIの魅力であるシンプルさが目に見えて感じられます。ハードの台数が少なくなることで、スペースだけでなく消費電力も低減できるものと期待しています」(長井氏)。
優れた操作性が運用スタッフの負荷を大幅に低減
ハード面でのシンプルさに加えて、期待していた運用管理面でも大きな成果を感じていると長井氏は語ります。「サーバやストレージなどを個別に管理していた既存インフラに比べて、サーバのみで構築されるHCIの運用管理は実にシンプル。データのバックアップを取る際も、従来はサーバとストレージを同期させるなどの調整が大変でしたが、HCIではサーバとストレージが一体化しているので非常にスムーズです」。
加えて、管理ツール「Prism」の直観的で使いやすいUIに、日々の業務はもちろん、運用管理スタッフの配置・育成面でもメリットを感じています。「サーバ仮想化などの専門知識が少ない若手スタッフでも容易に運用管理できるため、教育の手間を省けるとともに、業務の属人性を排して、より効率的な人材活用が可能になります」(長井氏)。
今後の展開
クラウドとのハイブリッド運用を視野に入れて
CTCがインフラ基盤にHCIを選ぶにあたっては、現時点での課題を解決するだけではなく、将来的な展開をも見据えていました。「HCIは、新たなサーバを追加するだけでCPUやストレージ容量を増やすことができ、クラウドに匹敵する拡張性をオンプレミスで確保できるメリットがあります。また、今後はオンプレミスとクラウドを目的に応じて使い分けるハイブリッド運用が重要になりますが、そうした際にもHCIが有効だと考えています」と浅沼氏は語ります。
「NutanixのHCIに注目した理由の一つに、システム移行がワンクリックで可能な自動マイグレーションツール「MOVE」の存在がありました。これを利用することで、オンプレミスのHCIからクラウド、クラウドからHCIへのシステム移行がスムーズに実現でき、環境変化に応じた柔軟な使い分けが可能になると期待しています」(浅沼氏)。
クラウドとのハイブリッド運用を始め、今後も社内システム基盤のより高度な運用を追求する上で、CTCは富士通のサポートに期待していると言います。「当社は常に最先端の技術情報を求めていますので、富士通には今回のプロジェクト終了後も、引き続き定期的なミーティングを持つなど、タイムリーな情報提供の機会があると嬉しいですね」(浅沼氏)。
こうした期待に応えるべく、富士通は今後もグローバルな規模で最先端技術の導入に努め、きめ細かな情報発信や付加価値の高いソリューション提案を通じて、CTCはもちろん、同社の顧客も含めた日本企業全体の競争力強化に貢献していく考えです。
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(略称CTC)
所在地 | 東京都千代田区霞が関3-2-5 霞が関ビル |
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代表者 | 代表取締役社長 柘植 一郎 |
創立 | 1972年4月 |
従業員数 | 単体4,419名、CTCグループ9,085名(2020年4月1日現在) |
事業内容 | コンピュータ・ネットワークシステムの販売・保守、ソフトウェア受託開発、情報処理サービス、科学・工学系情報サービス、サポート、その他 |
ホームページ | https://www.ctc-g.co.jp/ |
[2020年9月掲載]
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