会津若松市 様

先進のHCIソリューションを富士通サーバに搭載した「Nutanix Enterprise Cloud on PRIMERGY」で、シンプルな仮想化基盤を構築

会津若松市様

日々の管理が一元化されたのはもちろん、そもそもシンプルな構成ゆえに稼働の安定性が高いので、管理ツールをチェックする頻度も減っており、運用管理の負担は大幅に軽減できました。

会津若松市 企画政策部 情報統計課主査 栗城 健太 氏

会津若松市様は、市内データセンターに構築した仮想化環境を更新するにあたり、サーバのみのシンプルな構成を持つHCIを検討。最先端のソリューションを確実・迅速に導入できるよう、富士通サーバPRIMERGYにNutanix社のHCIソフトウェアを搭載した「Nutanix Enterprise Cloud on PRIMERGY」を選択しました。結果として、運用管理の負荷軽減はもちろん費用対効果の向上にもつながり、将来的な拡張にも柔軟に対応できる環境を整備できました。

課題
効果
課題アップデート作業の調整など運用管理に時間と労力がかかる。
効果HCIならではのシンプルな構成と、使い勝手の良い管理ツール、ハード/ソフト一括したサポートにより運用管理の負担を軽減。
課題IT投資の予算が限られている。
効果ストレージハードの冗長化ではなく、SDSで冗長性を実現し、サーバの効率的な運用と合わせて、トータルコストを削減。
課題ICT化の推進により、将来的にデータ量の急増が見込まれる。
効果サーバの増設のみで容易・迅速に拡張可能。

導入の背景

震災を機に再構築した情報基盤に、先端技術をいち早く導入

福島県西部に位置する会津若松市は、古来より東北の要として中央政権から重視され、江戸時代以降はそのシンボルである鶴ヶ城(会津若松城)の城下町として栄えました。磐梯山や猪苗代湖など豊かな自然に囲まれるとともに、会津藩や白虎隊ゆかりの史跡も多く、東北有数の観光地として人気を集めています。

一方で、1993年には日本初のICT専門大学である会津大学が開校し、近年ではICTを活用して地域産業の活性化や豊かな街づくりを図る「スマートシティ会津若松」を推進するなど、ICT先進都市としての側面も有しています。

市政の運営にも早くからICTを導入し、庁舎内に多くのサーバを抱えていましたが、2011年の東日本大震災を機に、計画停電に対応した業務継続や防災対策などを考慮し、市内にあるデータセンターへのサーバ集約を計画。更新のタイミングに合わせて各システムを仮想化・統合し、庁内で稼働する業務システムの大半をサーバと共有ストレージによる仮想化環境に集約しました。

この仮想化環境が更新時期を迎えるにあたり、その構築・運営を担う栗城健太氏が着目したのが、最先端の仮想化インフラであるHCIでした。

導入のポイント

より信頼性の高いシステム環境を追求する中でHCIに着目

「自治体では多岐にわたる業務を行っており、それぞれに対応した業務システムが稼働しています。また、地震や豪雨といった災害が相次ぐ昨今、要支援者を把握するためにも、これらシステムの正常稼働を維持する重要性はさらに高まっています。一方で、自治体の財源には限りがあるため、限られたコストの中で、より信頼性の高い情報システム環境を追求していく必要があります。そうした認識のもと、日々、最新の技術動向に目を配っていた中で、興味をひかれたのがNutanixの提供するHCIソリューションでした」と、栗城氏は語ります。

「従来の環境は、サーバと共用ストレージをそれぞれ個別に管理する必要があり、私を含めた少人数で運用する体制では、その負担は決して軽くありません。例えばストレージのファームウェアをアップデートする際には、一時的なI/O停止に備え、業務システムを停止して実施していました。そのための事前調整に時間を要する上に、実施予定日の状況次第では、さらに延期するケースもあります。メンテナンス性を高めるために共有ストレージの冗長化も検討しましたが、普段は冗長化分を使用できないため費用対効果が悪化します。その点、シンプルな構成となるNutanixのHCIであれば、日常の運用負担を軽減できるとともに、将来的な拡張にも柔軟かつ容易に対応できると考えたのです」と栗城氏は語る。

HCIとは、SDS(Software Defined Storage)技術によって各サーバの内蔵ストレージをソフトウェアで共有することで、共用ストレージやファイバーチャネルスイッチを不要とした仮想化基盤のこと。サーバのみのシンプルな構成ゆえに、アップデートの負担が大きいストレージやスイッチ用のファームウェアも不要で、障害発生時の原因切り分けに時間を要することもなく、管理負担を大幅に軽減できる。加えて、初回構築時はもちろん、システム規模の拡張もサーバを増設するだけで実現できるというメリットもある。

「Nutanixから提供された資料を見て、私たちが求めていた機能に一致していると感じました。当初、HCIには専用ハードウェアが必要で、異なるハードウェア構成での運用はできないと思っていましたが、NutanixのHCIではそうした制約がないことがわかり、具体的な検討を開始しました」(栗城氏)。

富士通サーバを選んだ要因は、信頼性の高さとサポートの手厚さ

「Nutanix の HCI ソリューションは、同社が独自開発したハイパーバイザー(サーバ仮想化ソフト) AHV と、制御用ソフトである Acropolis、そして管理ツールである Prism などで構成され、仮想化基盤に必要な機能がすべてソフトウェア化されています。ハードウェアに依存しないため、Nutanix ソフトウェア認証のハードウェアであれば国内外のベンダーから幅広く選択できます。複数のベンダーを比較検討した結果、最終的に提案したのは富士通でした」と語るのは、従来環境の構築・運営にも携わった(株)シンクの宮森 達弘氏だ。同社は地元、会津若松市内に本社を置くIT企業で、地元密着の姿勢で同市の地域振興にも長く貢献している。

シンク社の提案を踏まえた検討結果について、栗城氏は次のように語る。「そもそも富士通の PRIMERGY は、従来環境でも導入していたサーバで、国内 No.1 のシェアを誇るだけの信頼性の高さを実感していました。今回の検討にあたって、改めて富士通の品質への取り組みを伺ったところ、振動試験や落下試験をはじめ、じつに多様な試験を行っていることに驚かされました。さらに、気温変化が激しく地震の多い日本市場の特性を踏まえて高・低温ランニング試験やラック耐震試験も実施されていて、その徹底ぶりに信頼感が深まりました」(栗城氏)。

加えて、サポートの手厚さも魅力だったと言う。「ユーザーとしては、導入後も富士通がソフト/ハード双方の質問や相談にワンストップで対応してくれるのは大きな魅力です。加えて、サポートセンターとサービス拠点の緊密な連携により、万一の際には最短 2時間でオンサイト修理が受けられます。ほかにも、サービスエンジニアの対応状況や保守部品の到着時間などを専用ホームページで確認できるなど、至れり尽くせりの保守体制で、日常の運用はもちろん、将来の拡張時にも安心して相談できると考えたのです」(栗城氏)。

栗城 健太 氏会津若松市
企画政策部
情報統計課主査
栗城 健太 氏

導入のプロセス

プレインストールならではのメリットと行き届いたサポートで、短期間での導入を実現

こうした検討の結果、Nutanix Enterprise Cloud on PRIMERGY(以下、Nutanix on PRIMERGY と記載)の採用が決定され、2020年6月から構築作業に着手。同年11月からの稼働を目指すというスケジュールで導入を開始した。

その具体的なプロセスについて、構築作業を担った宮森氏は次のように振り返る。「Nutanix on PRIMERGY は、Nutanix が提供するソフトを、あらかじめ富士通が自社工場で PRIMERGY にインストールし、調整・試験を済ませた上で提供されるため、短期間で導入可能です。当社にとって Nutanix の HCI は初めての経験であり、正直なところ不安もありましたが、作業内容がドキュメントガイドにまとめられている上に、富士通の懇切丁寧なサポートもあり、予想以上にスムーズに構築できました。Nutanix の HCI ソリューションは、これから日本での導入が増えると考えていたので、豊富なドキュメントのおかげでノウハウを蓄積できたのは、当社としてもありがたいことでした」。

宮森 達弘 氏株式会社シンク
技術戦略推進本部
技師長
宮森 達弘 氏

導入のメリット

日々の運用負担が軽減されるとともに、情報基盤の稼働効率も向上

稼働開始から約半年を経て、Nutanix on PRIMERGYによる仮想化環境に対する評価は非常に高いものがある。「管理ツールPrismによって日々の管理が一元化されたのはもちろん、そもそもシンプルな構成ゆえに稼働の安定性が高いので、管理ツールをチェックする頻度も減っているので、運用管理の負担は大幅に軽減できました」と栗城氏は語る。

「また、Nutanixソフトの機能により、サーバ上のコンポーネントを動かすファームウェアのアップデートもワンクリックで可能で、従来のようにシステムを停止する必要もありません。アップデート対応も迅速に行えるようになり、富士通からアップデートが提供された翌週には適応が完了できています。おかげで保守管理に割かれる時間が減り、情報戦略の立案など、より創造的な業務に注力できるようになりました。ITの専門知識がなくとも容易に管理できるので、将来的には人材配置も効率化できるでしょう。こうした情報システム部門のメリットに加え、システムを使用する現場でも、メンテナンスのために使用できないので別の日に出勤するといった事態がなくなりました」と語るように、同市の“働き方改革”にもつながっている。

「運用管理面だけでなく、費用対効果の面でも効果がありました」と栗城氏は続ける。「従来環境では、将来の拡張に備えてサーバやストレージのスペックに余裕を持たせて運用してきましたが、HCI環境では拡張が容易なため、現状のスペックを最大限に活用できます。こうした効率化によって予算的な余裕ができたことで、データセンターとは別の拠点にバックアップ用のサーバを追加でき、データ消失など万一の際にも備えることができました」(栗城氏)。

今後の展開

行政のDXなど、さらなるICT活用に対応できる環境を

「昨今、行政のデジタル革新(DX)が盛んに叫ばれるようになり、これまで紙でアナログに保管されていた情報がデジタルデータに置き換わっていくことが予想されます。加えて、人口動態や交通、エネルギー、農業、医療・福祉など幅広い領域のデータを収集・分析していくことで、取り扱うデータ量は飛躍的に増加していきます。これに合わせて、情報基盤にもスケールアップが求められるでしょう」と栗城氏は将来を予測する。

「今回、導入したNutanix on PRIMERGYであれば、将来的なスケールアップにも柔軟かつ短期間で対応できます。また、クラウド環境を前提としているため、クラウドとのハイブリッド運用も容易なので、その時々の環境や規模に応じた最適な運用形態を選択できると期待しています」(栗城氏)。

「自治体を取り巻く環境は目まぐるしく変化しています。DXに伴い、総務省が改訂した新しい情報セキュリティガイドラインや、テレワークなど新しい働き方にも対応していかねばなりません。最新鋭の技術を導入して、新しい時代にふさわしい情報環境を整備したいと考えているので、引き続きシンクならびに富士通のきめ細かなサポートに期待しています」(栗城氏)。

こうした期待に応えるべく、富士通は今後もシンクをはじめとする販売パートナーとともに、地域に密着したサポートを展開するとともに、世界規模で先端の技術情報を収集し、国内各ユーザーへのタイムリーな提供に努めていく。

福島県会津若松市

人口118,159人
世帯数50,365世帯(2021年1月1日現在)
面積382.99平方キロメートル
歴史1899年(明治32年)に福島県で最初の市となり、2019年に市制施行120周年を迎えた。市内には多くの史跡があり、観光は同市の重要産業となっている。
ホームページhttps://www.city.aizuwakamatsu.fukushima.jp/

[2021年4月掲載]

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